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フィリピン像撤去への抗議声明

またしても! フィリピンの日本軍「慰安婦」メモリアルが撤去された
記憶と歴史の抹消を企てる日本政府を許してはならない!

 

 昨年末の12月28日、フィリピン・ラグナ州サンペドロ市に「平和の少女像」が姿を現した。昨年9月にサンペドロ市長が韓国提川(チェチョン)市を訪問した際に、サンペドロ市側が提案して建立に至ったのだという。同市にある私営の高齢女性介護施設内に設置された「平和の少女像」は、韓国ソウルの日本大使館前に建てられた「平和の碑」と同じもので、サンペドロ市長をはじめ約100人の現地の人々と提川市の前市長ら韓国代表団8人が見守る中、除幕式が開催された。


 一方、在比日本大使館は「今回のケースを含め他の国に慰安婦彫刻像を設置することは非常に遺憾」「日本政府の立場と相容れず極めて残念」とし、フィリピン大統領府と外務省に申し入れをおこなった。

 

そして碑は、設置からわずか2日後の30日に撤去された。


1月3日、記者会見を開いたサンペドロ市長は、「日本との友好関係を傷つける意図はなく、混乱や議論を避けるために撤去した」とし、日本側から抗議や撤去要請などがあったかどうかについては言及を避けた(『まにら新聞』2019年1月4日付)という。



 撤去された碑には「平和と女性のエンパワメントのための記念碑」と刻まれ、「像の説明に『日本や慰安婦などの表現は見当たらなかった』」(『産経新聞』2018年12月31日付)という。

除幕式に出席した提川市の前市長は「平和の少女像は怒りと憎しみを越え、女性の人権、社会的弱者に対する愛、人類の平和共存を望むわれわれ皆の念願」と述べ、サンペドロ市長も「女性の人権と平和に対する希望が、サンペドロ市で光や塩のように大切な価値になるだろう」と述べていた。


 「平和の少女像」は日本軍「慰安婦」被害者を悼み、記憶することで再発防止をはかるための碑である。二度と同じような被害者を生まないことを訴えてきた日本軍「慰安婦」被害者たちの願いを広く次世代にも伝えることで、女性の人権を確立し平和な世界を実現しようとする意志が込められており、サンペドロ市の「平和と女性のエンパワメントのための記念碑」も、このような趣旨によるものであることが分かる。このような「立場」が「日本政府の立場」と相容れないと言うことなのか。

 

 

 フィリピンで日本軍「慰安婦」メモリアルが日本政府の圧力によって撤去されたのは今回が初めてではない。2017年12月に首都マニラに建立された碑も、2018年4月27日、経済援助をカードに撤去を求める日本政府の圧力に屈したフィリピン政府によって無残に撤去された。この時にも日本政府の論拠は「日本政府の立場と相容れない」というものだった。

 


 これに対して私たちは、「比島戦没者の碑」という日本政府が日本兵戦没者を慰霊するために建てた碑がフィリピン国内にあるという事実、日本人が建てた日本兵戦没者の慰霊碑がフィリピン各地に400基以上あるという事実を指摘し、フィリピンの人々が、自国の犠牲者を悼んで、自国内に建てた、たった1基の日本軍「慰安婦」メモリアルを、金の力で撤去させた日本政府の恥知らずな行為に強い怒りを込めて抗議した。

 

 ところが今、同じ光景が再び眼前で繰り広げられている。これをくい止めることが出来なかったことは慚愧に堪えない。

 

 私たちは、日本の市民に訴える。
 このような政府の行いに対して、日本の市民は怒らなければならない。
再びこのような愚挙を許してしまったことを、恥じ入らなければならない。
二度とこのようなことが起きないよう、行動を起こさなければならない。


記憶と歴史の抹消を企てる安倍政権の暴挙をくい止めることは、日本の市民の責任だ。

 

私たちは、日本政府に求める。
 日本軍「慰安婦」被害者を記憶することで再発防止をはかろうとする平和運動を妨害しないこと。


 戦時性暴力をはじめ女性に対する暴力撤廃をめざす世界の潮流に逆らわないこと。


 自国の領土で自国の犠牲者を哀悼し記憶しようとする行為にまで干渉する恥知らずな行為を二度と繰り返さないこと。


 加害国政府として、日本軍「慰安婦」問題に責任ある対応をすべきところ、真逆な行為を続ける日本政府に、私たちは、これ以上の恥さらしな行動を取らないよう強く求める。

 

2019年1月7日


日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
共同代表    梁澄子  柴洋子



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