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ソウルヨガ

主流秩序、DV,スピシン主義、フェミ、あれこれ

NHK・クローズアップ現代+「“少女像”問題」のひどさを確認するーーその1 (全4回)

 


―――NHK番組・クローズアップ現代+「韓国 過熱する“少女像”問題~初めて語った元慰安婦~」の個人的検証―――

 


2017年1月24日に、韓国の〈平和の少女像〉(以下、少女像、あるいは慰安婦像)と日韓「合意」を取り上げた「韓国 過熱する“少女像”問題~初めて語った元慰安婦~」がNHK番組「クローズアップ現代+」の枠で放映された。
しかし番組は、非常に問題のあるものだった。


すでに私のブログで、これへのいろいろな団体の批判は紹介しているが、今回、私は、番組の流れを細かく見て個人的なツッコミコメントをしておきたい。
長くなるので、4回に分けてブログに載せる

 

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すでにこれに関して触れた私のブログ
2017-01-31
NHKの慰安婦番組のおかしさを指摘する申し入れ
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2017/01/31/214721

2017-01-31
NHKの慰安婦番組のおかしさを指摘する申し入れ  その2
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2017/01/31/220202


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以下、番組内容を伝えるところでは冒頭に「●」をつけ、私のコメントは「→」の後に書くことを基本として記述していきます。番組内容要約は私なりに省略して主旨をつかんでまとめています。


なお、このブログでは、慰安婦当事者の立場に寄り添い慰安婦に対して日本政府の国家謝罪を求める運動側、「日韓合意」に反対している側、少女像設置等を通じて韓国政府・日本政府に反対する運動側をまとめて、「反合意運動側」と呼びます。

 

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●まず、番組では「過熱する少女像問題」と名付けている。

 

→ ここで「過熱」という言葉を使うところにもうバイアスがある。適切な反対運動ではなく過剰になっているという評価のニュアンス。次に

 

●「自分たちの思いを韓国社会はわかっていないのではないか」と、れまで固く口を閉ざしてきた元慰安婦の女性が初めて取材に応じて胸の内を語った。
そして元慰安婦の人の声「自分たちには苦労があるのに、それをしらないであんな騒ぎを皆が起こしている。本当に胸が痛みます」

 

→ 導入に、番組内容全体のポイントのことばを紹介しているが、それがこの言葉。ということで一人の元安婦女性の思いをもって、いまの反「日韓合意」運動に批判的なニュアンスで行うのだなと思わせるところから番組は始まる。

 


●釜山の少女像設置での反対運動の声の後に、「もう日韓で憎しみ合うのは辞めましょう」という一人の青年の声を取り上げる。

 

→こうした人物は韓国では非常に少数だと思われるし、あとで触れるように正体不明の人物だが、番組では早くもここにこの正体不明の人物の映像を入れることで賛否が拮抗しているかのような扱い。イメージとしては、「感情的に興奮する反合意運動側、少女像設置側」に対して、冷静な意見を言う人というもの。

 

そしてナレーションで「少女像問題の真相に迫ります」という。

 

→ 以下の番組では「真相」ではなく、日本政府の見解に沿った偏った番組作りをしているのだが、まるで隠された真実がこれだというような作りで始めている。本当に真相を伝えるならいいが、実は伝えない偏向番組だったのに。

 

●次に日韓合意を簡単に3点にまとめて説明するフリップ。その後歴史的経緯を示すフリップ。
「ようやくまとまったのがこの2015年の日韓合意でした」といって、いいものであるかのように紹介。

 

→しかしここでは、「この日韓合意の問題点、この合意に何が足りないか、何が避けられているか」が示されていない。
だから素人の人は、二本が謝罪もしているし10億円も出しているし、かなり日本が歩み寄って「解決した」という合意だから「いいものだ」というイメージを植えつけられる。


この冒頭での決めつけがおかしい.合意締結当時から大反対が韓国で起こり、日本でも慰安婦支援運動をしてきた人たちからはすぐに批判が続出した。

この合意は、運動側が求めているものを全部否定したものであった

日本政府が戦争賠償に関しては解決済みという枠を踏襲するものでしかなかった。国家賠償はしないというものだった。そして慰安婦像撤去まで条件にいれていた。また日本政府ではなく韓国政府・「和解・癒し財団」が当事者や運動側を説得する(金の支払いなどの事業を行う)ようになっていて日本政府がすべきことを免除・免罪した。そして最終的に不可逆的に終了と言って、「今後慰安婦問題ではもう何もいうな」と約束させるものだった。


そうした非常に日本政府に都合のいい「合意」であった。韓国政府は能力が低く、その意味を理解できず、政治的に敗北して合意してしまい、韓国国民から猛反発を当時から今までずっと受けているということ。だから次の大統領はこの合意を再度見直すことになる。


そういう欠陥品、問題だらけの「合意」なのに、日本のマスメディアはこぞって日韓政府のこの合意締結のうごきをいいものと紹介した。まったく政治的センスがおかしい対応がこの時点でもあった。

 

参照
2015-12-28
慰安婦問題 なぜわからないのだろう
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2015/12/28/000913

