ソウルヨガ

主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

非正規公務員問題

 

 

WEBRONZAで、上林陽治氏が非正規行員の実態を書いている。紹介しておきます。

非正規公務員の実態は?
経済・雇用 私は非正規公務員
[9] 市町村児童家庭相談窓口と非正規公務員
児童虐待への対応で位置づけが一転、専門職の配置促進が課題
上林陽治
2017年02月24日
http://webronza.asahi.com/business/articles/2017022200006.html

家庭児童相談窓口|非正規公務員

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「上野千鶴子さんの回答」に対する移住連からの返答

 

以下の返答、まともです。とくに、


在日コリアンの権利獲得の歴史ひとつ振り返っても、「日本国民」が彼・彼女らの人権を率先して「お守り」したことがあったでしょうか。むしろそれらの権利は、国際的な圧力にくわえ、当事者自身による身をかけた闘いによって獲得されてきたのではないでしょうか」

というところが大事と思いました。


そして
 「移民は「国民主権」によってどうとでもなる存在として位置づけられ、彼・彼女らの行為者性(agency,行為する力)はまったく無視されています」

「移民にとっての幸福を他者が決定するパターナリズム

という指摘、重要です。

 

しかし、いま日本のほとんどは、当事者の闘い(主流秩序への闘い)の重視でなく、財界、企業、政府、その他大きなところと協力コラボしあってお金をとってきて、現実的な解決をすすめるというものです。体制、主流秩序に沿いながらうまく立ち回って少し改善するのでいいよねというものです。

 

それはしばしばその中で自分たちが主流秩序を上昇するということとセットになっています。またラジカルな運動や当事者の切り捨て、少数の切り捨てとセットになっています。


国旗国歌、明治天皇教育勅語を重視する学校を作ろうとし、国旗国歌の強制に抵抗するまともな教師を切り捨てる社会です。その時に、国旗国歌に抵抗する先生たちを、うざい奴と思って、あんな事するから弾圧されても仕方ないと思う人が多数なのです。茶色の朝です。


日本社会の主流秩序に受け入れられる(量と質の)移民でいいじゃないかということでいいのかということにつながります。

 

 

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排外主義に陥らない現実主義の方へ――上野千鶴子さんの回答について


稲葉奈々子・髙谷幸・樋口直人


 『中日新聞東京新聞』2/11付け「考える広場 この国のかたち
3人の論者に聞く」における上野千鶴子さんの発言に対して、特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク・貧困対策プロジェクトから公開質問状を出しました(http://migrants.jp/archives/news/170213openletter)。その後、上野さんから回答をいただきました(https://wan.or.jp/article/show/7070)。まずは、誠実に回答してくださった上野さんに感謝申し上げます。

 

 しかし、上野さんが自らまとめられた回答は、新聞記事よりさらに深く懸念を持たざるを得ないような内容でした。これに対して、質問状を執筆した研究者メンバーで意見をまとめました。すでに岡野八代さん(https://wan.or.jp/article/show/7073)と清水晶子さん(https://wan.or.jp/article/show/7074)から重要な論点が提示されているので、移民に限定して議論します。なお、上野さんから責任ある個人としてのやりとりが望ましいという示唆をいただきましたので、今回は執筆者の連名で公表いたします。

 

Ⅰ 上野さんの回答へのリプライ

 

 まず、上野さんは「みなさま方の理想主義は貴重なものですが、理想と現実を取り違えることはできません」と指摘しています。こちらが理想主義に傾倒するあまり、現実を冷徹に見ていない議論をしているという趣旨だと理解しました。しかし、移民をめぐる議論に関わってきた立場からすると、以下の理由で上野さんが言われる「現実」の方が非現実的な想像の産物のようにみえてしまいます。

 

1.「移民の大量導入」を決められるという前提

 

 移民政策あるいは移民のフローというのは、上野さんが言われるような「受け入れます」「受け入れません」などという掛け声でできるものではありません。移民政策研究の主要な論点の1つは、反移民の態度をとる人が多い中でも移民の流入が止まらないのはなぜか、というものでした。相互に矛盾する要求を持った要素が複雑に絡まり、方針を明確に定めるのが難しい、仮に方針が定まったとしてもそれを裏切る意図せざる結果が続出する、それが移民をめぐる現実です(Freeman
1992, Hollifield 1992)。

 

具体的には、経済的自由主義(労働力需要)、国家主権(ナショナリズム)、政治的自由主義(権利尊重)、セキュリティ(治安=安全保障)、移民ネットワーク(移民規制の無効化)といった要因が複合的に作用して、移民政策や移民フローを作り出します(Guiraudon
and Joppke eds. 2001, Huysmans 2006, Massey et al. 2002, Soysal
1994)。そのため、「これから移民国として転換します」などと宣言して移民受け入れに舵を切るなどというのは、現実離れした想定です。実際には、なし崩し的に移民が増加した結果、「宣言なき移民国」になったり、「新たな移民国家」になったりするものです(Hollifield
et al. eds. 2014)。

 

 上野さんは、「みなさま方に『移民一千万人時代』の推進に賛成されるかどうか、お聞きしたいものです」と逆質問されておられます。しかし、経団連自民党議員連盟が出す政治的アドバルーンを額面通りにとり、それに対して二分法で賛否を問うこと自体が現実離れした議論といわざるを得ません。つまり、逆質問にお答えするならば、「移民を(大量に)受け入れるか/拒否するか」という二分法自体が意味をもたない問題設定であるというのが私たちの回答となります。

 

 

2.「これまで」と「これから」について

 上野さんは、「基本的な誤読」として、「私の見解はこれまでではなく、『これから』先の将来について論じたものです」としています。質問状に現状認識や現状評価に関することが含まれていることに対する応答ですが、「これから」について「これまで」と切り離して論じるのは非現実的です。

 

 福祉国家論でいわれてきた経路依存性の議論は、移民政策研究にも適用されています(Favell 1998, Faist et al.
2004)。ある時点で作られた政策が、その後の政策を拘束して一種の経路を作り出す、その結果として最適な政策が取れなくなっている状況の分析に使われる概念です。日本の場合、冷戦と植民地主義から引き継いだ差別構造・意識を背景にしてつくられた、入管法と外登法のセットによる外国人の「管理」、申請帰化による国籍取得などが、移民政策の根幹をなしてきました(Morris-Suzuki
2010)。

外登法はなくなりましたが、基本的に政策の基調は変わっていません。その結果、「単純労働者は受け入れない」といいつつ、「親族訪問」や「技術移転」という名目で、多くの非熟練労働者が入国し、働く状況が続いています。

 現時点での移民をめぐる状況は、過去の政策に規定されて生じており、それは将来をも規定します。それゆえ、質問状では将来について語る際の基本的な判断材料として、現状認識をめぐる内容を多く含めました。これは、上野さんが言及されている諸外国よりも先に参照されるべきだからです。上野さんが「基本的な誤読」とおっしゃるのでしたら、日本の移民政策が経路依存的でなく、フリーハンドで作り直されると判断される根拠を明示すべきと考えます。そうでない限り、現状と将来を切り離して論じることは不可能で、上野さんのご批判自体が質問状に対する基本的な誤読にもとづくものと言わざるを得ません。

 

II 「回答」に対する懸念

 

1.流入制限と移民の権利保護の関係

上野さんは、難民を除く移民流入に対して制限的な政策をとりつつ、社会民主主義的な分配の強化が必要という立場をとっておられます。これは、現時点で居住するエスニック・マイノリティの権利は尊重すべき、と理解できます。しかし、これを両立させるのは至難の業ではないでしょうか。

 

