ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

突然の危機に直面した時、人間は2種類に分かれる

主流秩序に対抗して生きるために

「リプレイ&デストロイ」第一回  

飯塚健・監督・脚本 テレビ版

 

教師歴20年の高校教師、富田は昨夜の自分のとった態度に自己嫌悪になっている。

 

夜遅くの地下鉄の駅で中年男性が『体が接触した』とかしないとかで3人の若者に絡まれ財布の56000円をとられ殴られている。それを見た富田は、内心でいろいろ迷う。しかし体はその近くから離れていく。巻き込まれないように。

 

突然の危機に直面した時、人間は2種類に分かれる。一歩前に前進するか、いっぽ後ろに後ずさるか。

 

富田はもちろん悩みはした。わずかな正義感と使命感。ぐつぐつと湧くいらだちとむかつき。後よくわからない何かを握り締めて。拳(こぶし)をつくってもみた。

 

だが振り上げる勇気は絶望的になかった。保身と天秤にかけた結果だった。あげく「男がもし2人だったら」「体格が少しでも貧弱だったら」と「たら・れば」の可能性と言い訳ばかりがよぎった。

「ナイフを隠し持っているかもしれない」という憶測を決定打とした。

こんな自分が父親になる。はたしてその資格があるのだろうか。

一日中、そんなことばかりが頭をよぎった。・・・

 

この後の展開、おもしろく説得的。

ぼくは主流秩序に対して、どう生きるかの話の一つとしてこの作品を紹介した。

多くの学生さんが共感を示した。

 

****** 

「きれいごとや精神論語るのは超簡単だけどな、とつぜん降ってきた危機に飛び込めるやつは実際、何人いると思う?」

 

「暴力が怖くないのか?、見ず知らずのやつのためにはそこまでできない。・・それなのに、なぜ?」

「後悔するより、マシだからだ」

 

『逃げるんかいっ!』

横山「当たり前だろ。ナイフと拳銃の前では人間できる事なんてないんだよ」

富田先生「話が違うじゃないか」

横山「違くねえよ。飛び込んだ結果逃げるのと、飛び込まずして逃げるのとでは全然違うだろ」「料理も塩一振りで劇的に味が変わるだろ?それと同じで、昨日のトミーと今日のトミーも全然違うんだ。だからこそ、いま、悶々と考えている。必死に再生を願っている。」

富田先生「確かにそうだ。けど。。。」

横山「そうやって、なかったことにできないトミーなら、次はきっと飛び込める」

 

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弁護士シンポ このなんという浅はかさ

 

宮崎強姦ビデオ加害者側弁護士の問題については私のブログでも触れて、拙著でも言及しました。

 

拙著『続 デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』の「4-5 弁護士の倫理と性暴力」

および

デートDV/ストーカー蔓延の実態と背景――― ストップ!デートDV 2』の「1-4  ひどい人権意識状況と、その表れとしてのDV・デートDV

 

そこで書いたことをぜひ読んでいただきたいですが、宮崎県弁護士会所属の谷口渉弁護士の態度には私は問題があるという立場です。ところが、最近行われたシンポジウムでは、「問題ない」という結論になったということです。

なんとおろかしいことかとおもいます。

 

エッセンスだけ言っておけば、

この事件で、20代の被害女性が、「被告側弁護士から経営者逮捕後の2014年3月に『犯行の様子を撮ったビデオがある。告訴を取り下げれば処分する』、『法廷でビデオが流されると分かっているのか。流されたくなかったら告訴取り下げをしろ。示談金はゼロ』等と複数回脅された」と証言しました。

被害者は、このビデオを見てどこが無罪になるのかと疑問をもったのですが、

 

全国の刑事弁護に携わる弁護士有志の団体「刑事弁護フォーラム」が「刑事弁護人の役割とは何か」と題して6月2日に開いたシンポで、

 

 パネリストは「不起訴を目指すのが弁護人の最大の目的で、利用するのは当然」「容疑者のために最善を尽くす義務に基づき、反しない」との意見で一致したといいます。ビデオが有罪の証拠とみられる場合でも「相手女性への脅迫にならないよう注意する前提であればよい」「相手女性本人でなく代理人相手であれば『示談してください』と当然言うべきだ」などの意見が出たとのことです。

 

予想通りの浅い話で、法的には確かに明確に犯罪だとはなりませんが、人権と倫理を基準に議論の余地は十分あるのに、そこを深めないのですから、愚かです。

 

