映画「図書館戦争」やはり自衛隊賛美だよねえ
テレビで映画「図書館戦争」やっていたので、ざっと見た。
作者・有川浩が自衛隊オタクでかつ、自衛隊賛美の活動をしていることは明白だが、世間では人気作家として活躍している。
もうすでに言われているだろうが、私が見たすなおな感想は、この映画作品も今の日本で自衛隊を肯定するように誘導するための意図がミエミエの作品だった。
こんなで若者を誘導しようとするのがいやらしいなと思う。恋愛と絡めて。普通の人が自衛隊員なんだよというメッセージ。だからLOVE&WAR。
まあ作者はそれを思想的に明白にもっているから別に恥じないだろうけど。
構図は簡単で、中学生や高校生にもわかるストーリー。恋愛をいれながら武器による闘いの話を入れるだけ。
敵を架空の何か悪い者(今回は図書を廃棄するという全体主義国家的なイメージの悪もの)にして、それと戦うのが「自由のための闘い」で、自由や平和、安全を守るためには武器で戦わないといけないというもの。「自由な未来を守るために」と映画の中でも言わせていた。
そしてそれを示すために自衛隊の装備をそのまま借りて全くあり得ない戦いを正当化美化する。
重火器で戦って得る(守る)ものなど今の日本社会では現実的にはありえないから全く荒唐無稽である。
将来もっと完全に軍事監視国家になった時に再びゲリラ戦争的な抵抗が必要な場面が出てくるかもしれないが、いまはあり得ない。しかし、無理な設定で自衛隊的対応を必要と思わせるもの。
非暴力主義の思想などかけらもない、戦前と同じレベルの思想水準の作品である。しかし単純だから中国や朝鮮を敵視する気分を煽られた大衆はその気になる。
「空飛ぶ広報室」なども含めて、作者の意図があからさま過ぎて、こんなのがもてはやされるんだからメディアの主流秩序化は はなはなだしい。
なお、自衛隊と主流秩序、有川浩については、拙著『閉塞社会の秘密──主流秩序の囚われ』p83-85で少し触れている。
「そんなことでめくじらたてるな」という人への批判である。