現実をみると、欧州の極右政党は1980年代には「反移民」と「自助」を合わせた主張をしており、福祉国家に批判的な立場をとってきました。それが、欧州統合により欧州懐疑主義を前面に打ち出すようになってからは、むしろ国民の保護=分配の強化を強調するようになっています。しかし、そこで分配の強化の対象となるのはあくまで「国民」であり、住民たる外国籍の人や当該国籍を持つ移民ルーツの人はしばしば排除の対象となってきました(福祉ショーヴィニズムの発動は、常に民族・人種・国籍による排除を伴うものです)。とりわけ日本の場合、エスノ文化的な「国民」理解が主流であり、異なるルーツの者に排他的に作用しがちです。

 

こうした国内外の「現実」を踏まえると、外に対して排他的な政策をとる国が、内なるマイノリティの権利擁護に熱心であると考える理論的・現実的な根拠がどこにあるのか、上野さんのご回答から読み取ることはできませんでした。

 

2.上野さんと「新しい人種主義」の近似性

 

 上野さんの回答を読んで、私たちが一番危機感を持ったのは、(現役の政治家ならマリーヌ・ル・ペンのような)欧州の極右が用いる新しい人種主義の論理ときわめて近いことでした(Balibar
& Wallerstein 1990)。その論理に従えば、個々の文化的共同体は「差異への権利」を持つ、それを守るには国境を越えた文化の交雑を避けるべき、となります。フランスの極右は「多文化主義の真の擁護者」を自称していますが(Mudde
2007: 191)、それは移民を受け入れないのが相互にとって幸せという理屈によります。

 

 上野さんは、日本(人?)にとってよくないとして移民受け入れに反対されるのか、移民にとってよくないとして移民受け入れに反対されるのか、つまびらかにしていません(そうした二分法自体が非現実的ですが)。が、どちらであっても「差異への権利」にもとづく新しい人種主義です。くわえて後者の場合、移民にとっての幸福を他者が決定するパターナリズムでもあります。

 

また、上野さんは「(移民の問題は)政治的に選択可能」であり、「移民の大量導入に消極的ですし、その効果についてかつてよりも悲観的になってきました」と言います。この主張は、たとえ「国内に在住している外国人に出ていけということを意味しません」と留保をつけたとしても、「出ていけ」という効果を持ってしまいます。移民が差別され周辺化するのは目に見えているから来させてはならないという言説は、日本で差別される外国人は帰国したほうがよい、という言説に容易に換骨奪胎されてしまうでしょう。というのも、「移民受け入れ」に反対する主張は、前述のように非現実的であるだけでなく、「移民・外国人=否定すべき存在」というメッセージとして機能するからです。

 

そして、こうした主張は、しばしば国内にいる移民や外国ルーツの者にたいする排外主義的暴力を引き起こしてきました。上野さんも言及されるドイツでは、1990年代に難民への暴力が続発しました。これは、(上野さんのような)影響力のある人が、庇護権の見直しなど難民への否定的な言説を広めたことが大きな原因となっています(Koopmans
and Olzak 2004)。

お手軽に反移民を表明しているようにみえる上野さんに公開質問状をお送りしたのも、軽率な意見表明が排外主義を促進する効果を持つとの懸念を持ったからに他なりません。

 

3.「国民主権」の全能性について

 

 上野さんの議論は、岡野さんも指摘されているとおり、移民管理における「国民主権」の全能性を信奉しているようにみえます。しかし実際には、主権は、全能な「至高の権力」ではなく、移民ネットワーク、国際規範、外交関係、社会の道徳規範などによって規定される社会的・歴史的産物にすぎません(Ngai
2004)。

主権が全能でないことは、各国に存在する非正規移民が端的に証明しています。とはいえ、日本の場合、国家、正確には入国管理局は、「至高の権力」としての主権であるかのように振る舞い、大幅な裁量のもと外国籍者を管理・追放してきました。また、マクリーン判決に代表されるように、裁判所もそうした「至高の権力」としての主権という神話を追認してきました。こうした状況において、「国民主権」の全能性を当然視する言説は、入管局の振る舞いにお墨付きを与え、民族的マイノリティを抑圧する政治的効果をもたらします。


またこうした主権の全能性についての信奉は、移民の存在を「国民」による操作もしくは保護の対象としてのみ捉える議論につながっています。上野さんの回答において、移民は「国民主権」によってどうとでもなる存在として位置づけられ、彼・彼女らの行為者性(agency,
行為する力)はまったく無視されています。

 

具体的には、それは、移民の数量規制を云々する箇所にくわえ、「わたしたちが外国の人たちにどうぞ日本に安心して移住してください、あなた方の人権はお守りしますから、と言えるかどうかも」というパターナリスティックな記述に表れています。

 

しかし、在日コリアンの権利獲得の歴史ひとつ振り返っても、「日本国民」が彼・彼女らの人権を率先して「お守り」したことがあったでしょうか。むしろそれらの権利は、国際的な圧力にくわえ、当事者自身による身をかけた闘いによって獲得されてきたのではないでしょうか(朴君を囲む会編
1974; 田中 2013)。

 

私たちが関わってきた移住者支援運動も、当事者による運動の蓄積の上に成立しており、上野さんのようなパターナリズムは規範として問題があるだけでなく事実としても間違いです。

 

4.移住女性は女性ではないのですか

 

 上野さんは、「EPA 協定で年間 500 人の看護・介護労働者が入ってきましたが(中略)、これが年間 5 千人、5
万人の規模なら、どうなるでしょう。」と書かれています。これは、端的にいって、事実認識上の間違いがあります。というのも、年間数百人のEPA労働者とは別に、定住する国際結婚女性やシングルマザー、フィリピン等から来日した日本人男性との間に生まれた子どもと母親など、すでにケア労働の現場で働く移民は数万人を超えると推測されるからです(野口
2015; 高畑 2009)。

 

くわえて、2016年には、「特区」における外国人家事労働者の受け入れおよび在留資格「介護」が創設されました。また「介護」分野における外国人技能実習生の就労も2017年中に始まることが決定しており、今後ケア労働に従事する移民はより増加することが見込まれます。

この点に関して、ベル・フックスの「私は女性ではないのですか」という問いかけ(bell hooks
1982)を思い起こさざるを得ません。

 

この言葉は、移民受け入れより「平等に貧しく」を主張する上野さんにも向けられるのではないでしょうか。上野さんは、移民がいなければ日本人女性が手を汚さずにすむと考えているようです。これは、すでにケアワークに多くの移住女性を巻き込むことで成立している現実を見ないで済ますことができるミドルクラスの日本人女性には、心地よい言説となるかもしれません。しかし、すでにケアワークに移民が参入する経路が確立しているなかで、ことさらに「日本人」と「移民」を区別することは何をもたらすのか。「日本人」ケアワーカーと移民ケアワーカーの労働条件の違いを正当化し、両者の連帯を阻害することで、結果としてケアワークの労働条件自体をあげることをも困難にするのではないでしょうか。

 

 私たちは、上野さんが単純化された二分法に取り込まれてしまい、結果的に排外的なメッセージを発していることに危機感を抱いています。机上の空論に振り回され、排外主義の片棒を担ぐより前に、今ここにある現実の複雑さを引き受けた上で、ありえる選択肢を模索するのが社会学の役割ではないでしょうか。

 

 

【文献】

Balibar, E. & I. Wallerstein, 1990, Race, nation, classe: Les identités ambiguës, La Découverte.

bell hooks, 1982, Ain’t I a Woman: Black Women and Feminism, Pluto Press.

Favell, A., 1998, Philosophies of Integration: Immigration and the Idea of Citizenship in France and Britain, Macmillan.

Faist, T., et al., 2004, “Dual Citizenship as a Path-Dependent Process,” International Migration Review, 38: 913-944.

Freeman, G., 1992, “Migration Policy and Politics in the Receiving States,” International Migration Review, 26: 1144-67.

Guiraudon, V. and C. Joppke eds., 2001, Controlling a New Migration World, Routledge.

Hollifield, J. S., 1992, Immigrants, Markets and States: The Political Economy of Postwar Europe, University of California Press.

