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主流秩序、DV,スピシン主義、フェミ、あれこれ

ストーカー対策でSNSも含まれてきている

 

拙著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』の中で、ストーカー規制法ではSNSが入っていないが、岡山県の条例では規制対象に入っていると紹介しました。

 

 

2016年の東京都小金井市・女子大生刺傷事件で、この問題にスポットライトが当てられ、2016年6月9日の『毎日新聞』の「サイバーストーカー対策 SNSも規制 18府県が条例で」という記事で、これに関して、2016年6月時点で18府県が条例で規制していることが明らかになりました。

 

以下その記事のポイントと、私の女子大生刺傷事件のまとめを載せておきます。

 

●SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での他人への嫌がらせを、全国18府県(青森、岩手、宮城、福島、群馬、千葉、神奈川、石川、岐阜、静岡、三重、京都、奈良、岡山、広島、愛媛、福岡、熊本)が迷惑防止条例で禁止していることが毎日新聞の調査で分かった。SNSを悪用した「サイバーストーカー」を自治体が独自に規制する動きが広がっている。


東京都や大阪府の条例は電話やファクスは対象にしているがSNSは含んでいない。

● ネットを使った嫌がらせに対応するため、兵庫県は2016年7月1日に改正条例を施行する。拒絶する相手に対し、正当な理由がないのに「電子メールその他の電気通信」で繰り返しメッセージを送ることを禁止する。ラインやツイッターフェイスブックなど、全てのSNSが対象になるという。


 ストーカー規制法が要件とする恋愛感情などの立証も不要で、警察は警告なしに逮捕できる。違反者には6カ月以下の懲役(常習は1年以下)か50万円以下(同100万円以下)の罰金が科される。同性間の行為も対象で、近隣トラブルや悪質な借金の取り立ても想定している。
兵庫県警は「重大犯罪が起きる前に取り締まることが可能で、抑止効果も期待できる。運用は厳格に行う」としている。

 

●対象となるメッセージの内容や回数には明確な基準がない上、アカウントの乗っ取りやなりすましで、別人が疑われる懸念もある。2015年3月に実際の待ち伏せやSNSでの嫌がらせを規制対象に加えた宮城県では、仙台弁護士会が「言論の自由を制約する恐れがある」として、基準を明確化するよう求める声明を出した。

 

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2016年5月小金井市、ファン男性が元アイドルに逆恨みで刺傷事件・・最新バージョン

 

2016年5月、小金井市で、元・地下アイドルで現在大学生(かつシンガー)の冨田真由さん(20歳)がファンの男・岩埼友宏容疑者(27)にライブ会場前で刃物で刺され、意識不明の重体になった(その後意識回復)。首や胸など全身20か所をめった刺しにされた。男は殺人未遂などの疑いで逮捕された(その後精神鑑定することとなった)。


岩埼容疑者と被害者はSNSでやり取りをしており、ツイッターには男が被害者に腕時計をプレゼントした事が書かれていたが、被害者が腕時計を返却するとコメントは攻撃的になっていった。送信は1月18日に始まり、冨田さんが送信を受け付けない「ブロック」を設定する4月28日まで、多い時には1日に18回、101日間で計340件に上っており、執拗なストーカー状態になっていた。2月のライブなどの際に「1月ごろ、帰り道で男に待ち伏せされ、電話番号を教えろと何十分間もしつこく付きまとわれた」などとファンに話していた。またライブのあとに冨田さんに岩崎容疑者がつきまとい、周りにいたファンが引き離したこともあった。

 

岩埼容疑者は、SNSなどに、「あなたに見下されたこと一生忘れないから」「君の人生、誰のもの?」「トミーさんは不誠実だねぇ」「『腕時計』を捨てたり、売ったりするくらいなら返して。それは僕の『心』だ」」「愛情なんていとも簡単に憎悪に変わっちゃうけれど、僕は普通にトミーさんのこと好きですよ」「まゆちゃ~ん!!!」「おはよー」「瞳を閉じればあなたが」「誰にでも優しいのは無責任」「お前それでも人間か」「早く『ゴミ』返してね」「差出人不明は失礼」「ほんと、嫌な女」「腕時計はハンマーでぶったたいて粉々にしてやります」「最高の嫌がらせありがとー」「もっと見下し馬鹿にしてみろよ冨田真由」「ふざけんな、マジで」「スゲー怒っている」、「一部しか返って来てないんで、全部返してください」「早く返せ」「返せ」「投げやりになって 何かをしでかしたいと思った どうせ、のたれ死ぬだけのくそったれの人生 結果なんてどうでも良くて ただ、逆恨みと顕示欲だけのどうしようもない情動」「死にたいんじゃなくて、殺されたい」「劇的を望む」、などの書き込みを繰り返していた。

 

男は自身のブログで「僕は殺したい」「犯罪します」「ツイッターをブロックされた あははははははははは・・」「あいつしねばいいのにな」「ムカついている」「君の努力を全部無駄にしてやる」などのほかに「死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ死ねよ・・・」と何百回も「死ねよ」を記述する書き込みもしていた。

また事件当日には「ひとをなんらかの行動に駆り立てるのはたいていの場合、意欲などではなく、羞恥だ」「行ってきます!」と書き込んでもいた。最後の書き込みは駅で待ち伏せしていた時の「まだかなまだかな~」だった。

 

今回の事件に関して、被害者の女性や母親が何回も警察に相談していたし、書き込みは明らかに殺人の危険性があるものであった。被害に遭った富田さんは5月9日に警察署を訪れて、加害者の住所や名前、ツイッターへの執拗で危険な書き込み内容を印刷した紙を署の担当者に渡し、プレゼントを巡ってトラブルになっていること、岩埼容疑者から腕時計とわいせつな本を手渡されたこと、ことし1月ごろからたびたびライブ会場などに現れて電話番号を聞き出そうとしていたことなども相談し、「書き込みをやめさせてほしい」「友達にまで迷惑をかけているから、やめさせてほしい」と訴えていた。

