この数年、右翼活動が著しい高須医院長が委員長がやったリベラル派に対する不当な刑事告訴。
その行動に報道機関は加担しているのではないかということです。
刑事告訴、民事訴訟は自由ですが、それが正当なものか、不起訴になったのか、あるいは裁判で有罪になったのか無罪になったのか、ケースバイケースです。
不起訴でも黒に近いが政治的な判断で不起訴ということもあります。逆に嫌がらせ訴訟、スラップ訴訟もあります。
だからこそ、メディアはちゃんと責任を持って判断して報道すべきです。ましてデジタルタトゥー問題もあるので。
警察発表をうのみにする報道でいいのか。結果責任を取るべき問題です。自分で調べて、アフターも調べていくなどが重要です。
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犯罪者を雇うのか」 不起訴になって感じた報道と捜査の問題点
毎日新聞 2022年6月13日
香山リカ氏=平野幸久撮影
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を主導した会の会長である著名な医師に刑事告発され、警察が検察に書類を送り、不起訴処分(容疑不十分)となった。
告発は受理されれば全件が検察に書類が送られる。私の場合は警察が書類を送る際に起訴を求める意見を付けず、当初から不起訴となる見込みだった。書類を送られた時点でそのように報道もされた。
にもかかわらず、勤務先には「犯罪者を雇うのか」などの嫌がらせの電話がかかり、決定していたテレビ出演や講演などのキャンセルがいくつもあった。負担感は大きく、実害もあった。
署名偽造事件と一緒なのか
昨年9月に検察に書類が送られた際に取材を受けてコメントを求められ、「すべて送られるものなのにコメントが必要ですか」と問い返したが、「手続きの節目なので」という答えだった。「不起訴になったら取材します」とも言っていたが、不起訴になった時にはその記者からの取材はなかった。
テレビの出演キャンセルも「香山さんを疑うわけではないが、規定として送検された方の出演はできない」と説明された。
今年3月に不起訴になった際の手順や報道にも疑問がある。リコール運動の署名偽造事件の関係者の不起訴と同時に報道された。検察からの連絡はなく報道で初めて知ったが、署名偽造事件の記事だと思って読んでいたら、突然自分の名前が出てきた。同じ記事で書かれるのか、と驚いた。
署名偽造事件と、私への刑事告発は全く別の問題なのに、同時に報道され、あたかも検察が両側のバランスをとったかのような印象を与えた。署名偽造事件と一緒にくくられることには非常に疑問がある。
書類を送られた後、検察からの呼び出しがあると思い、弁護士を通じてなんどか問い合わせもしたが、返答はなかった。結局、呼び出しがないまま不起訴になった。警察が起訴を求める意見を付けなかった時点で、不起訴はほぼ決まっていたはずなのに、なぜ半年以上引き延ばして他の事件と同時に発表したのかも疑問だ。
ベルトコンベヤーに載せられたよう
ある刑事事件で起訴はされたが無罪になった方が、判決を伝える記事で「無罪になったから良かったということでは全くない。自分の業界での信用を失い、仕事ができなくなった。報道もよく考えてほしい」とコメントしていて、その通りだと思った。
ネットでは「まともに生活していれば告発されることなどない」とか「普通にしていれば警察とは無縁だ」などと言われた。警察から事情を聴かれ、書類を検察に送られただけで、もうまっとうな人ではないという扱いだった。ベルトコンベヤーに載せられた感じだった。
検証を
不起訴になってもこれだけ社会的なダメージがある。警察に行き容疑者として扱われるだけでも大きなストレスになる。取り調べの可視化などが課題になっているが、私は本当にその一部、かけらに触れただけだけれども、いかに大変かということを実感した。
報道機関にとっては不起訴は「つまらないこと」なのかもしれない。しかし、不起訴になったら、刑事告発はどうだったのか、書類を検察に送られた時の報道はどうだったかなどをもう一度検証してもらいたい。
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香山リカ氏、津田大介氏らの「書類送付」が意味するものとは 愛知県知事リコール妨害容疑
