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CGポルノ裁判


この問題、現状は現行法・前提ですから児童は実在する児童でなければならないとしていますが、
実在する児童でなくてもポルノになると法改正すべきです。


そもそも児童だけでなく、その他のポルノも、一定の線引きは必要です。わいせつ概念でなく、性差別・性暴力を基準にすべきです。
写真や映画と同じくアニメ、マンガ、CG,絵画なども、その文脈、全体性で、禁止すべきものかどうかを判断すべきです。今の法の体系がおかしいですね。

 

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<CGポルノ裁判>「児童ポルノ」の考え方は 芸術ならわいせつじゃない?
THE PAGE 5月6日(金)16時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160506-00000002-wordleaf-soci

 

[写真]CG児童ポルノ裁判で東京地方裁判所は3枚について児童ポルノと認定した(アフロ)

 コンピューターグラフィックス(CG)で裸の女児を本物そっくりに描いて販売したとして、「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反の罪に問われた判決が3月、東京地裁でありました。 三上孝浩裁判長は、起訴されたCG34点のうち3点が「児童ポルノ」に当たると認定し、懲役1年執行猶予3年、罰金30万円を言い渡しました。


【表】ジュニアアイドル写真集もアウト? 「改正児ポ法」で罰則適用

 児童買春・児童ポルノ法とは、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の略称で、その法目的を児童の権利擁護としています。この法律では18才未満を「児童」と定義し、「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体などで、次のいずれかに掲げる児童の姿を視覚により認識することができる方法により描写したものとしています。

 

(1)児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
(2)他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
(3)衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

 今回の事件では、裁判官はどのような観点から児童ポルノと判断したのでしょうか? 担当弁護士のリンク総合法律事務所の山口貴士弁護士に聞きました。


「実在する児童」であるかどうか
――事件の争点は?

 まず、検察官がCGの元となったと主張する写真(画像)を提出しました。そして、この写真(画像)と制作したCGが同一か否かということが問題になっています。そこで、この写真に出てくる女性が実在しているか否か、その女性が18歳未満か否か、そして完成したCGが性的に興奮させるか否かということが大きな争点としてありました。

 検察官の主張は、それぞれのCGには描写する元になった素材(写真/画像)があって、それを収録した写真集や画像があるということで、女性も実在すると立証しています。

 

 さらに写真(画像)の女性が18歳未満であることを医師の証言で立証しようとしました。その上で、実在している18歳未満の女性の写真と描かれたCGがそれぞれ同一だとし、「だからCGは実在する18歳未満の女性を描写したものだ」というのが、検察官の基本的な立証構造です。

 

 これに対して裁判所はまず、「CGは『実際の児童』を見て描いたのではなく、『実在の児童写真』から描いた場合であっても、その写真を忠実に描いて写真で同一と判断できる場合は、そのCGは写真と同じと解すべき」だと言っています。

 

 そして、被写体全体の構図やCGの作成経緯や動機、作成方法を踏まえつつ、特に被写体の顔立ち、それから性器等(性器や乳首、胸部、臀部など)、児童の権利擁護の観点からも重要な部位について、「CGで描かれた児童の姿が、一般人から見て実在の児童を忠実に描写したと認識できる場合には、その実在の児童とCGで描かれた児童というのは同一性を有する」というふうに判断しています。

 

 ただ前提として重要なのは、児童は実在する児童でなければならず、例えば頭の中で架空の児童をファンタジーとして描き、それがリアリティのあるものであったとしても児童ポルノには該当しません。裁判所は児童の実在性を大前提にしています。

 

絵画で実在する児童を描いた場合は?

――もし、描いた手法がCGではなく絵画の場合ではどうでしょうか?

 お話しした基準に照らし合わせると、この判断基準はCGだけに適用される訳ではありません。裁判所は「絵画の場合は、実在するモデルを描く意図であっても、その描いたものが稚拙なために、一般人から見て当該児童と同一と認識できない場合は、写真と絵画が同一と認定しにくい」とも指摘しています。

 

 またCGや絵画を問わず、一般人から見て顔や体全体から輪郭と同一性があると言っても、例えば胸部・陰部を加工するなどして、結局胸部などの特定な部位においてモデルとの同一性が認められない場合がある。そういう場合になってくると、結局、同一とは認定しにくい、との指摘もありました。

 

――では、いろんな画像を集めて一人の人物を作り上げた場合は?

 コラージュのやり方次第だと思います。例えば、Xという少女の裸体に他の児童の写真を合成、または絵を描き加えた場合、実在する児童と認識できない場合には、児童ポルノと指摘する必要はないでしょう、というのが裁判所の見解です。ただ、Xの児童の顔に、Bという別の児童の体を合成したものであっても、Bが実在する場合にはXではなく実在するBを描写したもので、児童ポルノに該当しうるのではないかと指摘していました。

 また、児童の顔に成人女性の体を合成すると、児童の姿を描写していないので児童ポルノではありません。首から下が実在する児童であれば、児童ポルノに当たり“得る” としているのです。

 

裁判所はどのような判断をしたか?

