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主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

過労死問題―ー小島慶子さんの指摘はジェンダー視点が入っていてまとも

 

電通過労死問題。ようやく「鬼十則」を手帳からはずとか言っていますが、建前の対応だけで、電通長時間労働であるのは変わらないでしょう。、なぜなら能力主義、主流秩序ばりばりの勝ち組志向の人が集まっているからです。

 

そんな中で、以下の小島さんの指摘はジェンダー視点があってまともです。
トランプから「切れ者」と言われ、プーチンなどとともに評価されている安倍首相です。
トランプが女性蔑視、—――外見で美人でない人を馬鹿にする姿勢、美人じゃないからセクハラするはずがない、俺のタイプでない、金があれば女はセックスさせるなどなど―――ということは他のことにつながる重要な彼の思想問題です。安倍がジェンダー平等へのバックラッシャーであることと軌を一にしています。

 

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電通過労自殺から考える—小島慶子からのメッセージ
日経ウーマン オンライン 2016年11月7日 


――人間らしく働き続き続けるために考えたいこと

大手広告会社・電通に勤務していた20代前半の女性が過労自殺をした事件。長時間労働パワハラやセクハラなど、決して他人事ではない原因が考えられる今回の事件を、小島慶子さんはどうご覧になっていたのでしょうか。「人間らしく働ける環境」とは何なのか、それを獲得するためにはどうしたら良いのか――一緒に考えていきましょう。


男女共にある「刷り込み」とは

 世界経済フォーラムが発表した男女平等ランキング、2016年版「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本は144カ国中111位。昨年より10も下がって、過去最低の水準です。


 教育・健康の分野では順位を上げたものの、経済は12も下がって118位、政治も1上げたのみの103位。日本の男女の経済格差や政治的な発言力の差は、先進国とは思えないほど大きいのです。
 そういう国で女性として生きているのだということを、私たちは忘れてはなりません。
 これらの格差は様々な制度の問題が背景にありますが、男性にも女性にも刷り込まれた「あるべき女性像」「あるべき男性像」が大きく影響しているのではないかと、私は考えています。

 


あなたはどのぐらい、「刷り込み」から自由ですか?
 長時間労働と滅私奉公を信奉するのがあるべき男、可憐で控えめな態度で男性をそっと支え母のように包み込むのがあるべき女、という幻想から、あなたはどれほど自由でしょうか。


 いいえ私は男性並みに働いているわ、というあなたは、もしかしたらその「あるべき男像」と「あるべき女像」を両方取り込んで、引き裂かれているのではありませんか?
 昨年末、電通で過労の末に鬱病となり自ら命を絶った高橋まつりさんは、まさにそんな二つの「あるべき姿」を押し付けられていました。サービス残業も休日返上も当たり前、それがあるべき企業戦士、という企業風土と、女子らしくしろよ、というセクハラと。


 あなたにも経験があるのではないでしょうか。まるで「男社会に対等に仲間入りしたいなら、女子の役割をちゃんと果たせよな」とねじれた要求を突きつけられているVS女という対立ではない。では、何なのか?
 これは単なる「男VS女」という二項対立ではありません。


 「心身の限界まで働くことが正義である」「女は女らしく、可愛げのある容姿や態度でいるべきだ」「新人はどんなしごきにも耐えろ」という価値観を当然のこととして他者に押し付ける人々と、それに対して声をあげることもできず壊れるまで適応しようとしてしまう人たちとの、とても理不尽な関係なのです。

 


 女性であってもそのような「常識」を押し付ける人はいますし、男性であってもその「常識」に押しつぶされて辛い思いをしている人はいます。
 世界経済フォーラムの調査でも指摘された日本の男女の著しい所得格差ですが、従来のような私生活を犠牲にした男性のような働き方がスタンダードである限りは、決してその差が埋まることはないでしょう。


 男性にとっても女性にとっても、家庭や私生活を犠牲にした働き方はもう到底持続可能なものではないのです。それを共働きで家計を支えている今の30代40代の人たちの多くは実感しているはずなのに、依然として制度が、そして「常識」が変わらない。
 男性も女性も、長時間労働と理不尽なハラスメントに耐えることが有能さの証、という風潮は日本の社会に浸透しています。なぜでしょう?


