これほどのあからさまなことがあるかというぐらいのことが、いま日本で起こっている。慰安婦合意・少女像撤去問題で、またく韓国の状況を伝えず、あるいは真実を見ないでゆがんだ報道をしているのだ。以下の韓国の方からの見方をみれば、いかに日本の報道が一面的かがわかるだろう。
●慰安婦合意 少女像撤去と関係なら誤り=潘前国連総長
2017/01/16
【釜山聯合ニュース】潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は16日、釜山市内で記者団に対し、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる日本との合意について、「合意が(慰安婦被害者を象徴する)少女像の撤去と関係があるなら誤り」と指摘した。
記者団の質問に答える潘氏=16日、釜山(聯合ニュース)
潘氏は「(合意に関する)私の原則は慰安婦(だった)おばあさんたちの恨(ハン)を解きほぐす内容でなければならないということ」と強調した。
潘氏は国連事務総長を務めていた2015年末の合意直後に「高く評価する」としていたが、事務総長の任期を終え、今月12日に韓国に帰国した際に行った記者会見では「両国の長年の懸案だった問題で合意が行われたことを歓迎したもの」と説明し、「究極かつ完璧な合意というのは、おばあさんたちの恨を解消するレベルのものでなければならない」と述べた。
●慰安婦問題解決求める集会が25周年 被害者の銅像公開=韓国
2017/01/04
【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦被害者支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)がソウルの日本大使館前で4日、今年最初で通算1264回目となる「水曜集会」を開いた。
集会では慰安婦被害者2人の銅像が公開された。右は少女像=4日、ソウル(聯合ニュース)
集会は慰安婦問題の解決を求めて1992年1月8日に初開催され、今年で25周年を迎えた。25年間、毎週水曜日の正午に行われた。
今回の集会では、慰安婦被害者の金福童(キム・ボクドン)さんと吉元玉(キル・ウォンオク)さんの銅像が公開された。像は大使館前に設置されている慰安婦被害者を象徴する少女像を製作した彫刻家夫妻のキム・ソギョンさんとキム・ウンソンさんが手がけた。仕上げ作業を行った後、4~5月ごろに「戦争と女性の人権博物館」(ソウル市麻浦区)に設置する計画だ。
ウンソンさんは「傷を克服し、世界を回りながら平和のために努力するおばあさんたちのために何ができるのか考え、プレゼントがしたくて笑顔のおばあさんたちの姿を作った」と話した。
像を見て喜んだ金福童さんはマイクを握り「大統領がうそをついて退陣しないのを見ていると悔しい」と述べ、朴槿恵(パク・クネ)政権が2015年末、慰安婦問題で日本政府と合意したことを批判した。
集会に参加した最大野党「共に民主党」の洪翼杓(ホン・イクピョ)国会議員は「今年必ず政権交代を実現し、慰安婦合意を破棄して水曜集会を開かなくても良いようにしたい」と述べた。
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●慰安婦合意 国内での手続き不十分=韓国国会議長
2017/01/16
【ナンディ(フィジー)聯合ニュース】韓国の丁世均(チョン・セギュン)国会議長は16日、フィジーのナンディで中曽根弘文参院議員ら日本議員団と会談し、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる韓日合意について、「日本政府との合意過程で慰安婦(被害者)のおばあさんたちと十分に話し合えず、国民と共感できなかった」として、「両国政府が合意したら異論を唱えず守ることが最善だが、こうした不十分な手続きのため、問題が解消されておらず心配だ」と述べた。
アジア・太平洋議員フォーラムで発言する丁氏(国会提供)=16日、ナンディ(聯合ニュース)
丁氏と中曽根氏らはアジア・太平洋議員フォーラムに出席するため、現地を訪れている。
自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」の委員長を務める中曽根氏は昨年8月、ソウルの日本大使館前に設置されている慰安婦被害者を象徴する少女像の撤去問題について、日本政府に積極的に取り組むよう求めていた。
丁氏は「韓国の国民は明らかになった合意事項以外に、別のノート(合意事項)があるのではないかという疑いも持っている」として、「韓国国民の感情、慰安婦被害者の傷をさらに傷つけるようなことはあってはならない」と指摘。「多くの韓国人は安倍晋三首相の慰安婦関連の発言や立場について、大変残念に思っているのが事実」として、「それが恐らく状況を悪化させている要因ではないか」と述べた。
