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杉田氏の方が正直で、岸田首相の方が嘘を言っている

  • 2023年秋:杉田議員の暴走を容認する自民党・岸田政権

 

自民党がこの杉田議員を放置しているため、彼女の暴走が続いている。杉田氏は23年秋に、自身に好意的なネット番組には積極的に出演するだけで、一般のメディアから記者会見を求められても応じようとしないで逃げている。

2023年秋(10月27日)、杉田水脈衆院議員は、「差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた」「私は差別をしていない」と主張する動画をSNSに投稿した。

杉田氏は「逆差別、エセ、それに伴う利権、差別を利用して日本をおとしめる人たちがいる。差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた。私は差別をしていない」「これからも日本のために、しっかりとぶれずに政治活動がんばって参ります」と主張した。

多くの人から人権侵害や差別だと指摘されても、自分は差別していないと居直るだけで、人権擁護の活動をしている人を「差別がなくなって困る人」というように描くのは、本当に人権意識のかけらもなく、ただ人権運動をつぶしたいだけが生きがいの人物であることを示している。安倍支持と重なる、右翼にさえ支持されればいいのだという「愛国による商売」で生きている議員なのだ。

ネトウヨネット右翼)が人権運動を攻撃するときの典型である「逆差別だ」「利権だ」という批判を今回も繰り返し、「エセ」といって偽物だと批判し、「差別を利用して」といって、本当に差別反対の運動をしているのに、それが本当でないものと規定し、「日本をおとしめる人」といっていつものように愛国ナショナリズム視点から、社会運動をしている人を「日本のためにならない」と否定している。彼女の言葉には、右翼排外主義者の主張が今回も詰まっている。

在日特権」「同和利権」「日本を批判する者は出て逝け、外国人は出ていけ」というような極右の主張と重なった表現を確信犯的に行っている。コラボに対しても、「貧困対策や差別解消に取り組む団体が、実は利権をむさぼっている」という定番の批判が使われたが、それと同じだ。「エセ」というのは人権運動を攻撃するときの常套句で、部落差別やアイヌ差別、在日外国人差別女性差別がないかのように規定するものである。

人権侵害していると認定されても自民党政権では黙認し、選挙では公認し、名簿順位の上位に置き、彼女の言動を容認している。岸田首相も、彼女には何もしないままである。それどころか、23年9月に札幌法務局から人権侵犯を認定された直後に、彼女を党の政策立案に携わる環境部会長代理に起用した。

彼女のような人が国会議員として存続できているため、彼女のような主張を見聞きしてそれを信じる人が一定いるのが現状なのである。実際、彼女の{X}のフォロワーは36万人もいる。

ブログの投稿を「人権侵犯」と新たに二度認定されたのに、杉田氏は「すでに謝罪したのでもう謝罪しない」というだけで、SNSに「そもそも非公開の案件について、申し立てた方々がマスコミに説明しているのも解せない」と不満を書き込み、無反省であることを示し、今回新たに「私は差別していない」と居直った。

だが、当の杉田氏も、首相も自民党も何ら対応を取らないし、会見も開かない。自民党がいかに人権や差別を軽視しているかが、ここに表れている。

細田博之衆院議長のがセクハラをしたことを追及される中で、「誰ひとり具体的に『セクハラがあった』と言う方はいない」といなおったが、岸田首相は「一般論としてセクハラを受けたとしても言い出せない方がいる」と述べるだけで、言い出せない人とがいるから被害がなかったことにならないので、細田氏の主張には合理性がないと批判し、ちゃんと細田氏に責任を取らせないといけないが、全くそれを世事に勇退させ、細田氏の子どもに議員を引き継がせるありさまである。

また木原稔防衛相は、過去、2012年2月に自身のホームページに「教育勅語の廃止で道義大国日本の根幹を失ってしまいました」などと記載するような右翼的人物だったが、防衛大臣に任命された。教育勅語は、当然日本国憲法と相いれない内容であるため、国会で排除・失効が決議されているにもかかわらず、今どきこんなことを言う右翼・憲法否定論者なのである。2023年に国会会でこのことを追及されると木原防衛相は、「起草者が私の地元・熊本の偉人でもあり、そういう観点から教育勅語についてはそういう評価をしている」と教育勅語礼賛を撤回もせずに信念であると言い切っている。安倍氏及び統一教会と非常に近かった萩生田議員も自民党で権勢を誇っている。

岸田自民党政権は、安倍政権の体質を今も染みつかせたままであるといえるし、それがジェンダー政策、杉田議員処遇にも表れているということだろう。

 

  • 23年秋、杉田氏がアイヌ民族への偏見と憎悪をあおり続ける

 

杉田氏は人権侵犯の認定後も、SNSや動画で開き直るような発信を続けている。アイヌ在日コリアンをめぐって「特権がある」などと、事実に反する発言を動画サイトに投稿し、交流サイト(SNS)には、ヘイト発言との批判にも、言論の自由の範囲内、と投稿している。