おかしな有能さの証…原因は?


 学校生活や部活動で、そのような訓練を積んできているのです。どれほど理不尽で過酷な課題だろうと、泣き言を言わずにクリアするのが優秀な生徒であると。それに加えて、「意見を言うのはみっともないことだ」という刷り込みもされています。
 そうではないですか? 教室で手を挙げて質問すること、先生に異議を唱えること、誰かの意見に同意しないこと、これら全てが「わがまま」「空気を読めない」「イタい」などと言われてきませんでしたか?
 そのように叩き込めば、組織を運営する側には極めて扱いやすい人材が育つでしょう。では、私たち一人一人が幸せになるために、その教育は本当に有益なのでしょうか?


 さらに女性は、家庭での会話や雑誌などの文言から繰り返し「可愛いことは正義」「愛されることが勝利」「女の子は従順で柔和で、控えめであれ」と刷り込まれます。それに息苦しさを感じているのに、他の女性が堂々と意見を言ったりするのを見ると「嫌な女」「目立とうとしている」などとつい批判的になってしまう…そう、あなたの中には「あるべき女子像を押し付ける何者か」が住み着いて、自分にも、他の女性にもダメ出しをしているのです。

 


 可愛い女子であれなんてまっぴら!と思いながらも、そうでなければ生き残れないと思い込んでいる。だから、「セクハラされたらオトナの対応で受け流すのが聡明さの証」「セクハラを逆手に取るのがいい女」という、単にセクハラを正当化するための屁理屈を、疑いもなく「処世術」として受け入れてしまったりするのです。
 これが器用に生きるってことだよね...なんて自分に言い聞かせて。
 NO! それは間違っています。

 


「これはおかしい」と感じたら、どうすべき?


 長時間労働はおかしい、セクハラは許せない、という気持ちは「空気を読めない」のでも「意識高い系」でも「頭が硬い」のでもなく、人が人間らしく生きるための当然の主張。
 今まで私たちが「当たり前のことを言うのはダサい」と思い込まされてきたのは、いったい誰が得をするためだったのか? その考え方が、今まであなたを幸せにしたのか? よく考えてみてください。


 男性も女性も、これはおかしいと思ったら声を上げる。労働組合に相談するのでも、人事に相談するのでも、社内で署名を募るのでもいい。ブログやSNSで発信するのもいいでしょう。世の中で「常識」とされている働き方やハラスメントにNOということが、いま何よりも大事です。長時間労働も野放しのハラスメントももう「常識」じゃないと、世の中の空気を変えなくてはならないのです。誰かがやってくれるのを待つまでもなく、あなたがすぐにでもできることなのですよ。


 まず、思ったことを言う習慣をつけること。それを怖がらないことです。女性が意見を言うこと自体がまだ珍しい社会ですから、誰かの意見と違うことを述べたり質問したりしただけで「喧嘩」「ヒステリー」「生意気」と言われます。


 でもそれは、意見を述べる女性や議論を見慣れていない人々が不安を感じ、貧困なボキャブラリーの中からその程度の言葉しか選び出せないというだけのこと。真に受ける必要はないのです。リテラシーのない人たちの揶揄に怯えて口をつぐまないで。


 2020年度からの新学習指導要領では小学校から「アクティブ・ラーニング」を強化すると謳っている日本ですから、活発な議論や自発的な質問に、大人も慣れておかなければなりませんしね。

 


おかしいと思ったことは、おかしいと声を上げること。意見を言うのはわがままなんじゃないかと自分を責めないこと。そして同じように声を上げる人を励ますこと。一緒に行動を起こすこと。それでも何も改善しなかったら、自分の心身の健康を犠牲にしてまで、そんな職場にいてはいけません。


 あなたが人間らしく働ける環境を最優先にして下さい。会社のブランドや規模は、本当にあなたを幸せにするのでしょうか。
 一度しかないあなたの人生を、どうか悔いのないものにして欲しいのです。
文/小島慶子 写真/PIXTA

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