その上で、「容易ではないが、大人の対応が必要ではないかと思う」とし、冷静な対応が必要との考えを示した。
これに対し、中曽根氏は被害者の感情を癒やすことを優先しなければならず、善意を持って最善を尽くす姿勢を示した。また、昨年11月に韓日・日韓議員連盟が慰安婦合意の履行に向けて共に努力するとした共同声明を採択したことに言及し、より幅広い観点を持つ必要があるとして、慰安婦問題だけでなく両国の友好関係の発展にも取り組む姿勢を表明した。
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●島に少女像建設へ 京畿道議会の団体が募金開始=韓国
2017/01/16
【水原聯合ニュース】韓国・京畿道議会の団体「独島愛・国土愛の会」は16日、独島と議会に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」を建設するため、議会のロビーに募金箱を設置した。年末までに7000万ウォン(約670万円)を集めることが目標。
議会で行われた募金運動の開始を宣言する式典=16日、水原(聯合ニュース)
団体は昨年10月に発足した。34人の道議会議員が加入している。
最大野党「共に民主党」所属の閔敬善(ミン・ギョンソン)会長は「少女像はわれわれが忘れてしまった歴史意識を喚起させる大切な場になっている」として、昨年12月、道議会の本会議で像の建設を提案した。
閔氏は募金運動の開始を宣言するあいさつで、「(ソウルの)日本大使館前に少女像が建てられてから5年になるが、真の反省どころか、歴史歪曲(わいきょく)や右傾化は依然続いており、独島を自分の領土と言い張っている」と指摘。「独島と議会に少女像を設置し、生きた教育の場にしたい」と強調した。
団体は道内の31市・郡で運営されている地域相談所や市・郡庁のロビーにも募金箱を設置することを検討している。街頭キャンペーンも計画している。
閔氏は「少女像1体の建立に3500万ウォン程度かかるが、まず上半期に議会に(像を)設置した後、12月14日ごろに独島に建てる計画」と説明。「独島は天然保護区域のため、少女像を設置するためには文化財庁から現状変更の許可を受けなければならないという指摘があるが、彫刻品を設置するのに文化財庁の許可が必要なのか疑問」として、「現状変更の手続きよりは日本の抵抗など外交問題が障害になる可能性があるが、国民的なコンセンサスが形成されれば、十分可能だとみている」と強調した。その上で、「同じ志を持ったほかの議会、政界などと協議し、独島への設置を推進する」との姿勢を示した。
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●日本が反発しても少女像設置は続く 強引な合意の産物=韓国
2017/01/09
【ソウル聯合ニュース】韓国の市民団体が釜山の日本総領事館前に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像を設置したことをめぐって韓日関係がぎくしゃくする中、韓国では全国的に少女像を建てる動きが続いている。
全国の少女像33体=(聯合ニュース)
少女像の設置は、2015年12月28日の慰安婦問題をめぐる両国の合意に基づき、10億円を拠出する代わりにソウルの日本大使館前の少女像を撤去しようとする日本政府への反発の側面が大きいとみられる。
ソウル郊外の京畿道の議会は募金運動を行い、独島と道議会への「平和の少女像」設置を推進する方針だ。道議会議員30人からなる団体が中心となり、今月5日に建立計画を発表。16日から募金活動を行う計画だ。団体側は「少女像1体の建立に3500万ウォン(約340万円)程度かかる。上半期中に道議会に少女像を設置した後、独島にも建てる計画」と説明した。
南部の全羅南道麗水市の団体は目標額6000万ウォンを超える募金を集め、日本の植民地支配に抵抗して1919年に起きた独立運動を記念する「3・1節」(3月1日)に少女像の除幕式を行う予定だ。
南西部の光州市でも少女像の建立に向けた募金運動が本格化するという。
一方、釜山総領事館前の少女像が一度は強制撤去されたものの、市民からの抗議が殺到して再び設置された影響を受け、設置場所をめぐって市民団体と対立してきた自治体が相次いで像の設置を認めている。
西部の忠誠南道舒川郡は市民団体が求めていた総合施設「春の村」への少女像設置を認める方針を明らかにした。同郡はこれまで「民間団体は共有財産に施設物を設置できない」との立場を崩さず、団体と対立してきた。そのため、市民から2000万ウォンを集めて製作された少女像は施設前の広場の一角に臨時に置かれていた。同郡トップの?博来(ノ・バクレ)郡首は「共有財産に少女像を設置することは法的な問題があった。だが、釜山で少女像が設置されたことを受け、決定を変えた」と説明した。