谷口弁護士は、「『告訴を取り下げたら(ビデオを)処分するが、どうする』とは言った」と認めています。ただし、「法廷での被害者の不利益が大きいのではないかと考え、選択肢として示した」と脅しではなかったと言い訳しました。しかし本当に被害者の不利益を考えたとは思えません。実際、ビデオが提出されたために、被害者は、法廷での証言のため、ビデオを確認しなければならない状況に追い込まれました。

 

いくら担当した被告擁護の立場に立つとはいえ、弁護士には超えてはならない一線があります。「被告弁護士は、被告の有利になる活動をして当然である」という単純な論理で正当化することはできません。

 

弁護士は、依頼者だというだけで、DV加害者や強姦加害者をただ擁護するだけでいいのでしょうか。宮崎強姦ビデオ加害者側弁護士の問題や「でっち上げDV」の問題でも指摘してきたように、私は、加害者側についた弁護士でも、被害者のことも考え、社会正義、基本的人権の擁護に基づいて活動する義務があると思います。

 

私はこの点を上記拙著で、日弁連の作成した、弁護士の倫理規定をベースに論じています。

 弁護士は、依頼者(クライアント)のために弁護活動をするものですが、「弁護士職務基本規程」では、「弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように

努める。」(第二十一条)と記しています。つまり、良心に従うことが必要要件であり、かつ、依頼者の「正当な利益」を実現するのであって、正当でない利益のために働くのではありません。

また第一条では「弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める、」とあります。「基本的人権の擁護と社会正義の実現」が使命なのです。

 

DVやレイプがこの社会に多くあることへの責任、犯罪被害者等基本法の精神などを踏まえて、弁護士や裁判官は自分の活動を見直していくべきです。

態度価値を生み出す責任の前にだれもが立っているのです。そのスピリチュアリティ感覚があるかないかです。

 

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でもまあ、やくざやひどい企業の弁護をする弁護士がいて金儲けしている現実がありますから、日本でも『何の問題もない』という単純なことを言う弁護士がいるのは当然です。弁護士なんてその程度のものです。主流秩序論の観点で見れば司法・裁判所というシステム、裁判官や弁護士というものの主流秩序性というものを見ておくべきです。

 

そしてそれに対抗するスタンスの弁護士や裁判官になる道もあり、そこに責任問題が出てきます。

世界観、立場、思想によって、法律知識はどちらにも使えます。

 

以下そのおろかしいシンポの記事  薄すぎて内容はありません。

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「現場発:盗撮ビデオ示談 宮崎で刑事弁護シンポ 「交渉妥当」で一致 別の弁護士団体は批判 /宮崎」@毎日新聞宮崎版

http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20150607ddlk45040217000c.html

2015年06月07日 地方版

 

 ◇「被害者の尊厳は…」

 

 女性客らへの強姦(ごうかん)罪などに問われた宮崎市のマッサージ店経営の男(45)の弁護士が、告訴取り下げを条件に男が盗撮したビデオの処分を持ちかけた問題を巡り、東京、大阪の弁護士らが2日夜、宮崎市でシンポジウムを開いた。パネリストらは、盗撮ビデオを交渉材料に使うことについて「容疑者・被告のため最善を尽くすのが弁護士の役割だ」などとして妥当との見解を示した。一方、被害者支援に携わる弁護士からは「被害者を犠牲にしても良いという発想はおかしい」と反論の声も聞かれ、弁護姿勢を巡る考え方に大きな差があることを浮き彫りにした。【菅野蘭】

 

 全国の刑事弁護に携わる弁護士有志の団体「刑事弁護フォーラム」が「刑事弁護人の役割とは何か」と題し開いた。司会したフォーラム代表世話人、前田裕司弁護士(県弁護士会)ら、大学教授を含む5人が、容疑者・被告から託された証拠の扱い方や被害者側との交渉のあり方を議論した。

 

 事例の一つとして、強姦事件で無罪を主張する容疑者が行為を盗撮したビデオを、弁護士が無罪の証拠だと判断したケースが検討された。「示談交渉に使うのは弁護士倫理に反するか」との設問に、パネリストは「不起訴を目指すのが弁護人の最大の目的で、利用するのは当然」「容疑者のために最善を尽くす義務に基づき、反しない」との意見で一致した。ビデオが有罪の証拠とみられる場合でも「相手女性への脅迫にならないよう注意する前提であればよい」「相手女性本人でなく代理人相手であれば『示談してください』と当然言うべきだ」などの意見が出された。

