自民党改憲案の緊急事態条項をまずやっていこうと右翼は大合唱していて、徐々にその方向に動いています。
だいぶ議論も出てきましたが、理性的な話し合いでなく、非合理な政治的戦い、運動でことは決まっていきます。
共産党しい委員長は、次のように(NHKの討論番組で発言しました。
「自民党改憲案の緊急事態条項では、戦争や大規模災害の際に内閣総理大臣の判断で国会にも諮らずに緊急事態の宣言ができる。そして内閣は法律と同等の政令を定めることができ、国民は国及び公の機関の指示に従わなければいけない。
三権分立を停止し、国民の基本的人権を停止すると。これは独裁政治への道だ。
災害を理由に(緊急事態条項の必要性を)言われるが、災害対策には災害対策基本法が整備されている。憲法は人権をきちんと保障し、緊急時の対応は法律で行うという今の枠組みを崩してはいけない。
一時的にしても(政府に)緊急権を持たせて立憲主義の縛りを解き、権力を自由にすることは非常に危険な毒薬だ。」
まともな意見ですが、これが多数とならないのが今の日本。
TBSテレビ報道番組「報道特集」2016年4月30日放送でも、東北大震災のときに緊急事態条項がないから災害救助に支障をきたしたということがないことが証明されていた。
しかし、まったく聞く耳を持たない輩が暴走する。
緊急事態を口実にした運動弾圧、言論の自由抑制、地方自治体の支配など、なんでもできるようにすること、明治憲法下の戒厳令の復活であるのに、緊急事態条項の本質を隠すために災害が使われている。議論なんてその程度のもの。
緊急事態の宣言が正当化されない場合でも宣言できるんだからどうしようもない。緊急事態の危機がおわってもそのままにされるから怖い。
秘密にすべきことでなくても秘密にできるのと同じ。
ドイツのワイマール憲法の第48条緊急措置規定によって、ナチス支配が進められたのが歴史的事実。軍事独裁政権は、この種の緊急事態を口実にした超法規的行動をしばしばとる。
自民党憲法改正推進本部、起草委員である西田昌司・自民党副幹事長は、『朝まで生テレビ!』で、 「そもそも、国民に主権があることがおかしい」などと発言。
公共を個人女上に置くという自民党憲法の考えとつながっている。
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以下の対談でも平行線。
「(憲法を考える)緊急事態条項の本質 礒崎陽輔さん×木村草太さん
2016年4月29日05時00分」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12334042.html?rm=150
木村 法律に全部丸投げするのは危険で憲法上の歯止めが必要だと思います。例えば裁判所がコントロールするというやり方もあってしかるべきだと考えます。
木村 99条3項の条項をこのまま作ったら人権制限に歯止めがきかなくなる、ということは指摘しておきたいと思います。
木村 98条に「社会秩序の混乱」という文言が入っているから様々な疑念を生むのです。
――国家緊急権は、権力者の暴走を防ぐために権力者の手足を縛っている憲法の秩序を一時的にせよ停止するという考え方です。それを憲法に盛り込むのは立憲主義の根幹にかかわるがゆえに慎重な議論が必要だとは考えませんか。
――緊急事態条項では、まずは大災害時の議員任期延長に特化して憲法改正に臨み、後から緊急事態全般に広げる改正をするのではとの臆測も呼んでいます。またこの条項を新設するなら、裁判所等による監視の仕組みを同時に導入しなければ、「緊急事態への対応」に名を借りた内閣独裁への道を開くのではとの批判も出ています。憲法改正に着手するというのであれば、この条項を入り口にせず、9条改正を正面に掲げるべきだとの批判にはどう答えますか。
98条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
99条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより(略)両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
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