- ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」第2話のダメさ
いかは「ジェンダー論講義録 第12回」に加筆したものです。講義録は電子本として取りあえずは15巻出しました。印刷本(ペーパーバックPOD)には9月ごろには全部できると思います。少しお待ちください。
ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」(25年放送)の第2話で、彼女にフラれたA君(高校生・男子)が、ふったBさん(女子)とその新しい「交際相手」C君に対して、ブチギレ、C君とつかみ合いの喧嘩をし、許せない、イジメレベルで傷つけられた、ぼくをフッたのは許せないと言っていた。
そこにスクール・ロイヤー(弁護士)がいじめ対策防止推進法を杓子定規に間違って解・適応し、フラれて傷付いたのであれば「いじめ被害になった」とみなせますといい、B/Cさんは加害者だというのである。
当事者A君もその気になって、自分はいじめの被害者だと言って、引きこもったりし、加害者への処罰を求めるようになる。弁護士や学校は、Bさん、C君をいじめ加害者として対応をはじめ、Bさんも自暴自棄になる。恋愛なんてしなければよかったと思う。
物語は、A君が少し余裕を取り戻し、フラれたことは許せないけど、いじめではなかったと言って終わることになる。先生は、いじめではないと言って、彼女を許したA君を立派だと言って終わる。
私は、大森美香さんの脚本に一番問題があると思う。いくらべ円越しに過去や障害特性があるとしても、弁護士が、余りにおかしなことを言いすぎるし、学校の先生も能力低いし、この第2話については、恋愛観が古いカップル単位のままで、全くダメであった。
問題点はいろいろあるが、デートDVにかかわる点だけをいうと、A君が最後までフラれたことを許せない、これはいじめと同じだ、傷付いたと言い続けたこと。その考えが間違いで、恋愛はフラれることがあるし、それは相手の暴力ではないので、「許す/許さない赦さない」という言葉を使う問題ではないのに、ドラマではそこはまったく深められないまま。
勝手に運命と思って好きになった、それでフラれただけで、怒り、相手がひどいと言い、暴力だ、いじめだという、その基本認識をまったく変えないまま終わっている。ただ彼女との恋愛がすばらしいものでく好きだったから、フラれて許せないけど、いじめではないというだけ。
まったくシングル単位感覚がない物語であった。自己中で、好きになったからといって相手が好きになるとか、好きになり続けるとかは当然ではないのに、DV/ストーカー加害者の発想で、「僕をフッた彼女がひどい」というだけ。教育的にはBさん、C君を「相手を傷つけたから謝りなさい」と指導するのではなく、逆にA君に、「シングル単位の恋愛論/人間関係論」を教えて、あなたの認識と態度はDVだよとわからせないといけないのである。
この脚本がテレビ局で通って放送されたという点で、まだ日本ではシングル単位の思考法も、デートDVの正しい認識も広がっていないと分かる。
脚本家の大森さんは過去には良い作品も書いているし、他の話では盗撮問題など新しい社会問題も入れていいところもあるようだが、この第2話では、シングル単位とカップル単位の違いの重要性がわかっていないことを露呈してしまった。
この講義の受講生の皆さんには、この実践的に重要な点を理解してほしい。