 

 会場との質疑では、取材記者から「被告の権利を守る活動と被害者の権利保護は両立できないか」との質問も出された。これに対し、パネリストの坂根真也弁護士(同フォーラム事務局長)は「国家対被告というのが刑事事件の構図で、被害者が結果的にいやな思いをするのは内在する(組み込まれている)ものと捉えるべきだ。被害者の権利は別途、社会的に守る方策を考えなくてはいけない」と答えた。

 

 こうした論議に対し、被害者支援に携わる弁護士からは「一般の人の支持を受けられない考え方だ」と反発する声が聞かれる。

 

 弁護士有志の団体「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」(事務局・東京)で活動する上谷さくら弁護士(東京第一弁護士会)は「シンポで出た意見は『被告のためなら、間接的に被害者が犠牲となっても仕方ない』という発想だ」と批判する。

 

 高橋正人・同フォーラム事務局長は「『被害者の尊厳は誰であっても傷つけてはならない』とした犯罪被害者等基本法が制定されて10年がたち、法や国民の意識も大きく変わっている。被告のために戦うのは弁護士の責務だが、だからといって被害者を踏みにじるようでは、逆に国民の信頼を失うのではないか」と話している。

 

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まともな意見 愛媛新聞

 

 

安保法案「違憲」 法治国家の原理原則に立ち返れ

愛媛新聞 2015年06月08日(月)

 

 「憲法は国の最高法規」。いうまでもない大原則を、いまあらためて思い起こしたい。  集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法案について、衆院憲法審査会に参考人として呼ばれた憲法学の専門家3人全員が「違憲」と明言した。

 

 法案は現在、武力行使の具体的なケースなど細部について国会で論戦が続けられているが、上位規範となる憲法に違反しているとの指摘は、法案の正当性を根底から否定したに等しい。きわめて重大な指摘である。国会は重く受け止め、原点に立ち返らねばならない。

 

 参考人質疑では、与党推薦の長谷部恭男早稲田大教授も、集団的自衛権行使容認の閣議決定に関し「従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない。法的な安定性を大きく揺るがす」と断じ、危機感をあらわにした。指摘はもっともだ。

 

 歴代内閣が維持してきた1972年の政府見解は、幸福追求権を明記した憲法13条を踏まえて、国民の権利が根底から覆される急迫、不正の事態を排除するためにやむを得ない場合の自衛権行使は認めた。だが、戦争放棄をうたった9条により「他国への武力攻撃を阻止する集団的自衛権行使は、憲法上許されない」と結論付けている。

 

 それを安倍政権は「安保環境が大きく変化した」「他国への武力攻撃が日本の存立を脅かすことも起こり得る」との論理で結論部分をまったく逆に解釈変更し、他国の戦争への参加を事実上認めた。政権による9条の空文化というしかない。

 

 中谷元・防衛相は「政府による憲法解釈の裁量内で、違憲ではない」とする。だが、国家権力の暴走を防ぐための憲法の縛りを、当事者である政権が外すなど断じて許されない。国民に問わず閣議決定で済ませる手法は国民主権にも反する。

 

 しかも集団的自衛権行使容認は「憲法をいかに法案に適合させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定した」(中谷防衛相)。政府の考える法律が先にあり、それに合うように憲法の解釈を変えたという。憲法に従い法律をつくり政治を行うという原理原則が逆転している。このような憲法軽視が通るなら、法治国家の名は返上せねばなるまい。

 

 「違憲」の指摘に自民党二階俊博総務会長は「党の方針は初めから決まっている。あくまで参考意見で大ごとに取り上げる必要はない」と言い切った。国会機関である憲法審査会をもないがしろにし、都合よくあしらう姿勢はあまりに傲慢(ごうまん)で危うい。安保法案の武力行使の要件は曖昧で政権の主観で決まる。聞く耳を持たない政権に武力行使決定の判断を委ね、国民の命を預けることはできない。

 

 参考人だけでなく180人以上の憲法学者、さらには日弁連違憲を訴え廃案を要求する声明を出している。法案や政府の姿勢には懸念が募るばかりだ。あらためて法案撤回を求める。