映画『教育と愛国』
映画『教育と愛国』
斉加尚代さんが監督した映画『教育と愛国』が完成し、5月から関西でも公開される。
斉加さんはMBS(毎日放送)の記者で、橋下のひどい記者会見でもちゃんと自分の視点から日の丸君が代での強制で鋭い質問を投げかける人でした。そのため橋下が切れて彼女を馬鹿にして攻撃したのですが、歴史的に見て、橋下の愚かさが記録されることになった一シーンでした。他の記者たちがそれに対して何もできない状況だったことにも重なった問題ですが。
斉加さんは『沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔』という、右翼等の沖縄の反基地運動へのひどい攻撃への批判的なドキュメント映画を作って高く評価されています。
斉加さんは、メディアも権力に忖度している、関西ではメディアが維新と非常に近くなってしまっている、MBS内部でも協力する人ばかりではないことなどを告白している。
そういう中で勇気を持て真実を伝えようとしたのがこの映画です。
最近の事例も入れてこの20年ほどの政治の教育介入、右翼的ナショナリズム的・排他的ヘイト的な動きのさまざまのものをつなげて、大きな右傾化の線となっていることを示した。
当事者たちの言い分、その口調や表情、論理が記録された。すぐ忘れてしまう社会、本質を見抜けないで簡単にイメージ戦略に操られてしまう国民、それと重なり主流秩序に加担するメディア。
日本人というアイデンティティを皆に植え付けるために教育から変えていこうとする右翼勢力。そのためまず教育基本法を改正した。自虐史観感はだめだと言って教科書を見直す動きを90年代から作っていった。
教科書から慰安婦の正しい記述をなくしていく。慰安婦問題を教える教育者(平井先生)をバッシングする。教科書検定基準を変え、歴史教科書を右翼的に書き換えていく流れ。「道徳」を教科にして、権力にとって正しい答えを言わせるようにしていく。言葉を権力が勝手に変えてそれを教科書に反映させる強権。沖縄の集団自決でも事実を隠蔽。権力に忖度してそれを隠蔽するという犯罪を重ねていった森友学園事件。右翼から見て望ましくない教科書を
を採択した学校への嫌がらせ。牟田教授への攻撃。杉田水脈議員が伊藤詩織さんを誹謗中傷するツイートに「いいね」を押しまくっている問題。学術会議問題。表現の不自由展をめぐる右翼の圧力やそれに加担する吉村大阪府知事。こうした動きの中核には常に右翼のお神輿リーダーである安倍元首相がいた。
いつからかヘイト勢力が使う「反日」というような表現を多くの人が使って、北朝鮮だけでなく、韓国や中国まで、日本と敵対する勢力のように見せていき、嫌いにならせ、ナショナリズムの空気を醸成するように、国民を仕向けていくようになっている。
フェイク政治というべきか。でっち上げ・捏造・陰謀ということが歴史では繰り返えされてきたが、今の日本でもまた同じことが起こっているのだ。そして歴史がそうであったように、多くの大衆は騙されてしまい、さらにはナショナリズムなどの方に熱狂的に誘導されてしまう。「ここまで来ているのに気づかない」という状況。
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今ロシアでの情報統制・洗脳が批判されているが、日本で行われていることも近いではないか。全体主義国家が教育に政治介入し子供を洗脳していることと近い状況をこの映画では示した。そしてロシア国民が騙されているように、日本でも多くの人は、この右傾化・政治による教育介入・メディアの体制化に気づいていない。ロシアを笑えない。今日も関西のメディアでは維新(吉村と松井)の政治が宣伝されている。吉本と連携して万博を盛り上げる体制翼賛化体制。
ウクライナの武力路線とナショナリズムが無批判的に美化され、それをもって日本の憲法の骨抜き・改憲の動きの正当化にも多くの人が流されていっている。
おかしなことがおかしいと見えてない。
そんな中、斉加さんは主流秩序に逆らうのが怖くて「中立」のスタンスをとって沈黙したり、かかわらないような自主検閲的な動きを批判している。
取材の過程で、教科書調査官だった人や教科書編集者らにインタビューを申し込んでも、「取材を受けることが中立性を疑われることになるからと釈明して取材に応じない」ことがあったという。
典型的だ。それが主流秩序に従属することだということだ。
この映画も、全国民が見たらいいと思う。教育者は当然で、性とも。でも、職員室でこの映画を話題にすることもはばかられるようになっている。事実を見つめない状況。
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公式紹介
MBS(毎日放送)で20年以上教育現場を取材してきた斉加尚代監督が、昨今距離が近づいている「教育と政治」の関係を見つめながら最新の教育事情を記録。
2017年度ギャラクシー賞大賞を受賞した話題作が、追加取材を加え映画化!
5/13(金)よりシネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺、5/14(土)より大阪・第七藝術劇場にて公開
映画『教育と愛国』公式ツイッターアカウント
@kyoiku_aikoku
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情報紹介
ギャラクシー賞大賞受賞『教育と愛国』映画版5月公開決定 | 映画ログプラス (eiga-log.com)
- 2022/2/25
語りを俳優の井浦新が担当!ビジュアル解禁!
2017 年に⼤阪・毎⽇放送(MBS)で放送された「映像ʻ17 教育と愛国〜教科書でいま何が起きているのか〜」は、放送直後から⼤きな話題を呼び、その年のギャラクシー賞テレビ部⾨⼤賞、「地⽅の時代」映像祭では優秀賞を受賞。そして、その後も緊張感⾼まる教育現場を追加取材・再構成し映画版として完成させたドキュメンタリー映画『教育と愛国』の劇場公開が決定、ビジュアルも解禁します。
※5⽉ 13 ⽇(⾦)よりシネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺ほか
5 ⽉ 14 ⽇(⼟)より⼤阪 第七藝術劇場にて公開。以降全国順次。
ギャラクシー賞大賞を受賞した話題作がついに映画化・劇場公開決定!
軍国主義へと流れた戦前の反省から、戦後の教育は政治と常に⼀線を画してきたが、昨今この流れは⼤きく変わりつつある。「政治が教育を変える」と公⾔する安倍晋三⽒の第⼀次政権下の 2006 年、教育基本法が改正され、「愛国⼼」が戦後初めて盛り込まれた。
以降「教育改⾰」「教育再⽣」の名のもとに、⽬に⾒えない⼒を増していく教科書検定制度。⽇本軍「慰安婦」や沖縄戦を記述した教科書を採択する学校に押し寄せる⼤量の抗議ハガキ。教師や研究者へのバッシング。政治介⼊ともいえる状況の中で繰り広げられる出版社と執筆者の攻防はいま現在も続く――
MBS で記者として 20 年以上にわたって教育現場を取材してきた⻫加尚代監督が、教育と政治の関係を⾒つめながら最新の教育事情を記録した本作。本編中の語りは俳優・井浦新が担当。「政治と教育」の距離がますます近くなっているいま、教科書、教育はいったい誰のものなのか……。
⻫加尚代監督コメント
学校はキライだった。その私が⼤阪の放送局で記者になり、取材を通して好きになった場所が学校だった。
様々な事情を抱えた⼦どもたちがぶつかり合い、認め合う。⼈間として葛藤を繰り返し、愛情を注ぐ先⽣がいる。ところが、公教育の「愛」は「国」と結びついたとたんに影を落とす。背後にあるのは、政治の急接近だった。教科書の中で起きている「教育と政治」の攻防を、ずっと記録してきた。それを映画という⼀本の⽷でつなげたかったのは、切⽻詰まる思いからです。
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