2016-03-18
『「慰安婦」問題・日韓「合意」を考える』ブックレット
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2016/03/18/011307

2015-12-31
日本軍「慰安婦」問題に関する日韓外相会談に対する弁護士有志の声明
2015-12-31
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2015/12/31/022450

「蒸し返し」という表現、たかが10億円、しかも、少女像撤去と引き換えという、やくざまがいの態度
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2015/12/31/025130

 

 

 

●「支援事業として元慰安婦に一人当たり1000万円支給されることになりましたが、当時生存している46人中34人が受け取りの意向を示しました」「しかし韓国ではこうした元慰安婦たちの声が伝えられないまま、合意反対の運動、合意破棄を求める世論が強まっています」と伝える。

 

→ まず、日本政府はこの合意にあたって、10億円は韓国の政府の活動(和解・癒し財団)に出すものであって、慰安婦への賠償として出すものではないといっていた。だが、このNHK番組の説明では、まるで日本のだしたお金で賠償として慰安婦の人に各人1000万円づつ渡すかのように伝えて、大事な対立点をあいまいにしている。これが大問題。本質的問題点を隠しているから。

 

次に、慰安婦の方のなかには高齢で、自己判断が難しい人もいて、その中で家族が受け取るといったような人もいるのに、そこもあいまいにして慰安婦の多数派が合意に賛成してお金を受け取るというようにイメージ操作している。しかも、明確に合意に反対し、お金の受け取りに反対している元慰安婦もいるという事実(その主張内容)にもまったく焦点を当てない。


そもそも、この反合意運動は、金が目当てではなく過去の戦争、その中でのひどい性的虐待、戦時性暴力のひとつとしての「従軍慰安婦」を真摯に反省し、正式に各慰安婦に国として公的に謝罪し、国家として経済的にも補償し、これを記憶にとどめ未来に同じことが起こらないように教育していくこと(教科書に書くこと等)などを日本に求めているものだ。
経済的な補償はその証明としての一部に過ぎない。内容がなく金だけ受け取れでは絶対に受け取りたくない人がいるものだ。

 

同時に、いろいろな事情で、とりあえず1000万円がもらえるならもらおう、もらいたいと思う人もいるだろう。
その人が、本当の意味で日本政府が謝罪したのではないと知っても、そのことも含めて合意に賛成するかというときっと違う人も多いだろう。
ただ韓国の政府の代理人である財団の職員などが、ぼやーと「日本が謝罪してお金を出してきました。韓国の交渉の成果です」とかいってお金を差し出せば、「それは良かった」といって受け取るひともいるであろう。
日本は全く従来の立場のままでこの合意をしたということを伝えないまま、お金を受け取らせた面があるということだ。

 

そういう韓国政府の意向をくんだ団体が無理して34人に受け取らせたという問題もあるのに、そこは隠ぺいして、以下に何度も出てくるように、
「韓国では被害者の多くがお金を受け取ったことを市民が知らされていない。だから日韓合意に対する反発が続いている」
というストーリーで、この全体をとらえて番組を作っている。それがもうここでも出始めている。大問題と言えよう。

 

 

メディアの取材に初めて応じた元慰安婦の女性のことば紹介
過去の日本語の歌など歌う元慰安婦Aさん。
その家族がAさんに言う「お金を1億ウォン受け取ったよね」
慰安婦Aさん「誰が1億ウォンもらったの?」
家屋「このように話しても、(当人は)なんだかわからないのです」
ナレーション:90歳を超え認知症の症状が出始めたため直近の記憶が不鮮明になっていました。
家族は本人から何らかの補償を受けたいという意思を確認していたため、合意を受け入れました。
家族「母は、日本が謝罪して補償してくれるなら、それ以上は望まないといっていました。しっかりしているときにもらっていれば、本人も気持ちを伝えることができたはずなのに、今は(おかねをうけとった)意味さえわかっていません」
家族「母も(お金を受け取った)事実を明らかにすれば、『あの人は慰安婦だったらしいよ』と周りから差別的な目で見られ、子孫までも不名誉になってしまうから隠してきたのです。そのため、金を受け取っても堂々とそれを言えないのがつらいです。心の中にしまい悩んでいます」

 

→まず、慰安婦のことばというが、本人は合意のことなど理解していないAさんの例。そして家族は、「日本が謝罪して補償してくれるなら、それ以上は望まない」といっていたということを根拠に金を受け取ったという。

しかし、この合意が、日本の真の謝罪でないということをどこまで理解しているのか。非常にグレーゾーン的な事例を冒頭に持ってきた。Aさんがいっていた「日本が謝罪して補償してくれるなら」ということを2015年の日韓合意は満たしていない。家族はそのことをわかっていないようだ。


このAさん家族の例を持ってきて、この番組を作っているところがおかしい。いいかげんなことを根拠に「合意に賛成している元慰安婦と家族」というストーリーにしているのはおかしいことが、ここでよくわかる。

 