Hollifield, J. S. et al. eds., 2014, Controlling Immigration: A Global Perspective, third edition, Stanford University Press.

Huysmans, J., 2006, The Politics of Insecurity: Fear, Migration and Asylum in the EU, Routledge.

Koopmans, R. and S. Olzak, 2004, “Discursive Opportunities and the Evolution of Right-wing Violence in Germany,” American Journal of Sociology, 119(1): 198-230.

Massey, D. S. et al., 2002, Beyond Smoke and Mirrors: Mexican Immigration in an Era of Economic Integration, Russell Sage Foundation.

Morris-Suzuki, T., 2010, Borderline Japan: Foreigners and Frontier Controls in the Postwar Era, Cambridge University Press.

Mudde, C., 2007, Populist Radical Right Parties in Europe, Cambridge University Press.

Ngai, M. M., 2004, Impossible Subjects: Illegal Aliens and the Making of Modern America, Princeton University Press.

野口和恵,2015,『日本とフィリピンを生きる子どもたち――ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン』あけび書房.

朴君を囲む会編,1974,『民族差別――日立就職差別糾弾』亜紀書房

Soysal, Y. N., 1994, Limits of Citizenship: Migrants and Postnational Membership in Europe, University of Chicago Press.

高畑幸,2009,「在日フィリピン人介護者——一足先にやって来た『外国人介護労働者』」『現代思想』37(2): 106-18.

田中宏,2013,『在日外国人 第三版——法の壁、心の溝』岩波書店

 


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右翼幼稚園経営者が今度は右翼小学校 その用地買収問題――その3


園児に「教育勅語」を暗唱させることで知られる「愛国幼稚園」こと塚本幼稚園を運営する森友学園をめぐる国有地"激安"売却問題について、ぞくぞくと事実が見えてきています。多くの記事が出てきたことは喜ばしことです。

 

 

たくさんありますが、まずは渡辺輝人 弁護士のとてもまとまったよい記事を紹介します。
これが私が見た中で20日の時点で深く問題をつかんでおり一番まとまっています。
アドレスをここに貼り付けまず。ぜひ全部を見てください。


金銭収支が国からもらった金の方が学園の持ち出しよりも多くなるという異常事態(ただで広大な国有地を獲得)を明確に整理しています。

 

森友学園の国有地取得の収支  
渡辺輝人 | 弁護士 2/20(月)
https://news.yahoo.co.jp/byline/watanabeteruhito/20170220-00067887/


森友学園への不明瞭な国給付
渡辺輝人 2月21日
https://news.yahoo.co.jp/byline/watanabeteruhito/20170221-00067891/

 

f:id:hiroponkun:20170223231652p:plain


◆そしてついに安倍首相の妻が、やばいと思ったのでしょう、右翼小学校のHPから消えました。

 「森友学園」が4月に開設を予定している小学校のホームページから、安倍晋三首相の妻・昭恵氏についての記載が2月23日に削除された。
これまでは、HPの「ごあいさつ」のページで、昭恵氏を顔写真とともに名誉校長として紹介し、「日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます」とする記載があった。

ほかの情報をまたまとめて後でアップします。とりあえずここまで。


 

右翼幼稚園経営者が今度は右翼小学校 その用地買収問題――その2

 

園児に「教育勅語」を暗唱させることで知られる「愛国幼稚園」こと塚本幼稚園を運営する学校法人森友学園をめぐる国有地"激安"売却問題。


。この問題、国会で取り上げられたり、朝日新聞やネットメディア、一部テレビニュースがある程度取り上げている。しかし、多くの人に影響がある「ワイドショー的なもの」(ひるおび、とくダネ!、モーニングショー、ビビット、スッキリ!、ヒルナンデス、バイキング、ライブグッディ、ミヤネ屋、ちちんぷいぷいなど)ではほとんど取り上げていないように思う。全部はチッックしていないが、テレビ欄などを見ていてそれがわかる。

 

そこに安倍政権への配慮、おそれがあるというのは、これまでのテレビのうごきから容易に想像できる。あまりにおかしいのに。


これが民主党政権の首相がらみのスキャンダルならどうだったろうか。こぞってすごい時間をかけて取り上げただろう。

 

以下、追加情報のまとめをしておく。


●当該土地は、大阪航空局が2009年から2012年にかけて地下埋蔵物状況や土壌汚染状況を調査した結果、浅い部分から鉛やヒ素の土壌汚染と廃材・コンクリートガラ等の地下埋蔵物が発見されていた。


豊中市の約8770平方メートルの国有地に対して、財務省近畿財務局が2013年に売却先を公募し、「森友学園」が名乗りを上げたが、同学園はすぐに購入資金を準備できず、2015年5月に土地を借り受ける契約を結んで工事に着手した。

 

 

森友学園は、当該の土地を買いたいと考え交渉していた時に、純資産が4億2000万円しかなく、それでは10億円以上の建設費用を賄えないため、経営が安定するまで貸し付けで利用したい旨の申し出をしていた。

 

 

森友学園は、2015年7月29日から12月15日まで土壌改良、埋設物撤去工事等を実施したと申し出て、この時にかかった費用1億3176万円を後に国から受け取った。国が土壌の汚染除去費(1億3176万円)を負担したこと自体がおかしい。どこまでこの右翼にやさしいのか。

 


●2016年3月11日、小学校建設工事中に地中深くから新たに廃材やプラスチック、家庭ごみなどが見つかった。その直後の3月30日に森友学園は土地購入を申し入れた。ている。ゴミが大量にありそうな土地を買うのはおかしいが、これを口実に安く購入できると裏で考えた模様。
実際、一連の経緯について取材に応じた同学園の籠池泰典理事長は「財務局から公表してもいいかと問い合わせがあった際、原則公開していると知らなかった」ので公表しないでくれと頼んだといいつつ、、「不当に安く取得したと誤解を受ける恐れがあると判断した」ので公開するとした。不当に安く取得しているという自覚(そう思われる恐れ)があるようだ。

 

 

●計算根拠はなかった
そしてなんとゴミ撤去に8億円(国は8億1974万1947円と計算)も費用が掛かるという計算が出てきて、結果、10分の1の価格で土地を購入できた。国会議員の現地調査で、近畿財務局と大阪航空局が撤去費の積算根拠を答えられなかった。くい打ちでゴミが出たという学園側の言い分だけで、国側は何の調査もせず、資料もうけとらず、どういうわけか8億円もの金をかかると計算して値引きした。なお森友園側は「撤去費の試算には一切関与していない」といっている。ゴミが出たといっただけで勝手に8億円もくれたということ。


さらに学園側の変な理屈もある。学園側によると、最終的な処分費が実際いくらかかるかは未定だが、敷地内のすべてのごみを撤去しない、だから国側の見積もり8億円はかからない、といいつつ、「地下にごみが残っている分、土地の資産価値も下がる。安く売られたという批判は間違っている」という。いずれにせよ、学園側がみずから告白しているから国が8億円引いたのがおかしいことは明らか。

 

 

●実際にごみを撤去して8億円金を使った証拠が全くない。
全部の土を掘り起こして新しい土に替えるならトラック4000台分になるが近所の人も、そのようなことはしていなかったと証言。埋設物の運び出しが実際に行われたか確認しているのかときかれて、国土交通省航空局長は「売却後の土地の扱いは承知していない」と答えた。つまり確認していないことを認めた。学園側はどこの業者に処理依頼したか、その領収書など何も出せない。たぶん、何もしていないと思われる。

 

 

共産党議員が指摘したように、処理費8億円のうち、少なくとも建物が立っていないグラウンド用地については深部のゴミ撤去はしていないと森友学園代表自身が述べているので、8億のうちの少なくとも3億円は学園がだまし取ったことになる。全部でゴミ撤去していないならば8億円をだましとったことになる。

 

 

財務省は、「開校日が迫っているので早く除去したいという学園に処理を任せた」と逃げて、何も確認していないことを告白。8億円が実費ではないことが明らかになった。

民進党福島議員が問い詰めて出てきた話。

(最初福島みずほ議員とまちがいました。すみません)