 

しかし、警視庁は、ストーカー規制法ではSNSは対象外だとし、また「直ちに危害を加える内容はない」として、切迫性があると判断せず、当然使うようになっている「危険度を判定するためのチェックシート」を用いなかった。これ自体大問題で大きな判断ミスである。
さらなるミスとして、今回、ストーカー事案などに一元的に対応する同庁の「人身安全関連事案総合対策本部」の専門チームに武蔵野署は連絡をしなかった。連絡していれば、そこで事態の危険性や切迫性が評価されるはずだった。


そもそも今回の事案を「ストーカー相談」として受理せず、「一般相談」として扱うという判断ミスを犯していた。

さらに男性加害者(容疑者)の所在の確認をせず、接触しておらず、呼び出しも警告もしていなかった。私はこれが一番大事なのにいつもこの点が軽視されていると思っており、最大のミスだと思う。
事件直前にも武蔵野署は小金井署に「通報があったら対応してほしい」というのみだった。そのため小金井署は会場に警察官を配置していなかった。これは両方の警察署のミスといえる。

 

さらに、事件発生時に冨田さんから110番を受けた警視庁通信指令本部が、通報場所の位置情報を確認せず、武蔵野市にある冨田さんの自宅に警察官を向かわせていた。これは警察のミスであるが、ストーカー事案として警戒して、その日の活動がライブだと把握したことを書き込んでいなかったことの結果でもある。


 武蔵野署は、緊急時に迅速に対応するため5月20日、冨田さんの携帯電話番号を「110番緊急通報登録システム」に登録はしていた。しかし、110番を受けた時に、携帯電話の位置情報を手動で確認する作業を行わず、緊急通報登録システムの登録内容に基づき名前や武蔵野市にある自宅住所が表示されたため、自宅に警官を派遣してしまった。位置情報を手動で確認する作業をしなかったのは明らかなミスである。

岩埼容疑者は、実は約3年前、芸能活動をしている20代の別の女性のブログに、『殺す』などと嫌がらせの書き込みをしていたため、千代田区の万世橋署が岩埼容疑者に警告して辞めさせていた(電話で注意したが任意の呼び出しに応じなかった)が、同署は相談を登録するシステムに彼の名前を入力していなかった。また滋賀県内に住む別の女性が2015年12月、岩埼容疑者とのトラブルについて滋賀県警に相談していた件もあった。


つまりこの男については、千代田区での相談、冨田さんの母親の京都府警への相談と冨田さんの東京での相談、滋賀県での相談など、合計3件あったがどれでも名前を入れて記入しなかったため結合されなかった。警視庁では、こうした被害相談は部署間で情報共有するシステムに登録することになっているが、万世橋署の担当者は女性の名前や相談内容を登録したものの、岩埼容疑者の名前を登録することを失念していた。もし入力していれば、今回相談があったときに岩崎容疑者が前にも同様の行為をしていた危険人物とただちにわかって対応が変わったはずである。この点でも警察のミスがあったといえる。

 

「SNSは対象外だった」という警察の不作為の言い訳は、2014年の有識者検討会などでもはっきりとSNSも対象とすべきと指摘されており、都道府県の条例ではすでにSNSの嫌がらせも対象としていたり、現場ではSNSも含めて積極的に対応するのが当然の段階に至っているので、今回の警視庁の言いぶんには正当性も説得力もまったくない。
以上、何重ものミスが警察にあったことは明らかである。

 

今回、上記の諸ミスをせずにすぐにストーカー事案として登録し、情報を共有し、総合対策をとるべきだった。まず警察は加害者の所在を確認しすぐに接触し、注意・警告とともに、加害者相談(加害者プログラム、カウンセリング、治療)につなげて、その後も観察し続けるべきであった。また被害者周辺、ライブ会場周辺をパトロールして警戒・警備すべきであった。

 

拙著『デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』で示したように、いくつかの事件ごとに対策は強化されてきたが、特に、長崎県西海市や東京・三鷹市のストーカー事件では、被害者や家族が警察に事前に相談したにもかかわらず、警察は、差し迫った危険性はないと判断し、十分な対応を取っていなかったことから、警察庁は、3年前(2013年)に対策を強化した。


具体的には、ストーカーの被害の相談を受けた場合は、警察署長だけでなく、ストーカー事件を担当する警察本部の専門部署にも報告するようにしたほか、ストーカーの危険度を客観的に判定するチェックシートを作成し、危険性を正確に見極めるようにするなど、相談を受けた時の対応や態勢を強化した。
また、被害者に危害が加えられる危険性や切迫性が極めて高い場合には、被害者を安全な場所に避難させたり身辺を警戒したりするほか、刑事事件として立件が難くても加害者に接触し指導や警告をするとした。


このほか、相談の内容を「相談情報ファイル」という警察のシステムに登録し、加害者がほかの都道府県でストーカーのトラブルを起こしていないか確認できるようにした。

だが今回はほとんどなにもなされず、何重ものミスをした。警察はまたまた同じ失敗を繰り返した。警視庁、警察の上層部は、この数年、より積極的な対応をするように号令をかけ続けているが、末端の現場、警官にはまだまだ低い意識の人物がいるということだ。

 

なお 今回の事態を受け警視庁は2016年6月中にも、緊急通報登録システムに登録している電話番号から通報があった場合、自動的に位置情報が表示されるシステムを導入することとした。
また自民、公明両党は、ストーカー規制法を2016年秋ごろに改正する方針を固めた。

ぜひ同じようなミスをしないようになってほしい。