南東部の大邱市でも中心部の東城路への少女像設置を認めなかった同市中区が、設置を許可する方針に転じた。
慰安婦被害者支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)の「戦争と女性人権博物館」が確認した韓国内の少女像の数は釜山総領事館前の少女像を含め37体だ。
設置予定のものまで合わせると、全国の少女像は約60体に増える見通しだ。高校や大学が校内に設置した少女像なども多く、実際の少女像数はさらに多いとされる。
像が壊されたり、傷つけられたりする事例も発生しており、市民団体は少女像を「公共造形物」として登録し、自治体が管理する方策を模索している。
慰安婦を動員した戦争犯罪を海外に知らせるため、外国に設置される少女像も増えている。ソウル近郊の京畿道華城市の市民の募金で作られた少女像が中国・上海の上海師範大に設置されたほか、米国2カ所、カナダとオーストラリアのそれぞれ1カ所の計5カ所に少女像が設置された。米ワシントンでの設置が推進されている少女像はまだ設置場所が決まらず難航している
慰安婦被害者が共同生活を送る「ナヌムの家」の関係者は「釜山総領事館前に少女像が設置されてから外交対立が起きたが、もっと大きな問題は慰安婦合意に際し十分な意見聴取がなかったため、国民感情とかけ離れた内容で(合意が)決まったこと」として、「日本政府が真の謝罪や賠償のない慰安婦合意に固執する場合、少女像はさらに多く設置されるしかない」と述べた。
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●時論]10億円拠出に言及 少女像の解決迫る安倍政権
2017/01/09
【ソウル聯合ニュース】韓国の市民団体が先月末に南部・釜山の日本総領事館前に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像を設置したことをめぐり、日本政府が韓国に無礼かつ身勝手な圧力をかけている。安倍晋三首相は8日にNHKの番組に出演し、両国が2015年の慰安婦問題をめぐる合意で「最終的かつ不可逆的な解決」を確認し合ったと言及。日本は10億円をすでに拠出したとしながら、「韓国にしっかり誠意を示してもらわねばならない」と述べた。さらに「韓国は政権が代わろうとも実行することが、国の信用の問題だ」と強調した。日本政府は6日に長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事を一時帰国させると発表し、韓日の通貨交換(スワップ)協定の再締結に向けた協議も一方的に中断した。安倍氏が出演した番組は6日に録画されたもの。まるで軍事作戦でも行うように一日のうちにいっぺんに強硬な圧力カードを切ったことになる。外交の慣行に照らしても、礼儀も格式もない振る舞いに驚かされる。
日本のような経済大国の首相が韓国の通貨にして100億ウォン程度の資金拠出に触れながら、自分たちが果たすべきことはしたという趣旨で発言するのは見るも哀れだ。慰安婦問題は金ではかることはできない。しかも日本はこの問題に関しては言い訳のしようもないことを自覚すべきだ。いくら韓国政府と合意した内容とはいえ、テレビに出演しそのように発言することは首相の格にもふさわしくない。
その上、韓国は大統領の弾劾訴追という局面にあり、憲政的な危機状況に直面している。そこにつけ込み「次期政権」などと言いながら合意の履行を迫ったことに、言うべき言葉も失う。韓国の国民と政府に対する不実にとどまらず、侮辱に近い言いようでしかない。国同士の外交は商取引とは異なるべきだ。同じ内容でも伝えられる形式とルートによって全く別の意味合いに解釈される。安倍氏の発言は一国の政府のトップとして礼儀と品格を忘れ、同時に名分も失った。
「易地思之」(相手の立場になって思う)で考えてみることはできる。ソウルの日本大使館前の少女像を囲み毎週開かれる「水曜集会」は今月4日で25年を迎えた。1992年1月8日に最初の集会を開いてから1264回目の集会だった。そこに、釜山にもまた少女像が設置され、驚いたかもしれない。しかし百歩譲っても、これは違う。両国間の外交ルートでまず不満を伝え合理的な解決策を協議することが当然、かつ自然だった。一言半句、相談もなく新年早々こうした行動に出るのは分をわきまえていないとしか言いようがない。直ちに駐韓大使と総領事の帰国を決める性急さもどうなのか。外交関係者の間では特命全権大使の一時帰国は国交断絶の前段階の措置と受け止められる。わずかでも相手国を尊重し理解しようとする姿勢があれば、こうしたことは難しかったはずだ。
