以前にも紹介しましたが重要なので再度。
自民党改憲案で、緊急事態の宣言の真の狙い
は、外部からの武力攻撃への対応、「内乱等による社会秩序の混乱」に対する措置であるということ。
明治憲法下での戒厳令と同じ。
国会事後承認でいいらしい。
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『緊急事態条項』導入の本当の目的は災害ではなく戦争にある!憲法をこんな人たちにいじらせてはいけない!
2015年11月13日 | 日本とわたし
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/1e5fb00ed23a37a7f5e2038a307ab5ba
改憲派、1万人が集結 「今こそ国民的議論を」
【東京新聞】2015年11月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015111001001884.html
憲法改正を訴える集会にビデオメッセージで登場した安倍首相=10日午後、東京・日本武道館
憲法改正を目指す市民団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は10日、東京都千代田区の日本武道館で集会を開いた。
主催者によると約1万1千人が参加。
保守派の識者らが次々に登壇し「今こそ改憲に向けた国民的議論を巻き起こそう」と呼び掛けた。
安倍晋三首相もビデオメッセージを寄せ、
「私たち自身の手で憲法をつくる精神こそ、新しい時代を切り開くことにつながる」と訴えた。
集会では、国民の会の共同代表を務めるジャーナリストの桜井よしこ氏があいさつで、
「戦後70年の今、改正の機は熟しつつある」と指摘。
安倍首相が安保の次は「改憲を争点にする」と宣言!
自民党が目論む「緊急事態条項の新設」は、9条改正よりヤバい!
【LITERA】2015.09.26
自民党が作成した改憲マンガ『ほのぼの一家の憲法改正ってなあに?』(自民党HPより)
安保の次は改憲──。
安倍晋三首相が、24日(9月)の会見で、
「平和主義など、現行憲法の基本原則を維持することを前提に、必要な改正を行うべきだ」と述べ、
来年夏の参院選では、憲法改正を自民党の公約に掲げることを明言した。
ただ、そうは言いつつも、具体的に、何の条文を変えるかということまでは話さなかった安倍首相。
じつは、ここに大きなポイントがある。
というのも、安倍首相は本丸の9条ではなく、「災害時の緊急事態条項の新設」や「環境権」「財政規律条項」を全面展開し、世論を誘導しようと目論んでいることは目に見えているからだ。
これら3つの条項は、すでに、自民党が優先的に改正しようと提案しており、
例の「法的安定性は関係ない」発言の礒崎陽輔首相補佐官も、今年3月に行われた講演会で、
「一番テーマになっているのは緊急事態条項だ。そういうことをまずやっていきたい」と話している。
なぜこれを優先させるかといえば、国民の支持を得られそうな条項を全面に押し出し、「改憲って必要だよね」のムードづくりを行うことにある。
そして、その勢いで9条も変えてしまおう……。
それが自民党の目論見だ。
だが、じつはこの「災害時の緊急事態条項の新設」こそが、9条の改定と並ぶほど危険な、
別の言い方をすれば、“保守派の悲願”といってもいい案件なのだ。
「災害時の緊急事態条項」とは、簡単にいえば、巨大地震などの災害が起こった際に、
首相が緊急事態宣言を行えば、内閣は国会での事前承認なしに、財政措置などをとることができるようになる条項だ。
たとえば、自民党の憲法改正推進本部が、国民の“啓蒙”のためにつくった改憲マンガ『ほのぼの一家の憲法改正ってなあに?』にも、
この緊急事態条項は、改憲の必要性を説くくだりで、こんなふうに描かれている。
「地震なんかの時の憲法の規定はどうなってんだろう?」
「ない」
「えーっ⁉︎」
「今の日本の憲法には、地震なんかの緊急事態に関する規定はないんだよ」
(中略)
「緊急事態の時に、多くの国では、大統領などの行政のトップに強い権限が与えられるんじゃ」
「海外では、行政のトップが『緊急事態宣言』を出して、国会での予算措置を待たずに被災地にお金を使ったり、国会議員の選挙を延期したりできるんだよ」
「どうして?」
「スピードだな」
「それだったら、地震の時にもすぐに、住民の避難や復旧活動ができるってわけだ‼︎」
これだけ読むと、なんとなく、緊急事態条項があってもいいような気がしてくる。
とくに自民党が強調しているのは、東日本大震災発生時の対応。
この緊急事態条項があれば、今後、大きな災害が起こっても、迅速に対応することが可能になる、というのが彼らの言い分だ。
頻発している火山の噴火や、先日の水害、首都直下地震や南海トラフ地震への懸念が高まるいま、
「そりゃあったほうがいい」と、納得してしまう人も多いだろう。
ところが、こうした喧伝はまやかしに過ぎない。
事実、自民党が発表している「日本国憲法改正草案」の当該箇所には、こんなことが書かれている。
