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「澄み切った法律論を議論すべき」という愚かさ

 

辺野古訴訟で初弁論が行われた。地方自治と民主主義が問われている、という翁長知事の言い分には説得力がある。
沖縄の歴史を踏まえろと言い、「日本に地方自治や民主主義は存在するのか。沖縄県にのみ負担を強いる日米安保体制は正常と言えるのか。国民すべてに問いかけたい」という沖縄の訴えに、答えるのは、日本国民・本土人の側だ。

 

にもかかわらず、国側(法務省の定塚誠訟務局長)の言い分は、問題を形式的な法律論の枠にしようとする。そのような法律の理解、そのような裁判の使い方こそ、愚かしい。
彼は、「澄み切った法律論を議論すべきで、沖縄の基地のありようを議論すべきではない」などと主張したという。法律というものがいかに使いようによってはひどいものであるかを自ら語ってしまったというべきだろう。


翻訳すれば、総合的に現実を入れて考えるとまずいからそれはやめてください。ただ狭い理屈の法律論、形式だけで理屈を言い合いたい、そうすれば勝てる(と思うから)。
そういったのだ。


自ら正義がないことを自覚した言葉だといえる

そして一方では政治や基地問題を入れないといいながら、他方で、安全保障や日米関係の信頼性が絡む事項については、知事に判断権限がないという。
傲慢で矛盾している。差別者の傲慢ぶりだ。


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知事「米軍施政権下と同様」 辺野古訴訟で初弁論
2015年12月3日 05:03



第1回口頭弁論に出廷し、意見陳述を待つ翁長雄志知事(左)=2日午後1時59分、福岡高等裁判所那覇支部第201号法廷(代表撮影)

翁長知事 陳述骨子

 

 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認取り消し処分を違法として、国が翁長雄志知事を相手に起こした代執行訴訟の第1回口頭弁論が2日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。翁長知事は意見陳述で、過重な基地負担を強いられた沖縄の歴史に言及。政府が辺野古移設反対の民意にかかわらず移設を強行していることに「米軍施政権下と変わらない」と批判、「日本に民主主義は存在するのか」と訴えた。国側は取り消しは違法として、迅速な処分取り消しを求めた。次回の弁論は来年1月8日で、次々回は同29日。

 

 翁長知事は戦後70年を経たにもかかわらず、「海上での銃剣とブルドーザー」をほうふつさせる日本政府の行為によって、「耐用年数200年ともいわれる基地が造られようとしている」と指摘。米軍基地が集中する沖縄に新基地建設を強行する現状は、米軍によって強制的に土地を接収された米軍施政権下と変わらないと指摘した。

 

 国側は主張の要旨を読み上げ、「基地のありようにはさまざまな政治的意見があるが、(法廷は)議論する場所ではない」と指摘した。また、1968年の最高裁判決などを引用し、翁長知事の埋め立て承認取り消しが、行政処分を取り消す際の「極めて限定的な要件」を満たしていないと主張。安全保障や日米関係の信頼性が絡む事項については、知事に判断権限がないとして、取り消しの違法性を訴えた。

 

 県側も主張の要旨を読み上げ、国の代執行手続きが地方自治法の定める「他に是正の手段がない場合」とする要件を満たしていないと指摘。知事が公有水面埋立法に基づいて判断する際、外交や国防といった要素は特別扱いされていないと反論した。


 国側が持ち出した最高裁判例について県側は、国民に対する行政処分の取り消し基準を示したものであり、行政機関同士の「機関訴訟」には当てはまらないと反論した。
 菅義偉官房長官は2日の会見で、翁長知事が口頭弁論で「日本に地方自治や民主主義は存在するのか」などと政府を批判したことに対し、「普天間問題では原点が違った。行政の判断は示されており工事は進める」と述べ、全面的に対決する姿勢をみせた。

 

■日本の民主主義問う 国の強硬姿勢批判

 

 翁長雄志知事は2日夕、代執行訴訟で意見陳述した後、「思いは伝えられた。陳述は意味のあることだった」と意義を強調した。裁判の争点は「日本の地方自治、民主主義の問題が問われている」と位置付けた。国側の主張には「想定内。それぞれの担当大臣が辺野古が唯一、と強権的に押し進めてきたものが書面にも表れている」と述べ、政府の強硬姿勢の反映との認識を示した。県庁で記者団に答えた。


 知事は「裁判は直接的には取り消しの訴訟なので、法律論がメーンであることは間違いないが、基地の問題は翻って考えると、日本の地方自治と民主主義という問題だ」と強調。「国民の皆さま方にも、この裁判に注目してもらいたい」と呼び掛けた。

 

 陳述に対する法廷内の反応は「私(の陳述)が終わった後、裁判官から『大変分かりやすい話でした』という話もあった」と述べ、陳述の趣旨が理解されたとの認識を示した。

 

 多見谷寿郎裁判長の印象は「真摯(しんし)な方だなと感じた。しっかり判断をしていただければありがたい」と述べ、県側の主張が理解されることへの期待感を示した。
 国側の代理人が法廷で「政治的な意見を議論する場でない」とけん制したことには「政治的ということではなく、県民の心情を伝えた」と反論した。


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翁長氏「未来切りひらく判断を」 辺野古訴訟で意見陳述
吉田拓史
朝日 2015年 12月2日21時26分


福岡高裁那覇支部前に集まった支援者にあいさつする翁長沖縄県知事=2日午後1時35分、那覇市、小宮路勝撮影








 米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設先とされる同県名護市辺野古の埋め立て承認を取り消したのは違法だとして、取り消しの撤回を求めて国が翁長雄志(おながたけし)知事を訴えた代執行訴訟の第1回口頭弁論が2日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。翁長知事が出廷して意見陳述し、「沖縄、日本の未来を切りひらく判断をお願いします」と述べた。


 承認取り消しの是非をめぐって国と県が対立する中で異例の法廷闘争となった。代執行訴訟は、埋め立て承認を取り消した翁長知事に対し、国が撤回を求めた訴訟。国が勝訴すれば、知事に代わって取り消しを撤回できる。


 翁長氏は陳述で、琉球王国の時代からの歴史をひもとき、沖縄戦後に強制的に土地が奪われて米軍基地が建設された経緯を説明。「問われているのは、埋め立ての承認取り消しの是非だけではない」と指摘。「日本に地方自治や民主主義は存在するのか。沖縄県にのみ負担を強いる日米安保体制は正常と言えるのか。国民すべてに問いかけたい」と訴えた。

 

 一方、原告の国は法務省の定塚誠訟務局長が出席し、「澄み切った法律論を議論すべきで、沖縄の基地のありようを議論すべきではない」などと主張。埋め立て承認などの行政処分は「例外的な場合を除いて取り消せない」とし、公共の福祉に照らして著しく不当である時に限って取り消せる、と述べた。