韓日両国が慰安婦問題を一段落させた2015年12月28日の合意は米国など友邦国から前向きな評価を得た。韓日両国が長年の葛藤を乗り越え新たな和解協力の時代を開くことができるようになったと評された。一方で韓国国内では、反発と波紋も小さくなかった。特に合意文に記された「最終的」「不可逆的な」という断定的な表現が国民感情を少なからず刺激した。釜山の東区が少女像を撤去しようとしたものの市民団体の反発により断念したことでも分かるように、この問題は政府が勝手にできることでもない。韓国政府が合意した以上は責任を取れというような態度は反民主的でもある。
日本はこうしたアプローチが自国の利益にもならないという点をまず悟る必要がある。慰安婦問題は韓国だけでなく中国と東南アジアの一部の国にもかかわりがある。このように高圧的で傲慢(ごうまん)な態度で臨むならば国の品格の失墜を招き、ほかの関係国の警戒心を刺激しかねない。あらためて強調するが、慰安婦問題に限っては、日本は乞う方の立場でしかない。韓国など被害国にまず懺悔(ざんげ)し贖罪(しょくざい)する気持ちを持たねばならない。そうしてこそ被害国の理解と許しを期待することができる。
先ごろ安倍氏がハワイを訪ね平和へのパフォーマンスをする間、日本では閣僚や議員が靖国神社を参拝した。それでいて1枚の合意文といくらかの金で慰安婦問題を永久に振り払うことができたと信じるならば、大きな勘違い、誤算だろう。
●少女像設置問題 「10億円返そう」=韓国最大野党
2017/01/09
【ソウル聯合ニュース】韓国最大野党「共に民主党」の禹相虎(ウ・サンホ)院内代表は9日の党幹部会議で、安倍晋三首相が8日のNHKの番組で旧日本軍の慰安婦問題をめぐる合意により10億円を拠出したことなどを挙げながら「韓国側にしっかりと誠意を示してもらわないといけない」と発言したことについて、「予備費でも編成するので10億円を返そう」と呼びかけた。
禹相虎氏=(聯合ニュース)
禹氏は「(10億円は)国民が屈辱と感じる資金」と指摘。慰安婦被害者を象徴する少女像が釜山の日本総領事館前に設置されたことについて、安倍首相の側近が「まるで振り込め詐欺だ」と不満を示したとの報道を取り上げ、「韓国の外交部長官が抗議もできない外交がどこにあるのか」と批判した。
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●日本との慰安婦合意交渉文書 一部公開命じる判決=韓国裁判所
2017/01/06
【ソウル聯合ニュース】韓国の弁護士団体「民主社会のための弁護士会」の宋基昊(ソン・ギホ)弁護士が外交部を相手取り、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる2015年末の韓日合意の交渉に関する文書の一部を公開するよう求めた訴訟で、ソウル行政裁判所行政6部は6日、文書を公開するよう言い渡した。
2015年12月28日、ソウルで慰安婦合意を発表する尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官(右)と岸田文雄外相=(聯合ニュース)
判決が確定する場合、外交部は日本との交渉で日本軍と官憲の強制連行を認めるかどうかを協議した文書を公開しなければならない。第1~12回の局長級協議の全文などが該当する。
判決は「情報公開法の目的は国民の知る権利を保障し、国政運営の透明性を確保するためのもの」とした上で、「慰安婦被害者問題は被害者個人では決して消し切れない人間の尊厳性侵害、身体自由の剥奪という問題であり、韓国国民の慰安婦被害者を守れず、しっかり面倒をみられなかったことへの意識、もしくは責任感の問題で、事案の重要性が大きい」と指摘。「慰安婦合意でこの問題が最終的・不可逆的に解決されるのなら、被害者だけでなく韓国の国民は日本政府がいかなる理由で謝罪と支援をするのか、その合意過程がどのような方法で行われたかを知る必要がある」とした。
また、「日本は慰安婦合意に至る過程で、韓日外交当局の過去の協議内容を詳しく紹介し、外交慣行に反した前例もある」とも指摘した。これは韓国政府だけが非公開にする必要はないとの意味に受け止められる。
宋弁護士は両国が合意の発表で「軍の関与」との用語を選択し、その意味を協議した文書、「性奴隷」「日本軍慰安婦」などの用語使用について協議した文書まで公開するよう求めていたが、裁判を進める中で争点を強制連行を認めるかどうかについて協議した文書に絞った。
一方、同団体が大統領秘書室長を相手取り、朴槿恵(パク・クネ)大統領と安倍晋三首相の電話会談の内容を公開するよう求めた訴訟で、ソウル行政裁判所行政1部は「外交的、政治的な攻防の対象になる憂慮が大きく、今後の他国との首脳会談でも韓国政府の信頼性にとって大きなダメージとなり、外交交渉力が弱まりかねない」として棄却した。
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