ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

髙井由起子編著『身近に考える人権――人権とわたしたち』

髙井由起子編著『身近に考える人権――人権とわたしたち』

 

髙井由起子編著編著『身近に考える人権――人権とわたしたち』(ミネルヴァ、2022年)という本が出ました。

その中で4章「女性の人権――ジェンダーにかかわる人権」と

11章「さまざまなハラスメント」

伊田が書きました。

2つの章の最初の部分を紹介させていただきます。

 

4章「女性の人権――ジェンダーにかかわる人権」

【この章の概要】

 読者のみなさんは、「女性の人権」というと、どういうことと思うだろうか。多くは「男性が家事育児をしないとか、女性の政治家や社長が少ないとか、DVやセクハラ被害や性暴力被害があるといった問題」などと思うのではないだろうか。さらには「なんでも性差別だというような、女性フェミニストが男性批判する話」と思う人もいるのではないか。だがそれは「女性の人権」をめぐって考えるべきことのほんの一部に過ぎない。しかもそのイメージが古い。本章では、今まで述べられてきたことと類似の「想定内」のものではなく、できるだけ身近で新しい角度からこのジェンダーにかかわる人権問題を紹介したい。 

女性とは何か。それを言うのは実は簡単ではない。LGBTQなど多様な性のあり方があり、男女二分法を前提とはできないからである。だが一方で、今の社会には男/女の二分法に基づく区別や差別やバイアス(偏見/偏り)が多くあるので、本章では「女性を切り口として、性(ジェンダー)にかかわる様々な人権」を考えていくこととする。

とはいっても多岐にわたる問題を全部論じることはできないので、まずジェンダーにかかわる人権問題のひとつである「美の秩序」にまつわる問題から考えてみたい。そのうえで、ジェンダーにかかわる諸問題の広さを概観したいと思う。

 

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11章さまざまなハラスメント」

【この章の概要】

「ハラスメント」というと「セクハラ」「パワハラ」が有名で、なんとなく感じは分かるが、細かいことをうるさく言うなあと感じている人もいるのではないか。また「人権」というような事とは別で、もう少し軽い感じと思っている人が多いのではないかと思われる。

そこで本章では、ハラスメントとは何か、どうしてこういうことを言うようになってきたのか、軽いことなのか、人権とどういう関係にあるのか、ハラスメント概念を理解するときに注意すべきことなどを整理する。また、ハラスメントの状況に自分個人は何ができるのかも考えていただきたいので、「3つの道」「間接介入」というものを提示して、普通の自分にもできることを具体的に知るという学びを提示する。これを通じて、建前や一般論にとどまりがちな「人権の学び」を実践的に「使える」ものとしたい。

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高井由起子編著『身近に考える人権――人権とわたしたち』

はじめに

「人権」という言葉を聞いてどのようなことを思い浮かべるか――。本来は身近な問題、テーマであるはずだが、「大変な人たちの問題」「重たい」といった、なんとなくそばに置きたくない思いや、小中高等学校などでは「深刻なことを考える時間」といったイメージがあるかもしれない。しかし、このような「距離を置く」考え方こそ、私たちの身近にある人権問題をより一層、深刻なものにしているといえる。本書では、「人権」をわかりやすく、身近な問題として考察できるよう、身近なテーマを事例も交えて解説する。

【目次】
はじめに
第1章 人権のはじまり

第2章 世界人権宣言と日本における人権規定
第3章 子どもと人権

第4章 女性の人権──ジェンダーにかかわる人権
第5章 障碍と人権

第6章 高齢者の人権
第7章 医療と患者の人権
第8章 部落差別と人権
第9章 多文化共生社会と人権
第10章 経済的格差と人権
第11章 マイノリティと人権
第12章 さまざまなハラスメント
第13章 人権問題を身近に考える
第14章 差別する心理
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また 高井さんは以下の本も出されました。

 

 

髙井由起子『DV加害者対応は被害者支援たりうるか――人権問題としてのDV問題にかかる加害者対応の課題』ミネルヴァ書房 2022年

 

より充実したDV被害者支援策のために―。欧米、豪で積極的に展開されているDV加害者対応について、日本での現状と課題をDV加害者プログラム参加者等への調査から、その必要性とともに効果と限界、改善点等を検討する。被害者の意識と現状のDV加害者対応が十分に呼応するためにも、DV被害者支援組織とDV加害者対応組織の連携により、より充実したDV被害者支援策となるように努めることの必要性を提言する。