つまりこの事例ではまず本人は明確に合意に賛成しているわけではない。代理人である家族が金を受け取った。しかもその理由が、大雑把なもので、上手く言いくるめられて、「日本政府が謝罪した、個人に補償した」とまちがって思わされて金を受け取った可能性が高いようなもの。


家族は、慰安婦への差別を主に心配し嘆いているのであって、積極的に合意自体をそれほど評価しているとは思えない面がある。よってこの事例で、「合意に賛成しているのが当事者だ」ということにはならない。少なくとも非常に弱い事例であり、一例に過ぎない。

 


番組では、慰安婦は韓国で差別されてきたのでカミングアウトできなかった事実があるという話の後に、急に、(それとは別問題であることをまるで同じことのように)言いだす。「口を閉ざす背景には、日本からの支援を受けたこととで厳しい世論にさらされた過去がある」
といって1995年の日本のアジア女性基金の説明。アジア女性基金をまるでいいもののように紹介。

 

→ 上記したように、「慰安婦が韓国で差別されてきたこと」と、「アジア女性基金のつぐない金を受け取って批判されたこと」は別なのに意識的に混同させている点で、全くの悪意ある間違った番組作りをしているといえる。

慰安婦だったことへの差別は、正義や人権の観点からよくないことであるが、現実にはあっただろう。それは1995年以前からあった。1990年にある慰安婦がカミングアウトするまで、韓国でも当事者は声を出せなかった。

なのに、今回の番組では、声を出せないのは「1995年のアジア女性基金のお金を受け取ったことへ火hンがあるから」のようにいっている。

事実は、お金を受けとったことへ批判があるから当事者が声をだせないのではない。少なくともそれは「慰安婦への差別・偏見」の主因ではない。
番組のこの展開は視聴者を騙す手法である。大きな問題点である。

 

アジア女性基金は、日本政府の正式謝罪でなく首相個人の謝罪の手紙であり、日本国の賠償金でなく、民間からの募金で集めた金を少し渡すといういいかげんなものだった。当時金で問題を隠ぺいするといって大きな反発を受けた。そのため受け取らない人も多かった。今回の番組で、アジア女性基金の問題点(欠点)を言わない点は、「最も問題ある点」のひとつである(ここは日本の主要メディアの弱点。上野千鶴子さんまで近年アジア女性基金を評価してしまった)。
次にそれを受け取ったことでの批判と慰安婦への差別を混同させるのも間違い。


●番組ではナレーションで、95年にアジア女性基金から支援を受け取った元慰安婦が厳しい批判を受けたと紹介し、そうしたことをした「一部の市民団体やメディア」がおかしかったように伝える。

 

→ 「一部の市民団体やメディアの反発」というように一部に限定するが、それは大きな韓国社会の意識でもあった。そこを隠している。しかも運動は、うけとった人を標的にしたのではなく、日本政府を主たる標的に攻撃していた。その運動側の主張の言い分をちゃんと伝えていないで、運動側が一部で振り回しているように伝えるのが、番組として一方的に偏りすぎ不十分な点。

 

2015年、両国がぎりぎりの妥協点をさぐって妥結した日韓合意が、いいものであるというニュアンスで説明を続ける。

 

→ ここでもまたこの「合意」がいかに「運動側が求めているものを全部否定したものであるか、そして慰安婦像撤去まで条件にいれているか、また日本政府ではなく韓国政府・財団がこの問題の矢面に立たないといけない、手を汚していかないといけないような構造になっているか」を隠している。

「ぎりぎりの妥協点」というが日本政府側が妥協した(不利益を受け入れた)とは思えない。今回の日韓合意で日本側が失うものはほとんどない。10億円など政府予算規模からすれば「はした金」であり、金を出したということで頑張ったという言い分もたつ。恩を着せられる。しかもその金は個人への謝罪・補償ではないと限定している。まったく日本側は譲っていない。これで最終解決だ、今後は文句言われないということを得られるなら日本政府・右翼には「大勝利」だ。「ぎりぎりの妥協点」という評価をつける点でまちがっている。


合意直後、日韓合意をよかったと評価する人が韓国内で43,2%いたが、「しかし今、韓国内では日韓合意を破棄し、10億円を返還する動きが強まっています。」と嘆くナレーション。ニュアンスは「合意」はいいもので最初は賛成が多かったのに、いま韓国はおかしなことになっているというもの。

 

→ 実は、合意直後でも、「合意」への反対の方が多かった。数字としては、批判する人が最初でも50.7%いたこと(反対の方が多かったこと)をグラフではみせているものの、口頭ではそれより少ない43%に焦点を当てて、ごまかしていた。最初から批判のほうが多かった。
しかも最初は、韓国政府もいいものを結べたと思い、そう伝えるほどだったから、表面上のことばの一部を取り出して「日本がついに謝罪して、10億円払うことになった」という報道が一部でなされた。それを聞いて詳しく内容をしらない韓国国民が賛成したのが多かったのだ。実は日韓合意が、従来の日本の不誠実な立場を踏襲し、韓国側が不利になる内容だったと知らされていなかった時点での43%を使うとは、あくどい番組作りである。

 

つづく