処分するごみについては、近畿財務局が確認したというが、廃材、プラスチック、生活ごみ等々がどの程度有害かどうか、除去する法律の対象となるものかどうかと聞くと、「つまびらかでございません」との答え。2016年3月にごみが見つかったので、国が除去すると時間がかかる、開校予定が2017年4月ということで、学園側が自分で撤去して早く開校したいといって買い取りの意思を示したので、すべて任せて売ったとのこと。
つまり「ゴミが出た」といっただけで、実際の調査などをちゃんとせずに8億円も値引きしてすぐに売った、その後は売ったから国は「ほんとうにごみをとったか、ダンプカー4000台分搬出したか、そんなにごみがあって8億も費用がかかったのか」などチェックも何もしないということ。出来レース
本当にそれが、除去が必要かどうか精査するのは国の役目なのに、税金で買った国有財産を、安全か危険かも判断しないで、向こうの言い値で超安値で売ったということ。

 


● 学園の籠池泰典理事長は、2月20日のTBSラジオのインタビューで、撤去費として国が見積もった8億円もの額を使っていないと言った。

●土地購入額1億3400万円は今後10年にわたって支払われるということで、毎年払うのはわずか1000万円ほど。いまは頭金しか支払っておらず、あとは10年間にわたる「分割払い」で延納利息1%という無茶な契約。近畿財務局が学校法人に対してこのような延納を認めた事例は直近3年間でも一件もないという。

 

  第1回 2017年5月31日納付期限 1114万7271円
 第2回 2018年5月31日納付期限 1120万5425円
 第3回 2019年5月31日納付期限 1120万5425円
 第4回 2020年5月31日納付期限 1120万5425円
 第5回 2021年5月31日納付期限 1120万5425円
 第6回 2022年5月31日納付期限 1120万5425円
 第7回 2023年5月31日納付期限 1120万5425円
 第8回 2024年5月31日納付期限 1120万5425円
 第9回 2025年5月31日納付期限 1120万5425円
 第10回 2016年5月31日納付期限 1120万5427円


● 当初の有償貸付契約では、森友学園は賃料を総額2億7300万円支払い、さらに土地を取得するために土地の代金(更地として評価額10億ほど)を支払わなくてはならなかった。

 

 

森友学園は、補助金という名目で6200万円を受け取っている。


●そのため、この土地の取得についてほとんど無償で得ていることになる。
売却額は1億3400億円という超安値だが、売買契約の約2カ月前である2016年4月6日に、大阪航空局森友学園に除去費用として1億3176万円を支払っている。つまり、相場14億円の土地を国が売って、国庫に入る額は、たったの200万円ほど。しかも上記したように毎年1000万円の分割払い、補助金も受けているから、いまのところむしろ国から金をもらってその金のなかから少しずつ出していくという、おかしな状況。自己資金がなくても、経営基盤がなくても安倍首相の名前で金集めし、14億円の土地が得られたという話。2011年、7億で買いたいという別の学校があったのに、そんな安さでは売れないといった土地がである。。政治的スキャンダルである。

 

 

森友学園補助金も受けている。
国土交通省「建物の木造化木質化推進のため先導的設計施工技術を導入するプロジェクト」に対し森友学園が2015年に応募し、同年採択され、2か年6200万円の補助金を交付されている。
小学校が開設されれば、私学助成金も入る。

 


●小学校設置認可について、大阪府私立学校審議会2015年1月で、以下のような条件が付けられていた。
 ・申請者には財務・会計状況やカリキュラム、または校舎建設など小学校設置までのプロセスをさらに明らかにしていただくとともに、今後の本審議会において、その内容を事務局から必ず報告をいただくこと。
 ・カリキュラムについては小学校の学びが充実されるようさらに内容を詰めていただきたい。
 ・私立学校には特色ある教育が求められる側面があるが、懸念のある点については本審議会が今後も確認を進めるべき。

 

 つまり教育姿勢があまりに右翼的であるとか経営基盤が怪しいので、注意するようにいっている。だがその後、それは放置されている。実際、入学予定者は非常に少なく、経営がさらに危機になるとみられている。(同小学校では新1年生と新2年生それぞれ80人を募集したが、現時点の入学予定者は1年生が40人、2年生が5人)
経営基盤が怪しいのに、誰でも買えるような毎年1000万円、事実上ほぼ無償で手に入れさせているのは、政治的なスキャンダルというしかない。

 

 

●学校の認可を話す臨時会が開かれて、付帯条件がクリアされていないのに認可適当と決めたのもおかしい。資金計画も、工事も、カリキュラムも決まっていない段階で、認可を出したのがおかしい。


しかも学校の設置は、原則、校地校舎を自己所有となっている。小学校は大阪府基準で校地校舎は自己保有と決められている。


だがこの右翼小学校は、国有財産地方審議会の前に、条件付きとはいえ、認可適当と判断された。借地の上に校舎がない段階で許可された。
「認可適当という、あくまでも条件をつけた答申で、最終的認可は、2017年3月に、最終確認の後で行われる」ということだが、今はほぼこのまま認可されることになっている。


認可申請書は、この国有地の扱いが、近畿地方審議会で議論され決まる半年近く前に提出された。つまり土地の確保も学校の所在地も定まらないような学校の設置認可の申請を受け付けている。おかしい。近畿財務局は、本件について、審議会にはかる半年も前から、大体確実だという内諾を、森友学園や関係機関に与えていたことになる。

 


●この小学校の教員構成で、常勤の教職員で小学校教員経験者が少ないという問題がある。

 

●近畿財務局は『H28-年3月31日期日までにキチンと小学校が出来るかどうか、もし出来なければ、事業予定者とは言え、その時点で打ち切る、土地を更地にして返すことを義務づけている』といったが、様々な条件をクリアできるのか不明、お金もなく継続して成立していけるのか不安なところに、、『非常に異例な形』(私学審議会会長発言)で事実上許可した。おかしい。

 


教育勅語を教える神道教育で、安倍首相を美化するような学校、中国や韓国などの外国をヘイトする(「よこしまな考え方を持った在日韓国人支那人」などと書いたヘイト文書を配布。「韓国、中華人民共和国人等の元不良保護者」とHPに書いて攻撃など)ような学校は、「我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し」という規定がある教育基本法に、および特定の政党を支持・反対する政治教育を禁じた教育基本法に反しているといえる。

 

 
●民進が衆院予算委理事会で籠池氏の参考人招致を要求しているが、そうすべき。
共産党穀田恵二国会対策委員長が「政治家の関与も含め、交渉過程の一連の文書を公開すべきだ」と語ったが、そうすべき。

 

●幼稚園で、異常な対応を保護者にしていたことが判明。
複数の元園児の保護者が「強制的に退園させられた」などとして「退園者の会」を結成した。うち2世帯が損害賠償を求めて学園側を提訴している。
子どもが園の複数の職員から「犬臭い」、「犬を処分しなさい」と言われたり、「パンツが生乾きで犬臭い」などと書かれた手紙も渡されたりした。「パンツで(漏らした)うんちをくるんで幼稚園のバッグに入れて持ち帰らせる」「犬を飼っている子が『犬臭い』と言われ、勝手にリュックサックを捨てられた」などと保護者が言っている。またある保護者は、園のアルバム2冊の購入を断った際に退園を迫られた。


 

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●首相の関与責任
安倍首相は、「瑞穂の國記念小學院」の校名が当初「安倍晋三記念小学校」として計画され、実際にその校名で寄附金を募っていたことに対して、
安倍晋三記念小学校」という名にすることを断っていたというが、森友学園理事長籠池氏は「(校名を決めたのは)安倍総理が野党議員の時の話です。内諾はいただいていましたが、総理になってそれは出来ないと辞退されました。安倍総理は政治家というより偉人ですよ」(「週刊文春」より籠池理事長のコメント)といっている。つまり内諾していたわけだ。