《(緊急事態の宣言)
第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、
特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる》
一目瞭然、自然災害が出てくるのは3番目だ。
主たる目的は、外部からの武力攻撃への対応であり、重要なのは「内乱等による社会秩序の混乱」に対する措置。
要は、明治憲法下での戒厳令を復活させようとしているのだ。
この草案によると、緊急事態宣言は、事後に国会の承認を得なければならないということになっている。
事後承認でいいというのは事実上、やりたい放題ということだ。
では、実際に、緊急事態宣言が出るとどうなるのか。
《(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、
内閣総理大臣は、財政上必要な支出、その他の処分を行い、地方自治体の長に対しても、必要な指示をすることができる》
つまり、政権は、国会の事後承認で好き勝手に法律をつくり、税金も自由に使えることになる。
しかも、通常は、国と対等な関係にある地方自治体の長も、指揮下における。
具体的には、尖閣諸島に中国の漁民が武装上陸しようとしていることを理由に、緊急事態を宣言すれば、
国の方針に従わない沖縄県知事に、命令する立場になれる、というわけだ。
そして自民党草案には、こんなことも書かれている。
《3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、
当該宣言に係る事態において、国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して、
発せられる国、その他公の機関の指示に、従わなければならない》
緊急事態宣言さえ出してしまえば、何人も、国の指示に従わなければならないということになる。
さらにダメ押しで、こうも書いている。
《この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条、その他の基本的人権に関する規定は、最大限尊重されなければならない》
14条は法の下の平等、18条は身体の拘束と苦役からの自由、19条は思想と良心の自由、21条は表現の自由だ。
一見、人権尊重の文言に読めるが、よくよく考えると、この人類普遍の権利でさえ、「最大限尊重」(厳守ではない)程度でOKなのだ。
緊急事態条項の“狙い”が、これでおわかりいただけただろう。
「災害が起こったらすばやく対応できるよ!」という触れ込みは、結局、緊急事態条項の本質を隠すカモフラージュ。
この条項を憲法に加える真の目的は、
明治憲法下の戒厳令の復活であり、
緊急事態を口実にした国民の権利の抑制であり、
言うことを聞かない地方を国に従わせる、ということなのだ。
緊急事態条項の根拠とされる「国家緊急権」は、歴史的にも、さまざまな議論がされてきた。
こうした権限が国家の権利として認められるか否かが、19世紀半ばから20世紀初めにかけてのドイツで、盛んに論じられた。
国家権力を、憲法の拘束の下に置くことを目的とした近代立憲主義のもとで、これが許されるかどうか、という議論である。
国家緊急権の問題点は、まず第一に、
政府が、緊急事態の宣言が正当化されないような場合でも、宣言を行う傾向があること。
第二は、
緊急事態の危機が去った後も、緊急事態措置を延長しがちであること。
そして第三は、
政府が緊急事態に対処するため、一般市民の人権を過度に制限しやすく、さらに裁判所も政府の判断を尊重して、市民の権利を抑制する傾向がある、ことなどが指摘された。
本来は、緊急事態から国民と国家を守る規定であるにもかかわらず、緊急避難的措置として独裁を許容しかねない危険がある。
1919年の、ドイツで制定されたワイマール憲法(第48条)では、
公共の安全・秩序に、重大な障害が生じた場合、または「その恐れがあるとき」、
大統領は、武力兵力を用いて、緊急措置を取ることができ、
この目的のためには、人身の自由、住居の不可侵、親書・郵便・電信電話の秘密、意見表明の自由等の、7か条の基本権の全部、または一部を、一時的に停止しうるとしていた。
この規定が乱用され、後のナチス支配への道を開くことになったことは、歴史が教えてくれている。
世界各地で見られる、クーデター後の軍事独裁政権が主張するのも、この国家緊急権だ。
自民党憲法改正推進本部で、起草委員である西田昌司・自民党副幹事長は、『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)に出演した際、
「そもそも、国民に主権があることがおかしい」などと発言している。
こんな議員たちが押し進める憲法改正案が、人びとの安全を第一に考えているなどとは到底思えない。
自民党のマンガの、「大地震が起きたときに被災地に一刻も早くお金を送るため」などというペテンに、くれぐれも引っかからないよう気をつけなければいけない。
(野尻民夫)