杉田議員は23年11月1日の動画では、月刊誌「正論」の記事を紹介する形で、人権侵犯の認定制度を批判。「人権の定義に関する根拠法令がない」「行政処分ではない以上、人権侵犯を認定された者は名誉回復の機会さえも奪われる」と訴えた。

。さらに、23年11月9日、月刊誌「WiLL」の動画に出演し、24年度予算の概算要求で、アイヌ政策関連予算が66億円計上されていることに触れたうえで、アイヌ文化の振興事業について公金を不正流用疑惑があるとの見方を示し「公金チューチュー」などと揶揄した。

また、22年12月に総務政務官を事実上更迭されたことについて、「安倍政治を許さないとか、(安倍晋三元首相の)国葬反対」などを主張するアイヌ関係団体から謝罪を求められ、「こんな団体に謝罪するぐらいだったら」と辞任したのが「真相」だと主張した。辞めさせられたのではなく自分から辞めたというのである。反省も全くないということだ。

さらに、そうした言動が批判されても撤回せず、逆に、X(旧ツイッター)に、「公金チューチューではなく『不正使用』と言えば良かったのか」と書き込んだ。

岸田首相は国会で追及された時に『杉田氏本人が謝罪した』のでそれ以上は何もしないというような答弁をしたが、杉田氏は『アイヌ関係団体への謝罪が嫌だったから辞任した』と言っているのだから矛盾している。客観的に見て、杉田氏は本当には適切な謝罪をしていない。部分的に、撤回とか謝罪をしたということで、それ以上は何もしないと居直り、そしてやめさせられたが、後で「謝罪が嫌で辞任した」と嘘を言って自己弁護しているのである。全体としては、様々な自分の人権侵害発言を全く反省していない。 

 アイヌ女性の活動家・多原さんは23年11月15日の立憲のヒアリングで、「差別を扇動する議員を黙って見ている社会はどうなってしまうのかと、恐ろしくなる」、人権侵犯の認定制度を所管する法務省や、アイヌ政策を統括する内閣官房に「(杉田氏の主張に)しっかり答えて欲しい。そうでなければ信頼を失ってしまう」と求めた[1]

また大阪市NPO法人「コリアNGOセンター」は23年11月15日、杉田氏のSNS投稿の削除を求める抗議文を出した。 削除を求めたのは杉田氏が11月で4日に、「差別に関わる利権や特権は、実際には存在します」とした投稿。抗議文は、「在日特権」という悪質なデマはヘイトスピーチを繰り返す団体によってフェイクニュース的に拡散されたと指摘し、「深刻な人権侵害と社会の分断をもたらす重大なきっかけとなった」「現職国会議員によるあからさまな差別扇動で、在日コリアンに深刻な不安と恐怖をもたらしている」などと批判した。

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そのあとまたまた杉田氏は居直り続け、一部右派系メディアはそれを無批判に支持するような記事を出した[2]。杉田氏は、23年11月22日、「X」に「侵犯したとされた側に聴取せず認定ができた」と文句を書き、自分は左翼批判したのであって『アイヌ民族』や『在日』を差別したのでないと非論理的な反論を行った。法務省から『アイヌの文化や歴史を学ぶようにと啓発を受けた』というのは事実無根だと一部の報道も否定した。

こんなことを言っているのであるから、法務局は杉田氏に再度正しく指導し、また被害者の名誉回復を支援する必要がある。法務省が、ちゃんと杉田氏の差別言動の反省を指導しなかったら問題であるし、指導したのに、このように杉田氏が居直り続けているなら、再度指導や処分などをすべきである。法務局の威信にかけて、人権侵害を放置してはならない。

そして「デイリースポーツ」は無批判・無検証に杉田氏の言い分だけを載せた。それは杉田氏の過去の言動が差別であるということを否定する態度である。

世界的に言われていることだが、影響力あるものによる、一定の民族や集団を敵視し憎悪をあおる「ヘイトスピーチ」は、ヘイトクライム憎悪犯罪)につながる恐れがあり、放置すれば社会全体にとって大きなリスクになる。実際、米国ではしばしば起こっているし、日本でも、21年に宇治市のウトロ地区であった放火事件で有罪判決が確定した男は「在日コリアンは日本人より優遇されている」という誤ったネット情報(在日特権論)をもとに犯行に及んだと話した。杉田氏の発言は、アイヌ在日コリアン、女性、フェミニスト、左翼、LGBTQ、日本軍慰安婦なども攻撃しており、右翼勢力には杉田は支持されているので、氏の発言を荒唐無稽と看過、放置することは危険である。国会議員であるのに、自らを強く支持する右翼層にしか受け入れてもらえない言動を繰り返していては、国会議員ではない。