また2014年にもう首相になっているのに安倍首相の名前で募金を募っているからおかしい。断られているのに勝手に印刷までして出来るのか。むしろ安倍が総理就任後も「安倍晋三記念小学校」として計画は進められており、しかし、2015年あたりから土地取得がらみで非常に不正なことを企てて進めていたので、安倍首相との関係を隠そうとしてなまえを「瑞穂の国幼稚園」にしたとみるのが自然だ。


首相の妻は「首相をやめたら安倍小学校にしてもいいと伝えた」といっているので、かなり内諾的なことがあったことは間違いない。だが、安倍首相は2月17日の衆院予算委員会で内諾したことすらも否定している。


誰が嘘をついているのか。首相になる前にこの右翼と親しく交流していて、安倍小学校にすることをにこにこして内諾していた事実はほぼ間違いない。妻は名誉会長までして協力。いずれにせよ、金集めに利用されているんだから安倍には責任がある。
福島議員の追求に首相も「あのお、事実については、妻が、名誉校長になっていることは承知をしておりますし、妻から、森友学園の、先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」とこたえている。.

 

 

●この右翼「小學院」のHPに掲載されている安倍昭恵氏のあいさつ。

「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます。そこで備わった「やる気」や「達成感」、「プライド」や「勇気」が、子ども達の未来で大きく花開き、其々が日本のリーダーとして国際社会で活躍してくれることを期待しております。」

 

 

●「週刊新潮」では、籠池理事長の教育者としての資質そのものに疑問が出るような話が載せられている。籠池理事長の次男が取材に応じ、「父は、自分と異なる意見には耳を傾けず、気に入らない人はすぐに切り捨てようとする」と語り、長男の結婚相手を気に入らず玄関先で追い返したことや、孫のことを「幼稚園にぎょうさん子どもはおるから孫は要らん」と言い放ったこと、さらには厳しい教育に抵抗した三男は「両親から白い目で見られ、家にも入れてもらえなくなった」上、7年前に21歳で首つり自殺したと証言。遺書には"両親には頭が上がりません。もう居場所が見つからない"と書かれていたという。しかし、そのときも籠池理事長と妻は神社の研修に行っていたらしく、次男は「警察からの連絡に対応せず、弟は遺体安置所に長時間放置されていた」と話している。

 

 

稲田氏は、森友学園理事長に感謝状を出していた
民進党辻元清美氏の追求で驚くべきことが明らかになった。
稲田朋美防衛相が、学園の籠池泰典理事長に防衛相感謝状をおくっていた。つい最近のことだ。稲田氏は2016年10月22日に「交流等を通じて防衛基盤の育成と自衛隊員の士気高揚に貢献した」との理由で籠池氏に感謝状を贈った。
それに対し、2月23日の衆院予算委員会分科会で、同学園が差別的な表現を記した文書を保護者に配布していたことなどを受け、取り消しを検討する考えをようやく示した。

 

本当にこの右翼経営者・籠池泰典理事と日本の右翼政治家たちのつながりは深い。右翼政治家総力をあげてこの学園を応援しているということだ。

 

∞∞∞∞∞

北田暁大氏の上野千鶴子批判

 

上野千鶴子さんが中日新聞に述べた移民反対論に対して、北田暁大さんが批判してます。
http://synodos.jp/politics/19136

******

 

当たっている当然の批判もありますが、脱成長派批判まで広げて、まちがった批判までされている状況です。貧困や社会問題・移民問題に対しては経済成長しないとだめという成長主義の擁護になっていて、それが常識と一面的に言ったものですが、リアルな政治や経済の問題とともに、脱物質主義的なスタイルの大事さもあるので、兎に角「『敵』を低く見下して」偉そうに言う姿勢はあらためたほうがいいという面が、この北田さんの批判にも見受けられます。

 


上野さんを脱成長派の典型のよう利用する必要はないでしょう。
ほんとうに現場で運動していない学者のことばには、簡単にきれいごと言っているよなというものがあります。上野批判はまあ多くの人がしているように当然の面があるのですが、そう批判している人が自分をどこまで顧みているかです。

 

昨晩、京都の夜回り・野宿者支援・日雇い労働者運動を長年している方のお話を聞きましたが、その生き方には尊敬すべき点が多々ありました。それとの対比を感じます。

 

好きになってよかった

 

ももクロのバックとかしている加藤いづみさん。
この歌はいい。

 

好きになって、よかった 加藤いづみ

 

もう一度~好きになって、よかった

 

https://www.bing.com/videos/search?q=%e5%8a%a0%e8%97%a4%e3%81%84%e3%81%a5%e3%81%bf%e3%80%80%e5%a5%bd%e3%81%8d%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%82%88%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f&view=detail&mid=22C5E0BED3823282290922C5E0BED38232822909&FORM=VIRE

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Perfume広島時代】 好きになってよかった 【のっち&あ~ちゃん】
http://www.bing.com/videos/search?q=%e5%a5%bd%e3%81%8d%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%82%88%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f&qpvt=%e5%a5%bd%e3%81%8d%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%82%88%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f&view=detail&mid=8DF70DDE78F6448A86B48DF70DDE78F6448A86B4&rvsmid=0F0D2C1BBADB32F2D5890F0D2C1BBADB32F2D589&fsscr=-2310&FORM=VDQVAP

 

弱者も主流秩序を内面化している―――日本社会は、他者の痛みに対する感受性が欠如している


以下の記事、痛々しいです。主流秩序の底辺のものが、同じ境遇の他者に対しても、『自己責任だ』という冷たい視線を向けるし、他人に対して不寛容。「下からの自己責任」とでもいうべきことが、社会の一番厳しい層で起きている。


それは悲しいがひとつの事実でしょう。主流秩序にとらわれているとはそういうことです。

そして沖縄に犠牲を押し付けても平気なのは、主流秩序において沖縄が底辺に位置するようにしているからです。主流秩序論では沖縄への加害者責任を問います。

沖縄が犠牲になるのも仕方ないという学生もいます。恐ろしいことです。

 

」+++++++++

沖縄、黙殺される痛み 風俗の女性に見た日本の縮図

朝日新聞デジタル

 

 沖縄出身の教育学者で、琉球大教授の上間(うえま)陽子さんが今月、風俗業界で働く女性たちの生き方を、インタビュー調査を通じて描いた『裸足で逃げる』(太田出版)を出した。描いているのは、家族やパートナーからの暴力に日常的にさらされ、その暴力が自明視されている生活を送る女性たち。沖縄での暴力から浮かび上がるのは、「他者の痛みに対する日本社会の感受性の欠如だ」と語る。

 

 上間さんが2012年にスタートさせた、沖縄のキャバクラやソープランドなどで働く女性たち15人への継続的な調査をもとに、女性の生活史をつづった。昨年4月に沖縄で起きた元米兵が女性を殺害した事件が、本にまとめるきっかけになった。現場は自分がよく知っている地域。「『またか』と。女性への暴力が、なぜ繰り返されるのかを書かないといけないと思った」と話す。


 本に出てくる、現在21~30歳の女性のほとんどは10代で結婚・出産し、そして離婚してシングルマザーとして働く。夜の世界には、早ければ中学生の時には関わり始めている。
 脳性まひの子どもを抱えながら看護師になっていく女性。性暴力の被害に遭い、さらにパートナーの家庭内暴力に苦しむ女性。傷ついていく女性たちの境遇は厳しく、家族や恋人からの暴行で失神して病院に運ばれるというのもめずらしくない。「そうした生活しか選びようがない。体を掛け金のようにして夜の世界で生きている」
 女性の多くに共通するのは「社会に対する信頼感の低さ」だという。


