映画『チリの闘い』
『チリの闘い』(1975年映画) 3部作263分、を見た。
学生のころ、地理で社会主義政権ができたが、軍事クーデターでつぶされたことを知った。関連する映画を一部見たこともあった。徹夜での映画祭だったな。
クーデターをきっかけにフランスへ亡命したグスマン監督が、当時のチリにおける政治的緊張と社会主義政権の終焉を記録したものというのでぜひ見たいと思った。
時代の流れを思う。感じた。稚拙さがある。しかし当時はそれがリアルだったのだ。
そして本当に、そのようにデモとか、集会とかで、社会主義的な方向を目指していた。
懐かしく、そこにある、希望や解放感や、理想に、それはその時代に生きた人には、いい時間だったと思う。
あの当時の息吹がわからない人には、伝わらないところがたくさんあるように思った。
真面な人間の誇りや感覚がある時代のうごきだ。
で、うぶな政権を追い詰めるために、非協力的に経済を混乱させていく勢力があれば、こうなるだろうとも思う。
悪い奴が勝つということを見せつけられる。
それでも…と思うが、今では素朴にあのやり方を追求してりゃあ失敗するだろうなと思う。勝ち残るのは悪人のみ。
非暴力で、連帯的である者が勝つのはむつかしい。逆に暴力でクーデターを起こすとか、抵抗して経済を混乱させるのは簡単だ。
利権で人をつなげるのは簡単だが、その逆を安定的に続けるのはむつかしい。
元気が出るかと思ったが、重い気持ちになる映画だった。
だが、悔いなく生きた人を見れる記録であることは間違いない。
◆HP情報
「光のノスタルジア」「真珠のボタン」で知られるチリのパトリシオ・グスマン監督が、1975年から78年にかけて手がけた3部構成のドキュメンタリー。東西冷戦下の70年代、チリでは選挙で選ばれた社会主義政権が誕生し、「反帝国主義」「平和革命」を掲げて世界的な注目を集めた。
しかし、その改革路線が国内の保守層やアメリカ政府などとの間に軋轢を生み、やがて民衆の生活は困窮。73年9月11日、米国CIAの支援を受けた軍部がクーデターを起こし、サルバドール・アジェンデ大統領は自殺。
陸軍のアウグスト・ピノチェト将軍を中心とした軍事独裁政権が生まれる。同クーデターをきっかけにフランスへ亡命したグスマン監督が、当時のチリにおける政治的緊張と社会主義政権の終焉を記録した。
映画は、75年製作の第1部「ブルジョワジーの叛乱」(96分)、76年製作の第2部「クーデター」(88分)、78年製作の第3部「民衆の力」(79分)の3部作になっている。
日本では2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭などで上映。16年、3部作をあわせた263分(4時間23分)の作品として劇場公開。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