そして等も繰り返すが、このような議員失格の人物を党としても批判せず、追い出さず、国会議員も辞めさせない自民党の姿勢が問題である。逆に役職につけるなど、重用してしまい、国会で追及されても擁護してしまっている。自民党総裁でもある岸田文雄首相は国会で問われ、「(差別的投稿ついて)本人が謝罪し取り消した」と問題視しない姿勢を見せた。その背景には、支持率が下がっている自分の権力維持のために、杉田氏を支持する安倍派など自民党内右派・保守層に媚びて何も言えないという事情がある。岸田政権はリベラルと言われていたが、人権委は無関心であることが明白だ。

  

  • 杉田氏の方が正直で、岸田首相の方が嘘を言っている

 

ひろゆき氏が杉田議員と岸田首長の矛盾を指摘したことに対して、杉田議員が、どちらも嘘を言ってないないと「反論」した。その内容は「国会の場で謝罪した」から嘘ではない、ただ直接謝罪を求めてきたアイヌ関係団体が、「安倍政治を許さない」「国葬反対」といった主張を掲げていた「反安倍集団」だったため、「謝罪したくなかったという事です」というものだった。

つまり、国会では謝罪したが、反安倍団体には謝罪したくないのでしなかった、それでみずから職を退いたと「説明」したのである。だが杉田氏は「差別はしていないが、稚拙な表現で傷付いた方がいるのであれば謝罪します」と、国会の場でいったのであって、これは謝罪ではない。「謝罪した」と言うが謝罪になっていない。差別と認めないのであるから謝する内容がないのであり、差別したことに対して謝罪もしていないのである。謝罪したのは自分が人権侵害や差別した発言にたいしてででなく、「稚拙な表現で傷ついた人がいるのであれば」と仮定の形で「表現が稚拙であること」について謝罪しただけである。

発言の撤回」も、その稚拙な部分だけであり、差別の部分があるからその部分を撤回したのではない。差別していないので、差別したということで撤回したのではない。表現が稚拙だったので、差別ではないにもかかわらず、結果的にある人が傷ついたというのであれば、それについては謝ると言っているだけである。仮定の話であるので、明確にだれに対しての謝罪かも明示していない。

つまり「チマチョゴリアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」という差別的な文言は差別でない、だからそれについては謝罪していない、その発言おせいで更迭されたのでもない、と一貫していっているのが杉田氏なのである。

したがって、まず杉田氏は謝罪していない。反省していない。だから今でも差別していないと居直っているのである。この姿勢は杉田氏は一貫している。

次に、反安倍の団体だから謝罪したくなかったという。自分の発言の内容の差別性を全く認めず、内容の検討も横において、とにかく、基準が「反安倍」の人には謝罪したくないというのである。愚かというしかないような「ネトウヨ」的な発想である。杉田氏の本性はこれであり、これだけで動いているのである。底の浅い、ただのネトウヨ・レベルの人なのである。

以上の杉田氏の姿勢は、これまでも差別やセクハラ・パワハラした人が使う論法と同じである。つまり、「そんなつもりはなかったが、そう感じた人がいるなら謝罪する」というのである。自分の主観を言って「差別する意図はなかった」と言いわけし、しかし、相手がそう感じたなら謝罪する、とごまかす手法である。自分のプライドや言い訳を正当化しつつ、事を済まそうといういいかげんで矛盾したあいまいな逃げ方の典型である。

杉田氏も、仲間が聞いていると思う右翼の場では、総務政務官を事実上更迭されたことについて、「こんな団体に謝罪するぐらいだったら」と辞任したのが「真相」だと、強がって「更迭されたのではなく、みずからやめたのだ」、といったのだ。

ということは、法務局から人権侵犯と言われているのに、全く認めず、差別発言と認めてもいないし、それを反省もしていないし、その発言をしたから更迭されたとも認めていない。この全体をもってすれば、差別発言したことを「謝罪していない」というのが妥当である。

とすれば、杉田氏は謝罪していないので、むしろ岸田首相の方が嘘を言っているというべきであろう。つまり、首相は国会で問われ、「(差別的投稿ついて)本人が謝罪し取り消した」と言ったが、それが間違いで、杉田氏は差別発言を反省も謝罪もしないままいるのに、それを放置しているのが、岸田首相であり自民党なのである。処分もしていないし、その後も仕事をさせているので、杉田氏が「更迭されたのではなく、辞任したのだ」というのは正しい。来kまで居直り続ける杉田儀委に対して、首相は「議員の発言に対するコメントは控える」と逃げつづけている。

結論。「反安倍が嫌い」と言うだけで差別を繰り返す、人権意識が全くない人物を、処分もせず、党から追い出さず、放置し容認している自民党・岸田政権が間違っているのである。

 

 

[1]アイヌ女性「もう黙らない」 杉田水脈氏の差別投稿に同調658件」(朝日新聞、2023年11月17日)より。

[2]杉田水脈氏の「人権侵犯」本人への聴取なしで認定されていた 報道の一部は「事実無根」」(デイリースポーツ23年11月25日)