 「手を差し伸べてもらえないことを悟っているから、助けも求めない。同じ境遇の他者に対しても、『自己責任だ』という冷たい視線を向けるし、他人に対して不寛容。(上が下に強いるのではなく)下からの自己責任とでもいうべきことが、社会の一番厳しい層で起きていることを、私たちは黙殺し続けている」
こうした厳しい現実は、決して日常とかけ離れたところにあるわけではない。沖縄の外の人たちが思い描く、美しい自然と穏やかな人たちに象徴される「のんきな沖縄」の内部に入り込んでいるという。


 その一例に、調査で出会った1人の女性のエピソードを挙げる。闘牛を育てる恋人の男性に連れられ、牛舎に通うのが日課。そこには地域の男たちが集まり、毎晩のように酒盛りをしながら牛の話などで盛り上がる。


 「一見ノスタルジックで、沖縄の『原風景』とでもいわれそうな光景。でもその女性はいつも居場所がなくて、酒盛りの間、外の車の中で寝ていました。『来い』と言われて来ているのに、です。そこは誰も見ない。苦しんでいる人のアングルに変えられない」


 こうした黙殺という「暴力」が分断を生み出す構造は、そのまま本土と沖縄の関係にも重なる。米軍による女性への事件が相次いでなお、沖縄から基地をなくす動きは本土で本格化せず、被害者側の「落ち度」を非難する声があとを絶たない。

 

 今、米国のトランプ新大統領と安倍晋三首相の首脳会談が終わり、「日米同盟堅持の確認」が安堵(あんど)感とともに報じられている。いつのまにか、オスプレイの「墜落」は忘れられ、その海に米軍普天間飛行場の移設のためのコンクリートブロックが投入されていることは沖縄の外では意識されていないではないか。

 

 「沖縄の海の美しさはほめても、その海にコンクリートを落とされるのが『痛い』という声には共感しない」


 でも、上間さんは、沖縄で起きている暴力ではあるが、「沖縄の問題」として切り離して考えてほしくない、と語る。日本社会が直面している問題だからだ。「他人の痛みに対する感受性の問題。通勤電車で隣に座った女性がこの本の女性たちでありうると、今の日本人が感じられるか。私は残念ながら悲観的です。でも絶望したくないからこれを書きました」

 

移民を入れないという権利はあるのか

 

上野千鶴子さんが「平等に貧しくなろう」と言うインタビュー記事を新聞に載せましたが、その主張に問題があると各方面から批判が起こり、それに対して上野さんが反批判するという事態になっています。


上野さんが、移民を入れると日本社会では差別が起こり格差が拡大し治安が悪くなるという「リアルな予想」(客観的にありうる蓋然性の高い予測)のもと、移民受け入れに反対しているわけです。


移民を受け入れないという権利が、上野さんに、そして今の日本にいる日本人(日本政府)にあるという考えのもとでの主張です。この点を含めて批判されていても、上野さんが譲らないところに深い問題があります。


論点がいろいろあるので、上野さん批判はいろいろできると私は思いますが、私が特に言うまでもなく多くの人が行っていくだろうから、とりあえず、以下の3つの流れをここに載せておきます。

①上野さんの最初のインタビュー
②移住連の質問書(事実上の批判)
③上野さんの反批判

 

私があまり論争的に今かかわろうとしないのは、大所高所、上から、「人口や経済や治安や国際政治など」の政策を語るというスタンスこそ嫌うからです。総理大臣、政治家、学者の視点は鳥瞰図的な鳥の視点です。私は、拙著でも書いたように、主流秩序論を取るということの意味でもあるのですが、虫の視点で地面に這いつくばるところから考えて自分の行動を決めようと思っているからです。

目の前にひとりの移民や難民がいて日本社会で生きたいという時に、日本に入れないという口を私はもちたくないというスタンスなのです。自分がもし移民なら、難民ならと考えます。

移民に限らず日本社会も主流秩序に支配された格差・差別社会であり、日本人でも負け組は差別されています。移民も難民も日本で生き難い苦難を味わうことでしょう。でも、その人が日本に来たいと言ったら、受け入れないとは言えない。あとは目の前の人が労働問題で困っていたり差別されたらユニオンとして戦うし、DVされたらその相談に乗ります。色色こまったとがあれば相談に乗り、行政とも掛け合います。そういう人たちが、「上野さんの鳥瞰図・政策的な視点」に怒っているのだと思います。

 

以下
①上野さんの最初のインタビュー
②移住連の質問書(事実上の批判)
③上野さんの反批判

******************
◆1:2月11日付『中日新聞』『東京新聞』「考える広場 この国のかたち3人の論者に聞く」紙面 
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hiroba/list/CK2017021102000006.html
「平等に貧しくなろう」
平等に貧しくなろう 社会学者・東京大名誉教授 上野千鶴子さん

 

 日本は今、転機だと思います。最大の要因は人口構造の変化です。安倍(晋三)さんは人口一億人規模の維持、希望出生率一・八の実現を言いますが、社会学的にみるとあらゆるエビデンス(証拠)がそれは不可能と告げています。

 人口を維持する方法は二つあります。一つは自然増で、もう一つは社会増。自然増はもう見込めません。泣いてもわめいても子どもは増えません。人口を維持するには社会増しかない、つまり移民の受け入れです。


 日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。
 移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。


客観的には、日本は労働開国にかじを切ろうとしたさなかに世界的な排外主義の波にぶつかってしまった。大量の移民の受け入れなど不可能です。
 主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大き過ぎる。トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト」と言いましたが、日本は「ニッポン・オンリー」の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。
 だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)六百兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。ところが、日本には本当の社会民主政党がない。


 日本の希望はNPOなどの「協」セクターにあると思っています。NPOはさまざまな分野で問題解決の事業モデルをつくってきました。私は「制度を動かすのは人」が持論ですが、人材が育ってきています。


 「国のかたち」を問う憲法改正論議についても、私はあまり心配していない。国会前のデモを通じて立憲主義の理解が広がりました。日本の市民社会はそれだけの厚みを持ってきています。
 (聞き手・大森雅弥)

 <うえの・ちづこ> 1948年、富山県生まれ。認定NPO法人「ウィメンズ アクション ネットワーク」理事長。『ケアの社会学』『おひとりさまの老後』など著書多数。近著は『時局発言!』(WAVE出版)。

********


◆2: 移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連・移住連貧困対策プロジェクト)
2月11日付上野千鶴子氏の発言についての公開質問状

公開質問状。
http://migrants.jp/archives/news/170213openletter
特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)貧困対策プロジェクト〒110-0005 東京都台東区上野 1-12-6 3 階
移住連内 TEL:03-3837-2316 FAX:03-3837-2317

 

 

株式会社中日新聞社御中上野千鶴子

中日新聞』『東京新聞』(2017 年 2 月 11 日)「考える広場この国のかたち3人の論者に聞く」における上野千鶴子氏の発言にかんする公開質問状

 

私たち移住連貧困対策プロジェクトは、この社会で暮らし、働く、外国人移住者とその家族の生活と権利を守り、自立への活動を支え、よりよい多民族・多文化共生社会を目指す個人、団体による全国のネットワーク組織・移住連のサブネットワークです。

2017 年 2 月 11 日付『中日新聞』『東京新聞』「考える広場この国のかたち3人の論者に聞く」における上野千鶴子氏の発言は、事実誤認と偏見にもとづくもので、看過できないものと判断し、以下の公開質問状をお送りします。


問題は、上野氏が日本の移民の状況に無知であり、研究者として関連文献に目を通すような基礎的な作業すらしないまま、排外主義的な論理に取り込まれている点にあります。以下、上野発言の問題を質問状の形で指摘していきます。

 

1.「移民受け入れ」に対する無知と偏見について上野氏は、「移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか」と述べています。これは以下の点で事実に反しており、何を根拠にした発言なのでしょうか。

