ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

映画「ティル」

 

大学の講義を受けている学生さんに送った情報

****

映画『ティル』  今すぐ「京都シネマ」へ

 

1955年に実際に怒った黒人少年リンチ殺人事件と裁判、母親を中心とする戦いの始まりを描いた映画。

以下の紹介に詳しいが、この事件は黒人の人権獲得運動、公民権運動の重要な一つであったのに、映画には長らくならなかった。なぜこんなに時間がかかったのかと思う。ぜひとも皆が知るべき事柄を扱った映画だと思った。

京都シネマ」で1月11日まで上映している。

今、「ジェンダーダイバーシティ」を受講しているみなさん、ぜひ正月にみてほしい!! こうした現実と闘いがあって社会は変わってきたので、無知ではだめです。

 

それにしても、ひどい社会だった。恥を知れ!、それでも人間か!」「今なんて言った!」といまなら叫ぶような状況でも、何も黒人は言えなかった。言えば、抗議すれば殺されるしかなかった。

 

尚、以下の記事はネタバレの面もあるので、映画を見てから読んでもいい。しかし読んだうえで見てもいいと思う。人権論を学ぶ皆さんとしては必ず読んでおいてほしい資料である。

また、立命には映画製作にかかわろうとする学生もいる。「社会を変えるためのアクティビズム・ツールとして映画を活用」しようとした人たちがこの映画を作った。ぜひ、参考にしてほしい。

 

以下、映画紹介の記事

  • 基礎情報

1950年代アメリカで、アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなった実在の事件「エメット・ティル殺害事件」を劇映画化。
1955年、イリノイ州シカゴ。夫を戦争で亡くしたメイミー・ティルは、空軍で唯一の黒人女性職員として働きながら、14歳の息子エメットと平穏に暮らしていた。ある日、エメットは初めて生まれ故郷を離れ、ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れる。しかし彼は飲食雑貨店で白人女性キャロリンに向けて口笛を吹いたことで白人の怒りを買い、8月28日、白人集団に拉致されて凄惨なリンチの末に殺されてしまう。息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、この陰惨な事件を世間に知らしめるべく、ある大胆な行動を起こす。

「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野」のダニエル・デッドワイラーが主人公メイミーを熱演し、ゴッサム・インディペンデント映画賞など数々の女優賞を受賞。名優ウーピー・ゴールドバーグが共演し、製作にも名を連ねる。

2022年製作/130分/PG12/アメリ

 

  • 人々に公開された遺体、ボブ・ディラン、BLM…現代にもつながる実話を描く『ティル』の知っておきたい5つのキーワード

2023年12/20(水) 16:30配信  

https://news.yahoo.co.jp/articles/1a232e63b537db451aec58a433f6a1de6bf28679

68年前に起きた実在の事件を描く『ティル』

 

■「公民権運動」とボブ・ディランの「エメット・ティルの死」

 アメリカの公民権運動を象徴する、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の「I Have a Dream」の演説でも知られるワシントン大行進。そこで公民権アクティヴィストの講演者に先立つ前座として舞台に立ったボブ・ディランは、そこで新曲「エメット・ティルの死」を披露する。奇しくもその日は、エメット・ティル殺害事件からちょうど8年が過ぎた1963年8月28日のことであった。 自由と平等の国アメリカの偽善を赤裸々に描写した曲を白人青年が歌ったことに刺激を受けたサム・クックは、翌年に公民権運動の勝利を謳った「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を発表。これを機に、政治的メッセージが入ったブラック・ミュージックとフォークソング、「カウンター・カルチャー」の時代が幕を開けることとなった。

 

・・・メイミーの死去から19年が経った2022年3月、人種差別に基づくリンチを連邦法の憎悪犯罪(ヘイトクライム)とする「エメット・ティル反リンチ法」が成立。そしてエメットは、公民権運動の殉教者として、アラバマ州モンゴメリにある公民権運動記念碑にその名が刻まれている。

 

 ■事件から68年で迎える「初の劇映画化」

 キング牧師をはじめ、公民権運動にかかわる人々の物語を描いた映画は数多くあるが、エメット・ティルの物語はこれまで一度も劇映画として描かれたことはなかった。事件発生から数十年の間に何度も映画化の話が持ち上がったとも言われているが、「性別と人種の根深い問題」や「集客に向いていない」といった理由から、何度も頓挫してきたと言われている。 本作の脚本家で製作プロデューサーを務めたキース・ボーシャンが初稿を完成させてから、こうして映画が完成するまでにかかった歳月は29年。プロデューサーを務めた名女優ウーピー・ゴールドバーグはこう語っている。「これまで、この物語を避けようとする強い力があったと思う。しかし近年、“語られるべきことは語るべき”という世の中になった」。いまも目まぐるしく動き続ける社会情勢。まちがいなくその源流となった1人の母親の愛と正義の物語を、この映画を通して多くの人に知ってもらいたい。 文/久保田 和馬

∞∞∞∞∞∞

「これは映画ではなく運動なのだ」黒人少年リンチ事件の実話描く『ティル』、30年におよぶ製作の闘い

2023年12/20(水) 10:53配信

「これは映画ではなく運動なのだ」黒人少年リンチ事件の実話描く『ティル』、30年におよぶ製作の闘い(CINRA) - Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/51c886205ff3b9972f38169c20381b39b2c0da69?page=1

映画『ティル』

 

 

 

