・最高裁・2022年7月、伊藤詩織さんの性被害、元TBS記者への賠償命令が確定
ジャーナリストの伊藤詩織氏(33)が性被害を受けたと訴えて元TBS記者の山口敬之氏(56)に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は山口氏の上告を退けた。山口氏が同意なく性行為に及んだと認定して約332万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した。2022年7月7日付の決定で、第一小法廷は憲法違反などの上告理由がないとだけ判断した。
二審判決は山口氏の反訴について、伊藤氏が著書などで「(山口氏が)デートレイプドラッグを使った」と表現した点は真実と認められないとして、伊藤氏に55万円の賠償を命じた。第一小法廷は伊藤氏の上告も退け、二審が確定した。
二審判決によると、伊藤氏は2015年、就職先の紹介を山口氏に求めて都内のすし店などで飲食した後、ホテルの部屋で、酒に酔って意識がない状態で性行為をされた。山口氏は「(伊藤氏が)誘ってきた」と反論したが、伊藤氏が直後に知人や警察、病院に被害を伝えていたことなどから、判決は「信用できない」と退けた。
東京地検は16年、準強姦(ごうかん)容疑で書類送検された山口氏を嫌疑不十分で不起訴処分としている。
伊藤氏は17年に記者会見して被害を公表。実名や顔を出して発言を続け、性被害を告発する「#MeToo」運動の高まりに影響を与えた。性交に同意がないだけでは処罰されない現状の刑法の問題点も訴えた。
一方、ネットやSNS上で激しい中傷やバッシングを受け、投稿者らに賠償を求める複数の訴訟を起こしている。
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警察庁長官「問題あった」と認める 安倍元首相の警護警備「基本の怠りいくつも」の指摘も
東京新聞 TOKYO Web 2022年7月12日 20時58分
安倍元首相の警備体制について記者会見する中村格警察庁長官=東京・霞が関の警察庁で
安倍晋三元首相への銃撃事件から4日、警察組織のトップが初めて記者会見し、警護・警備に問題があったことを認めた。警護対象となっていた首相経験者が襲撃され、死亡するという失態への批判は大きく、警察当局は早急な対応を迫られている。
12日午後5時半から警察庁であった記者会見。中村格長官は苦渋の表情で「重大な結果を招いた。警察庁長官としての責任は誠に重い」と語った。ある警察幹部は「警備は結果責任。長官の処分は免れないだろう」と話す。
◆内部に検証チーム設置
12日に警察庁に設置された「検証・見直しチーム」は、検討項目の筆頭に警護・警備の「体制と配置」を挙げた。
8日の事件当時の映像などでは、演説中の安倍元首相の背後から近づく山上徹也容疑者(41)に、現場の警察官たちが気づいていなかったようにも見える。
当日の体制の詳細は明らかにされていないが、警護計画は奈良県警が作り、警視庁から警護員(SP)一人が派遣されていた。現職ではない元首相については特段の事情がない限り、警察庁が都道府県警に警護計画の報告を求めてこなかったことの是非も問われる。
また、発砲の間隔は1発目と2発目で約3秒あったにもかかわらず、1発目の後に安倍元首相をかばう対応が不十分だったとの指摘があり、緊急時の対処が適切だったかも検証される。
◆専門家「背後のみを監視する警察官がいれば」
米国で要人警護やテロ対策の訓練を受けた警備会社「リスクコントロール」(東京)の伊藤慎一社長は「基本の怠りがいくつも重なった」と分析する。
伊藤氏が最も問題視するのが警察官の配置状況。「安倍元首相の左右に警察官が立っていたが、前方の聴衆の監視が中心になり、背後を十分に警戒しきれていなかったのではないか。背後のみを監視する警察官がいれば、容疑者は犯行に踏み切れなかったはずだ」と話す。
SPの立ち位置も元首相と「離れすぎていた」とし、「通常は要人と1~2歩の距離にいなくてはいけない。そうすれば、2発目の前に立ちはだかったり、元首相を突き飛ばすなどして守ることができた可能性がある」と指摘する。
警察庁の検証・見直しチームについて、「二度とこのような結果を招かないよう、警備計画や配置が適切だったのか、しっかり検証してほしい」と求めた。(佐藤大、山田雄之)
◆警察庁長官「重く受け止める」会見で進退には言及せず
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件を受け、警察庁の中村格長官は12日に記者会見し、「警察として警護・警備の責任を果たせなかったことを極めて重く受け止めている。ざんきに堪えない」と述べた。
警察庁は同日、露木康浩次長をトップとする「検証・見直しチーム」を設置。事件時の体制や配置などを検証し、警護・警備の在り方を抜本的に見直し、検証結果は8月中に取りまとめる。
中村長官は12日の臨時の国家公安委員会後に会見を開き、「警察庁は都道府県警察を指揮監督する立場。現場の対応のみならず、警察庁の関与の在り方にも問題があった」とした。
自身の進退について問われ「今の段階で私が果たすべき責任は、検証と見直しの作業に全身全霊を向けることだ」と述べた。