・移民受け入れにより「社会的不公正と抑圧」が増大するのではありません。日本に存在する社会的不公正と抑圧が、移民に集中的にのしかかる可能性はありますが、これは移民を受け入れた結果ではなく因果関係が転倒しています。上野氏は、女性が増えたら、性的マイノリティが増えたら社会的不公正と抑圧が増大するからよくないといわれるのでしょうか。

 

・治安悪化は、日本において特に頻繁に語られる移民への謬見です。実際には、日本で移民人口が増えたことによる治安悪化はまったく起こっていません。「治安悪化」というデマは、1990 年代後半に警察とメディアが広めたもので、上野氏もそれを信じ込んでいるようです。今回の発言は、自らそうしたデマを広めていますが、それについてどうお考えでしょうか。


2
2.労働開国にかじを切ろうとする日本?
「客観的には、日本は労働開国にかじを切ろうとしたさなかに世界的な排外主義の波にぶつかってしまった」という発言における「労働開国にかじを切ろうとしたさなか」とは、いつ出されたどのような法・制度・政策指針を指していますか。
日本では、90 年入管法改定において、日系 3 世とその家族に「定住者」の在留資格を認めたことや、93 年に設立された外国人技能実習制度により、すでに実質的な労働開国に踏み切っています。


一方、「世界的な排外主義の波にぶつかってしまった」と、「排外主義」があたかも日本の外からやってきたかのような発言をされています。日本において、植民地主義支配から続く在日外国人にたいする差別、近年、ネットや路上ではびこっているヘイトスピーチについてどのようにお考えでしょうか。


なお、移民制限的な政策をとっているかにみえる国であっても、実質的には移民の流入が続くことは、移民研究上の常識です。「世界的な排外主義の波」と移民増加は並行して生じるもので、排外的な風潮により移民流入が制限されるという排外主義の論理を、上野氏は実質的に追認しているのではないでしょうか。

 

 

3.「日本は『ニッポン・オンリー』の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう」という発言について
・2008 年に国会の衆議院及び参議院において「アイヌ民族先住民族とすることを求める決議」が全会一致で採択され、日本が「単一民族」であることは公式に否定されましたが、「単一民族神話が信じられてきた」というのはどのような根拠にもとづいているのでしょうか。またこの発言こそが、「単一民族神話」を再生産していますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。


・現在日本には 230 万人を超える外国人移住者が暮らし、先住民や外国にルーツをもつ日本国籍者を含めると、民族的マイノリティはそれ以上になります。「日本は『ニッポン・オンリー』の国」というのは、どのような根拠にもとづいた発言でしょうか。

 

・このような、外国人移住者の増加や民族的マイノリティの存在の認知を背景に、各地で多文化共生の取り組みがすすめられてきました。2006 年には総務省も「地域における多文化共生推進プラン」を策定しています。こうした取り組みには、民族的マイノリティ当事者のみならず「日本人」も多く関わっています。


「日本人は多文化共生に耐えられないでしょう」というのは、いかなる根拠にもとづいてなされた発言でしょうか。

 

この発言を、上野氏のご専門であるジェンダー問題におきかえると、「日本は女性差別的な国。日本人はフェミニズムには耐えられないでしょう。日本に女性はいない方がいいです」となります。


この類推から、上記の発言が、いかにマイノリティの存在を否定したものであるかを理解していただければ幸いです。

 

以上、質問いたします

上野氏の発言。
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hiroba/list/CK2017021102000006.html

∞∞∞∞∞∞∞


◆3:上野千鶴子東京大学名誉教授)から移住連への「回答」
http://migrants.jp/archives/news/reply
https://wan.or.jp/article/show/7070

 

人口減少か大量移民か? ちづこのブログNo.113
2017.02.16 Thu

中日新聞東京新聞』2/11付け「考える広場 この国のかたち 3人の論者に聞く」における上野の発言、「平等に貧しくなろう」

に対して、移住連こと特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク・貧困対策プロジェクトから公開質問状を受け取りました。

 

 

一部のネット等で話題になっているようでもありますので、上野の回答を以下に公開いたします。なお発端が『中日新聞』記事でしたので、反論の掲載を中日新聞に求めましたが、断られたことをご報告申し上げます。

 


********************
特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク・貧困対策プロジェクト
高谷幸さま

 

   2月13日付け中日新聞あてに届いた公開質問状を転送していただきました。
   以下1時間以上にわたる「談話」を簡略にまとめた記事では意を尽くせなかったところを、文書で説明したいと存じます。
 移住連の方たちや、のりこえネット、国際人権NGO等の方たちが、すでに国内に在住している外国籍の方たちの人権擁護のための活動を担っておられることには、100%の敬意を払っております。


 とはいえ、ご批判には基本的な誤読があると感じました。わたしの論の立て方と質問状とが対応しておりませんので、1対1対応ではなく、自論にそってお答えしたいと思います。
 第一に、私の見解はこれまでではなく、「これから」先の将来について論じたものです。


 第二に、ジェンダーセクシュアリティと移民の問題が同じにできないのは、前者が選択できないのに対して、後者は政治的に選択可能だからです。(難民の問題は別です。)したがって、「公開質問状」にあった「この発言を、上野氏のご専門であるジェンダー問題におきかえると、「日本は女性差別的な国。日本人はフェミニズムには耐えられないでしょう。日本に女性はいない方がいいです」となります」は、まったく当たらない類推となります。

 

 日本の人口推計によれば2060年の人口推計は8674万人、人口規模1億人を維持しようと思えば1.3千万人の社会増(移民の導入)が必要となります。つまり40年間にわたって毎年およそ30万人、中都市の人口規模にあたる外国人を移民として迎えることを意味します。現在の1億2千万規模を維持したいなら3千万、およそ半世紀後に人口の1-3割が外国人という社会を構想するかどうかが問われています。


 出生率を政治的にコントロールすることはできないし、すべきではありませんが、移民は政治的に選択することができます。2000年代に入ってから経団連は「移民1000万人時代」(これまで「外国人」という用語を使い、「移民」と言ってきたことがなかったので、驚きでした)をうたい、政府は家事・介護労働市場への外国人の導入を検討しています。今のところいずれも及び腰ですが、この先、「この国のかたち」をどうするかについて、政策が提示されれば、わたしたち有権者も、それに対して賛否の判断をしなければなりません。

 


 現実には日本にはすでに相当数の外国人労働者が入ってきており、外国人労働力依存の高い業種があること、その外国人労働者技能実習生制度等のもとで不当な取り扱いを受けていること、外国人の犯罪率は人口比からいうと日本人よりは低いこと…等はデータから承知しております。


 ですが、移民先進国で現在同時多発的に起きている「移民排斥」の動きにわたしは危機感を持っておりますし、日本も例外とは思えません。これから先、仮に「大量移民時代」を迎えるとしたら、移民が社会移動から切り離されてサバルタン化することや、それを通じて暴動やテロが発生すること(フランスのように…と書けばよかったんですね、事実ですから)、ネオナチのような排外主義や暴力的な攻撃が増大すること(ドイツのように)、排外主義的な政治的リーダーが影響力を持つようになること(イギリスのように)、また移民家事労働者の差別や虐待が起きること(シンガポールのように)などが、日本で起きないとは思えません。(なお移民国家であるアメリカとカナダは国の来歴が違うので、比較対象にするのは困難です。)

それどころか移民先進国であるこれらの諸外国が直面している問題を、日本がそれ以上にうまくハンドリングできるとはとうてい思えません。それはすでに移民先進国の経験が教え、日本のこれまでの外国人への取り扱いの過去が教える悲観的な予測からです。

 


 アジアには人口輸出圧を持つ国がいくつもあります。もし非熟練市場を含む大規模な労働開国をしたとしたら、そのことによって得られる利益は当然あるでしょうが、その結果近い将来、起きうることが容易に予見可能でしょう。家事労働者を導入したら、「育メン」論争などふきとんで、機会費用の高い男女は、より稼いで家事をアウトソーシングする選択肢を選ぶでしょう。ケア労働者を導入したら、ケアワーカーの労働条件を改善しようという議論はふきとんで、現状の低賃金に同意して参入してくる外国人労働者への依存が高まるでしょう。