 「エメット・ティルの物語は、アメリカの公民権運動において非常に重要です。ところが、アメリカ人でさえ、この物語を知らない人たちがたくさんいる」。約1時間におよぶ取材の冒頭で、ボーシャン氏はこう話した。 なぜ、この事件を語りつづけるのか。エメット・ティルと母親メイミーの物語を、劇映画として伝える意義とはなにか。2003年に逝去したメイミー本人と公私にわたり親交を深め、その遺志を継いで活動をおこなうボーシャン氏が、映画『ティル』実現までの道のりと、生涯をかけた仕事への思いをたっぷりと語ってくれた。

 

 

 

なぜいまこの物語を語るのか。「私たちは新しい公民権運動を切望しているが、まだ実現していない」

―エメット・ティルの事件を伝えることは、あなたにとって「人生の仕事」なのだと思います。そのモチベーションを長年継続できた理由と、いまこの物語を語ることの意義をお聞かせください。

 ボーシャン:マザー・モブリーは生前、「人々の意識が変わるまで、私たちはエメットの物語を語りつづけなくてはならない。そのとき初めて、エメットにも正義がもたらされるから」とよく話してくれました。しかし、まだ若かった私にはその意味が理解できなかった。この物語を伝えはじめて30年近くが経った今では、彼女が伝えたかったことがはっきりとわかります。 私ひとりがどれだけ長く、どれだけ懸命に正義のために闘ったとしても、今日起きている「別のエメット・ティル事件」をすべて止めることはできません。昨今のアメリカで、無実の黒人や褐色人種の人々が、白人至上主義者や警官たちに殺されていることはみなさんもご存知だと思います。私たちが目にしているのは、1955年にエメット・ティルに起きたことと何ら変わらない。犠牲者はみな今日のエメット・ティルなのだ――マザー・モブリーはそのことを伝えたかったのだと思いますし、それこそがいま、この物語を語る理由です。

 

エメット・ティルの物語ほど、今日の政治的・人種的な情勢に深くつながるものはありません。 この映画は、現在と1955年の出来事をつなげ、アメリカという国で起こり続けていることを人々に知らしめ、ふたたび大きな変化を起こすきっかけとなりうるものです。私たちは新しい公民権運動を切望していながら、それはまだ実現していません。

 

 ―もっとも、映画の完成までにはいくつもの試練があったのではないかと推察します。

ボーシャン:そうですね(笑)。このことに挑戦できたのは、私が若い頃から動いていたからでしょう。公民権運動の指導者や活動家たちのなかには、私に敵対的な人もいました。まだ若い私が、自分の生まれる以前に起きた事件や、エメット・ティルやマザー・モブリーの物語を理解しているとは思われていなかったのです。あろうことか、事件を再審に持ち込むなど不可能だと思われていた。数えきれないほどの失望を経験しましたが、私がドキュメンタリー映画『The Untold Story of Emmett Louis Till(原題)』をつくり、さらなる証拠を提出して事件の再審を実現したあとは、あれこれと言ってくる人たちはもういなくなりました。

ボーシャン:私はいつも「これはただの映画ではない、社会運動なのだ」と言っています。事件を再審に持ち込んだあとには、FBIや司法省と連携して、公民権に関連する別の殺人事件についても再捜査と起訴の可能性を確認しました。2006年にはFBIが公民権にまつわる「コールドケース構想(Cold Case Initiative)」を発案し、2008年には「エメット・ティル未解決公民権犯罪法(Emmett Till Unsolved Civil Rights Crime Act)」としてブッシュ政権下で成立、のちにオバマ大統領が再承認しています。

過去の事件についても、訴追のために再捜査が必要かどうかを再検討できるようになったのです。 もっとも、すべてはマザー・モブリーが予言していたことです。彼女には予言者めいたところがあり、私が息子の事件を再審に導き、物語を伝える仕事も引き継ぐのだと言ってくれていました。私にとっては、彼女のビジョンをきちんと引き受けることが最大の課題。そして強い情熱とともに、忍耐力と寛容性を持つことも重要でした。

ですから、いつかこの地点に到達することはわかっていましたし、映画の完成で途中の失望は報われたのです。 自分の語りたい物語を正確に理解するために、長い時間を要し、さまざまな試練や苦難を経験しなければならないのは奇妙なことです。しかし、時代の変化や新型コロナウイルス感染症、そのなかで起こったさまざまな出来事も、この作品には影響を与えているはず。すべてのことに理由があり、ふさわしいタイミングがあると私は信じていて、実際に映画が公開されたタイミングも完璧でした。

 

フィルムメイカーとして、アクティビストとして目指すこと

―「エメット・ティルの物語を劇映画にする」という目標を達成した今、新たな目標やビジョンをお聞かせください。

 ボーシャン:私はフィルムメイカーを目指したこともなく、業界に入るための苦労もしていないので、この仕事をしていることは神の贈り物だと考えています。私にとって、映画製作はアクティビズムの新しい波です。フィルムメイカーやアーティストには確かな力がありますし、ビジュアル以上に人の心を打つものはありません。エメット・ティルの写真が1950~60年代の公民権運動の指導者や活動家を目覚めさせ、世代を超えて影響を与えつづけているように。 繰り返しますが、これはたんなる映画ではなく、社会運動なのです。また私にとっては現在進行中の、そして今後もつづけていく闘いです。私の作品はすべて、社会になんらかの影響や変化をもたらせるものでなければいけません。今後も人間性(ヒューマニティ)を目覚めさせる映画をつくりたい。そして公民権と人権のために、アメリカのみならず、いまも世界中でつづいている正義のための闘いを伝えていきたいと考えています。 私の願いは、同じ志を持つフィルムメイカーを集め、社会を変えるためのアクティビズム・ツールとして映画を活用してもらうこと。この世界にはたくさんのアーティストがいますが、今の世界に必要なのは「アーティビスト(artivist)」。私たちに問いを突きつける物語を伝え、文化を描くことに積極的に取り組む人たちです

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