東京新聞 2021年9月9日 16時55分
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)を求めた署名運動を巡り、「署名者の個人情報は県広報で公開される」などと虚偽の情報をツイッターに載せて運動を妨害したとして、愛知県警が地方自治法違反(署名運動妨害)の疑いで、精神科医の香山リカ氏やジャーナリストの津田大介氏ら4人を名古屋地検に書類送付したと8日報じられ、ツイッターのトレンド入りした。「書類送付」とは一般になじみが薄い言葉だが、どんな意味なのか?警察は違法性をどう判断したのか?(デジタル編集部)
【関連記事】香山リカ氏、津田大介氏ら書類送付 起訴求める意見は付けずか 愛知知事リコール妨害容疑
◆「起訴求める意見付けず」
この記事を配信したのは共同通信。記事などによると、この問題は、運動を主導した美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が昨年8~9月に刑事告発。告発状によると香山氏は、署名者の個人情報が県の広報で公開されるなどとうその投稿をし、津田氏はこれらの投稿を拡散させたとしている。ほかに映画評論家町山智浩氏らも書類送付された。この書類送付の際、愛知県警は起訴を求める意見は付けなかったとみられる、とも報じている。
ツイッターのトレンド
この報道に対し、ツイッターでは多くのリツイートが拡散し、香山氏や津田氏らに対し「デマで騙す手法、悪質ですね」「こいつらがやったのか、厳罰に処すべきだ」といった非難の書き込みも多数見られる。
◆捜査したら「必ず送付」
だが、本当に愛知県警は「デマで騙す手法」と判断したと言えるのか。
今回の愛知県警の書類送付は刑事訴訟法の246条に基づく。同条では「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない」としている。
この際、事件を捜査した警察は起訴を求めるかどうかについて、▽厳重処分(起訴を求める)▽相当処分(警察としては起訴・不起訴の判断を検察官の判断に委ねる)▽寛大処分(起訴猶予を求める)▽しかるべき処分(起訴を求めない)ーの4段階に分けた意見をつけることができる。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「警察は告発を受理するとその後、必ず書類を送付することになる。捜査しただけで嫌疑の疑いがないという認識の時でも検察庁には書類を送付する」と説明する。
つまり、愛知県警は高須氏から行われた告発に対する捜査の結果について必ず検察庁に報告せねばならず、捜査した書類を検察庁に「送付」する手続きを取ったことになる。
◆「妨害に当たらぬ」と評価か
若狭氏は、今回は起訴を求める意見は付けなかったとみられると報じられていることを受け、「警察は香山氏らがリコールの妨害に当たると法的評価はできないと考えたのではないか」とみる。今後、香山氏や津田氏らがどのように処分されるかは、検察官の判断となるが「一般的には検察官の判断は警察の意見と同じになることは多い」と話す。
報道機関も警察が検察庁に書類を送る際にどのような意見を付けたかによって、言葉を使い分けて報道しているケースが多い。取材結果に基づき、警察が起訴を求めているようなケースでは「書類送検」、逆に警察が起訴を求めていない時は「書類送付」とする書き方だ。書類送付には、警察としては嫌疑の疑いは薄いとみており、法的手続きとして書類を検察庁に送ったとする意味合いが込められている。
今回の件について、香山氏はツイッターで「高須克弥氏に地方自治法で告発された件についてですが、このような案件はすべて警察から検察に送致されることになってます。今回の“書類送検”はその手続き上のことと考え、必要があれば今後も捜査に協力するつもりです。警察は『起訴を求める意見は付けなかった』とのこと」とコメント。
津田さんはツイッターに「書類送致(一般的には書類送検)とは、警察が必要な捜査を終え、検察に関係書類を送ったという意味でしかないので、特にコメントはありませんが、被疑者として捜査の対象になった場合たとえ不起訴になっても『前歴(前科ではない)』が付くので、理不尽だなと思います」とつづっている。