――このような争点から裁判所はどのように考えたのでしょうか?

 まず裁判所としては、そもそも検察が元となった写真(画像)に写っている児童が実在しているか否かを判断しています。実在する児童をCGで描かない限り、児童ポルノとはなり得ないためです。

 出典不明の写真画像がハードディスクにあったというだけでは、裁判所は児童が実在することを認めていません。最近はカメラやコンピュータソフトの技術の向上があり、写真やデータを改変することがものすごく簡単になっているからです。そうなると、写真自体が改変されていることもあり得えるのです。結果的に写真集に写っている被写体以外は、そもそもモデルが実在するかどうかは分からないという前提で判断しています。

 

 さらに、その年齢についてです。裁判所は、写真集のプロフィールなどに書かれている「●●才」というのは重視していません。正確な年齢を記載している根拠がなく、さらに写真集となると幼さを強調する内容になっていることも多く、サバを読んでいる可能性もあるからです。

 検察官は、写真に写っている女性が18才未満かをいわゆる「タナー法」で立証しようとしました。タナー法は、性発達を評価する学問的な方法で、乳房の膨らみと乳輪の隆起具合、陰毛の濃さや広さから、1度から5度の5段階で発達ステージを定義して評価する研究手法です。5度だと成人女性である可能性が高くなると評価します。しかし、裁判所はこの認定方法の信頼性についても、かなり否定的な見方をしています。あくまで年齢的判定は統計的水準であって例外を認めないものではなく、さらにDNA鑑定ほど正確ではないからです。

 

 裁判所は、本件において、タナー法での1~2度の写真は、一見して顔立ちが幼いとか、乳房や肩幅、骨格など全体が未成熟なので、18歳未満と判断できるとしています。裁判所は、被写体が実在し、かつ、その被写体が18歳未満であると認定し、しかも、被告がこれを参考にしたものと認定した写真(画像)とCGを比較した上で、CG34枚のうち3枚が児童ポルノに該当するとの判断をしています。

 弁護団としては、この3枚も児童ポルノに当たらないと全面的に争っていくつもりで控訴しています。今回のインタビューにおける回答は、裁判所の判断の枠組みを解説しているのであって、妥当であると受け入れている訳ではありません。

 

芸術性があれば児童ポルノではない?

――猥褻罪の場合、芸術性も論点になることが多いと思います。児童ポルノと芸術ではどうでしょうか?

 

 刑法175条(猥褻物配布等の罪)の伝統的なテーゼとして、「芸術性があれば性的刺激が緩和され、猥褻ではなくなる」という発想があります。そして、この発想が、児童ポルノにも持ち込まれています。ただし、児童ポルノにおいて要求される性欲を含む興奮の刺激は、猥褻罪に比べると弱いものでもよいと解されています。

 実は当該事件においても、裁判官は検察官に、「175条についても訴因として追加するつもりはあるか」と尋ねたところ、検察側は「ありません」とはっきり言っていました。つまり、成人であれば猥褻罪でないものでも、被写体が18歳未満だと児童ポルノになってしまうことはあり得るのです。このように児童ポルノは、要求される性的興奮の度合いがかなり低いので、なかなか芸術性によって児童ポルノとは言えないレベルまで緩和されにくいのかもしれません。芸術性があるがゆえに児童ポルノではないという判決はない筈です。

 

 児童ポルノについての性欲、もしくは興奮刺激させるという要件はほとんど形骸化しています。猥褻罪は一般人を基準にしていますが、児童ポルノでは、同様に一般人を基準にした判断であるにもかかわらず、裁判所は、例え1歳2歳の画像でも対象としています。1歳2歳の幼児の全裸で、いやらしいポーズを取らせても、普通の人は痛々しいとか思うだけで、エロいとは思わないでしょう。

 しかし、性欲興奮を基準に持ち込んだがゆえのジレンマだと思うのですが、一般人を基準に性欲を刺激するか否かで判断すると、より保護性が必要な小さな子供の児童ポルノを取り締まれなくなります。一般人を興奮させうるレベルの児童ポルノは被写体が思春期以降ではないでしょうか? 今回の判決では、CGについて、性的刺激を緩和するほどの思想性、芸術性は認められませんでしたが、この点についても控訴審で徹底的に争う予定です。

 

(取材をおえて)
今回の裁判で、弁護側は児童ポルノと認定された3枚について、不服として控訴しています。ともあれ、このインタビュー記事を通して、現在の裁判における児童ポルノにおける基本的な考え方が理解できるのではないでしょうか?

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■重野真(しげの・まこと) 地方紙在籍中には支局/社会部に所属し、事件事故や学術文化などの報道に携わる。現在はフリーランスの記者として、雑誌・ウェブサイトで硬派記事を執筆するほか、ネットニュースの編集も手掛けている

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