ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

新国立競技場問題  私の視点

 

 

東京オリンピックの中心地、新国立競技場の建設問題が異常に過大に扱われている。私は最初から興味があまりなかった。いつもの公共事業の利権問題と類似のひとつに過ぎないからだ。

 

だが、異常に大きく扱われている。そこにはいい面もある。いつもならスルーされてしまう、政治家や業者が裏でほくそえんでいがバレない利権構造があぶりだされているからだ。

しかし抜け落ちているものがある。私の主流秩序の視点からはいくつものことが指摘できるが、思いついたことを以下簡単にメモっておく。この程度のこと、すでに言っている人がいるかもしれないが。

 

(利権の談合現場をスクープ)

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1 安保法案の議論があるときに、注目をこっちに向ける要素(目をそらせる役割)がある。事実、ワイドショーの取り上げ方は、安保議論ょりも大きい。

 

2 オリンピックは拙著にも書いたように、主流秩序・スペクタクル社会の典型である。だがそうした根本批判がない。

そもそもオリンピックは利権の塊であり、オリンピック自体が、日本社会の諸問題をオリンピックという見世物で大衆を操作する「パンとサーカス」のサーカスに過ぎないものだった。私はブログで、東京オリンピック決定のとき、大きく失望したことを書いたが,新国立競技場問題はオリンピック祝賀ムードに水を差すという言いかたでオリンピック自体への批判に目を向けていない。ナチスがオリンピックを利用した歴史と同じく、安倍はヒトラーのようにこれを利用している。

 

3 最初から反対勢力は、巨大な競技場はその後も維持費が高いなどの問題があると言っていた。誘致のときのそうした批判意見を無視して、東京決定を喜んだのはだれだったのか。

 

4 計画時に1300億円と言って、その後、一挙に3000億円(2520億)と膨らむのは、いつものやり方に過ぎない。飛行場や道路や公共事業を進めるときに、まずは、御用学者と役人が、建設に有利な数字をでっち上げる。そして計画が通った後、じっさい建設が進むと、建設費は膨らみ、利用者数の実際は予想よりも低くなり、予想よりも赤字が大きくなり、しかしだれも責任を取らない。儲けたのは建設業者などである。いつものこと。自民党はヤン場ダムでもそうだが、民主党が何とか少しでも減らそうとしても、またまた国土強靭計画という名で、公共事業という名の利権の場を拡大している。この点を批判しないのがおかしい。

 

5 安倍の嘘だらけの言葉でオリンピックを誘致したことを批判しないのがおかしい。安倍首相は、誘致合戦の際、IOCで、福島第1原発について「状況はアンダーコントロール」といい、「東京にはいかなる悪影響を及ぼしたことはなく、今後も及ぼすことはありません」といいきった。こんな大嘘を言って誘致したのだ。その中に、この新国立競技場にも言及していた。

ほかのどんな競技場とも似ていない、真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、その確実な実行が確証されたものとなります」といって、ザハ案のようなものをPRビデオで見せて開閉式天井、「キールアーチ状」のものを自慢気に示し、このデザインを国際オリンピック委員会(IOC)総会で世界に発信して、東京が開催を勝ち取ったのは周知の事実で、国際公約になっている。半径8キロ以内でまとめるといっていたことも完全に放棄している。 

 

つまり安倍はいろいろな嘘でオリンピックを東京にもってきたのだ。国際的なそつきである。彼の責任が大きい。そこを批判しない今の報道おかしい。なお東京に原発事故の影響は出ている。環境省の鎌形浩史・廃棄物リサイクル対策部部長は、「原発の事故に伴って出た放射性物質が、東京都にも飛散し、それによって生じたものがある」と述べている。

 

6 軍事国家化を進める安倍政権は、防衛費を拡大させている。オスプレイは一機200億で、それをたくさん買うことをきめている。新国立競技場1300億、2520億も無駄だが、防衛費、オスプレイはもっと無駄だ。税金を無駄に使うなというなら、だれか一人でもテレビで、この問題を解決するためにも、オスプレイを10機減らして税金を効率よく使えばいいというべきだ。(だがそういうことを言う人はコメンテーターとして使われない)

 

7 嫌われもんの森元首相がやりだまにあげられているが、彼は正直だ。「2520億円ぐらいを準備できない政治がおかしい」「東京オリンピックの開催でかかる経費はだいたい2兆円くらいになるが、ほかの所も同じ」「メディアは新国立競技場の話題ばかりに注目するが、ヨット競技一つを考えても、堤防やボートコースを整備するためだけに数百億円単位の費用がかかることになったのに、誰も高いとは言わない。メディアも取り上げていないし、スポーツ担当記者も何も言わない。なぜ、国立競技場のことばかりを言うのか」

というようなことを言っているが、

 

実は安倍も含め、政治家の感覚は本音はそうだろう。GDP 500兆円の国を動かしているので、2000億円など日常予算で動かしているみなれた数字に過ぎない。1000億と3000億は彼らにとっては少しの違いで、当然、建設産業が頼めば高い方に何とか誘導するだろう。建設費が高いほど企業はもうかり、政治家へのバックも大きくなる。たとえば来年5月に開催される三重県伊勢志摩サミットではメイン会場以外にほかに8つもの場所で閣僚会合を開き、2400億円もかけるという。税金の無駄遣いだらけだ。新国立並みにほかのも調べて批判してほしいものだ。

8 拙著『閉塞社会の秘密──主流秩序の囚われ』で書いたことだが、スポーツ業界と政治は密接に関わっており、今回のようにそこが少し批判的に見えたのは例外的状況だ。しかしメディアではそこを十分に指摘しない。JOCなどのひどさを批判しない。おろかしい。

 

以下は、拙著『閉塞社会の秘密──主流秩序の囚われ』に書いたことの一部。

「アマチュアアスポーツを統括する団体である日本体育協会は、1947年以降、一貫して大物政治家(森喜明首相、河野謙三・参院議長など)が会長を務めており、各種スポーツ団体も会長はほとんど政治家だという。補助金や政治的コネと票・名誉を取引する結合であるといえる。」

 

「オリンピック、1970年の大阪・万国博覧会、その後の同種博覧会、ディズニーランドを頂点とするテーマパークなどはスペクタクル社会の典型である。なお大阪万博のときにはそれに反対する「反博」の動きがあり、岡本太郎は万博のテーマ「人類の進歩と調和」を批判して、「人類は進歩なんかしていない。“調和”というが皆が少しずつ自分を殺して頭を下げあって、こっちも六分、相手も六分どおり、それでなれ合って調和なんて卑しい」と述べていた。今やそのような批判精神は大きく衰退し、だれかが仕掛ける大きな仕掛け(たとえばお台場、六本木ヒルズスカイツリーなど商業施設、オリンピック等)に無批判的に乗る風潮が加速している。」

 

「オリンピックで活躍したウサイン・ボルト選手は、企業のスポンサー契約で年間13億円の収入という。彼は、企業の商品を身にまとうことで、皆に、イメージを売っている。こうして彼は商業主義、スペクタクル社会の一翼を担い、多額の報酬を得ている。ここに共犯関係があるが、それに踊らされる大衆も含めて主流秩序を形成している。」

 

9  自民党がオリンピックを政治利用していることをはっきりと示すように、森元首相はつぎのように言った。

「個人的な感情で言えば、2020年の東京オリンピックパラリンピックの開幕宣言は、安倍晋三首相にやらせてあげたいと思っている」

これを批判すべきだが批判しない。

 

以上