植松容疑者は、私だ
相模原市の障害者施設殺傷事件は、確かにこの植松聖容疑者の個人的問題がある、つまり、麻薬をやっていて異常な状態になっている者、「大麻精神病」「妄想性障害」という病人だろう。
しかし、効率を大事にし、新自由主義・弱肉強食でいいとし、自己責任論でいいとし、主流秩序を良しとする人は多いではないか。それならば、失業者が100万人いても仕方ないし、自己責任だと思い、その人が生きるのが苦しいことに同情しない。自殺しても自業自得と思う。ホームレスの人が道に寝ていても、なんとも思わない。むしろ邪魔と思う。きえてなくなればいいとおもう。電車で自殺者が出て電車が止まったらイラッとする。勝手にどこかで邪魔にならないところで死ねよと思う。
職場で仕事が遅い人を見てイラッとする。下請け企業の人に怒鳴る。パートに怒鳴る。
つまり功利主義的な発想の人、つまりは主流秩序の価値観の人は多い。
で、その考えを突き詰めれば、能力のないものはくたばればいい、いなくなればいい、社会の邪魔、社会の無駄、社会のお荷物となる。移民を受け入れないとか、企業で簡単に解雇するとかとなる。生活保護利用者を罵倒するとなる。
ならば植松容疑者のしたことを他人事と言えるのか。彼のしたことはもちろん極端だし、正当化されないが、彼と考えがつながっている人だらけではないか。
それは私にだってある。私は能力主義に囚われ、名声にとらわれ、外見に囚われ、金にとらわれ、権力に囚われているところがある。外国の地震被害者には日本の被害者よりもこころが動かされないほどの想像力の低さである。ヴィーガンの主張は正しいと思いながら、ヴィーガンになれないような矛盾ある人物である。
障がい者解放研究会にむかし入っていたし、かなり長らく青い芝の障がい者の人の介護に入ってきた。しかし私は障がい者差別の意識をまだ持っている。
自分が障碍者になることを100%受け入れられるような人物ではない。
とするならば、植松容疑者は私なのである。
私はDV問題にかかわっているが、私は自分にもDV加害者と連続したものがあると思っている。誰もが加害者の側面がある。
私はDV加害者である、と捉える人が増えることが、DVが減っていく社会の具体像なのである。
それは女性も同じである。そこがなくて一面的になりすぎるものは危ない。
まして、ネットにはネトウヨが徘徊し、日本でも世界でも、単純な排外主義がはびこっている。日本会議に浸食された人が多数いる国会議員。橋下、安倍、石原など、皆極右的要素があるではないか。ヘイトスピーチでは、朝鮮人韓国人を殺せ! 朝鮮人ゴキブリを殺せ!といっている。
日本で多くいるこうした右翼系の人たちなど、「ヒトラーの思想が降りてきた」という植松容疑者と思想はどっこいどっこいだ。
非常に近いのだ。
ナチスドイツだけが障がい者差別しているのではない、主流秩序の価値にとらわれている多くの人は、障がい者差別の思想であり、植松容疑者の考えと自分を別物とは言えない。
働けない者は自然淘汰されたらいいと思っている人は実は多いのだ。
なのにメディアでは、障がい者の命も同じ重みという建前を言う。
本当に本当にそれを言える人は少ない。
「言えない自分、矛盾」を見つめる誠実さがないことは恥ずかしい。
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緊急措置入院中、病院のスタッフに話す
相模原市の障害者施設殺傷事件で、植松聖容疑者(26)が緊急措置入院中、病院のスタッフに「ヒトラーの思想が2週間前に降りてきた」と話していたことが、相模原市への取材で分かった。ナチス・ドイツは障害者を「価値なき生命」と決めつけ、「国家的安楽死」と称して大量に殺害したことで知られる。
市は2月19日、植松容疑者の措置入院の是非を判断するために神奈川県警津久井署で面談。植松容疑者は「世界に8億人の障害者がいて、その人たちに金が使われている。それをほかに充てるべきだ」などと話した。時折、いら立つような様子もみせながら淡々と述べたという。市によると、ナチス・ドイツを肯定する言葉は20日にあり、これが措置入院の決め手の一つとなった。
植松容疑者は22日、専門医によって「大麻精神病」「妄想性障害」と診断された。入院中の検査で大麻の使用を示す結果が出たことも明らかになっている。その後の3月2日に専門医の診察に対して「入院前の自分はおかしかった」と反省し、大麻による症状が消えたなどと判断されたため、市は措置入院の解除を決定したという。【水戸健一】
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