 


 これまでもとっくに外国人依存は進んでいた、というお考えの方もいるでしょう。EPA協定で年間500人の看護・介護労働者が入ってきましたが(もともと労働力不足の解消のためではなく、そのためなら焼け石に水の人数でしたが)、これが年間5千人、5万人の規模なら、どうなるでしょう。外国人家事労働者の導入にあたっても、労働者の人権を守るために「入れるならば、日本人と同じ労働条件で」という声は聞かれますが、だからといって、家事労働者の導入そのものに対する賛否の議論は避けられているように思えます。「移動の自由」と「労働の自由」を唱える「正義」のために、移民導入には表だって反対しないものの、現行の入管法を維持したまま、小出しに特例をつくっていくような姑息な政府のやりかたに怒りを覚えつつ、結果として沈黙によって追認を与えてしまっている事実を、わたしは苦い思いとともに自覚しています。その点では、移民導入是か非かの議論を避ける多くの人たちも、同じではないでしょうか。

 


 わたしは日本の女性のかかえる問題が、外国人労働者への負担の転嫁を通じて解決されることをよしとしません。日本の女性が手を汚さずにすんでいるのは、たんに利用可能な選択肢がないからだけのことでしょう。これとても、とっくに国外労働力へのアウトソーシングを通じて負担の転嫁は起きているという反論もありうるでしょうが、問題は規模の違いです。「五十歩百歩」という言い方がありますが、「五十歩」と「百歩」は違う、というのが政治的選択というものです。

 

 

 こう言うことは、もちろん、すでに国内に在住している外国人に出て行けということを意味しませんし、日本の難民受け入れが極端に少ないことは是正すべきだと思います。皆様方の熱意あるご活動にもかかわらず、すでに起きている国内の排外主義の動向やヘイトスピーチの現状を見れば、さらなる大量の移民の導入で、事態は悪化することこそあれ、改善することは望み薄というのがわたしの観測です。

 


 ご指摘のとおり、「社会的不公正や抑圧」は「移民の導入」の結果であって、原因ではありません。また「世界的な排外主義の波と移民増加は並行して生じる」というご指摘もそのとおりです。ですが、このうちの一方だけを手に入れることが難しいとしたら、その両方を避けるという選択肢もあってよいのではないでしょうか。

 


 反対にわたしの方からも、みなさま方に「移民一千万人時代」の推進に賛成されるかどうか、お聞きしたいものです。そしてそれが実現したときの効果を、どのように予測なさるかも。わたしたちが外国の人たちにどうぞ日本に安心して移住してください、あなた方の人権はお守りしますから、と言えるかどうかも。みなさま方の理想主義は貴重なものですが、理想と現実を取り違えることはできません。

 


 わたしは移民の大量導入に消極的ですし、その効果についてかつてよりも悲観的になってきました。悲観的になる根拠が増えてきたからです。
 どの社会も移民の導入について一定の条件を課しています。リベラルな移民政策を持つように見えるドイツやカナダも例外ではありません。まったく国境を開放した国民国家はいまのところ、ありません。それは再分配の範囲をどう定義するかという福祉国家の分配政治に関わるからです。そして福祉国家にはつねに潜在的に境界の管理が伴います。人口減少社会で「平等に貧しく」というシナリオは、再分配の強化を示したもので、国内の階層格差の拡大はその条件を掘り崩します。再分配路線に舵を切る、今が最後のチャンスかもしれません。

 

 

 ちなみに後半の憲法改正について「心配していない」というのは、今の段階で仮に憲法改正国民投票が実施されたとしたら、高い蓋然性で「否決」されるだろうという観測からです。ちょうど橋下大阪市長の提案した「大阪都構想」の住民投票が否決されたように。いくらかは現状維持の保守的心性からもあるでしょうが、各種の世論調査がその根拠を示しており、その点からいえば、国民投票の時期が早ければ早いほど否決の可能性は高いと言えるかもしれません。もっとも政権は、解釈改憲でこれだけのことができるのだから、もはや改憲の必要性を感じていないかもしれませんが。

 

 

 前半についてはわたしは悲観的、後半については楽観的な予測をしました。できれば悲観的な予測ははずれてほしいし、楽観的な予測には当たってほしいものですが、いずれにしても、アメリカの大統領選において、ほとんどの良識派ジャーナリズムの予測がはずれたのですから、わたしの予測も当たるかどうかはわかりません。

 

 

 日本の将来をどうするのかを決めるのは、政治という名の人為的な選択です。人口問題と移民政策とは切っても切れない関係にあります。人口減少社会を受け入れるのか、それとも自然減を社会増(移民の大量導入)で補完するのか…この問題をみなさまの公論に処してほしい、というのがわたしの意図したところです。

 


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「ポスト・トルース」というが前から真実は重視されていなかった

 

「ポスト・トルース」について前田さんがもっともなことを述べています。「ポスト・トルース」を批判的に扱うならいいですが、仕方ないもの、どうしようもないと言って、その時流を容認するなんてもってのほかです。トランプや日本のネトウヨレベルの言説にちゃんと対抗するかどうかですが、慰安婦問題でも沖縄問題でも、ひどい言説がまかり通っている。

真実なんて全く尊重されていないこの現状。それを自覚しないで、「ポスト・トルース」とか言うなってことです。

 

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日本は本当に「真実後」なのか?  前田朗
http://maeda-akira.blogspot.jp/2017/02/blog-post_11.html


このところ、「真実後(ポスト・トルース、post-truth)」という用語がさかんにつかわれるようになってきた。アメリカの評論家ラルフ・キーズ(Ralph Keyes)が2004年の著作で用い、2010年頃からアメリカ政治の世界で使われるようになったと言う。それが日本政治にも適用されている。

 

政治の世界では、真実を語ることは必要でなくなった。政治家に真実を求める文化がなくなっている。虚偽を語っても検証されず、批判もされない。たとえ虚偽を語っても、あれこれとごまかしの弁明が通用する。
 アメリカでは、オバマ政権に対しても用いられたが、何と言っても2016年の大統領選挙において、「真実後」現象が爆発した。2017年に入っても、トランプ大統領は平然と嘘を繰り返す。「オルタナティヴ・ファクト」という珍妙な言葉も流行した。

 日本でもこの言葉を用いる政治評論家やジャーナリストが増えてきた。そのすべてを見たわけはなく、一部しか確認していないが、まともな政治学者は用いていないのではないか。その場しのぎの「おみくじ評論家」が用いている印象だ。
2点だけ指摘しておこう。

 

 第1に、定義が不明確である。真実の定義自体、もともと流動的である。政治の世界では、それぞれの「真実」を求めて争う歴史がある。
 第2に、日本政治が「真実後」になったという主張は、同時に、日本政治は「真実」だったという主張を前提としてしまうことになる。


 だが、日本政治がいったいいつ「真実」だったことがあるだろうか。明治維新以来の近現代日本政治は一貫して「真実前」だったのではないか。あるいは、「反真実」、端的に言って「虚偽と隠蔽」だったのではないか。
 そのことも踏まえたうえで、「真実後」という表現をするのでなければ、歴史修正主義に加担することになるだけだろう。



 以下は昨年11月にソウルで開催されたシンポジウムでの私の報告の一節。

罅割れた美しい国――移行期の正義から見た植民地主義(3)
http://maeda-akira.blogspot.jp/2016/11/blog-post_4.html
<しかし、本報告が縷々述べてきたように、東アジアにおける日本における/日本による戦争と植民地支配の歴史、及び今日に至る未清算の現実に向き合うならば、わたしたちが置かれている状況は「真実前の政治(Pre-truth politics)」ではないだろうか。
 「真実前」と見るか、「真実後」と見るかは言葉の綾に過ぎないという理解もありうるかもしれないが、「真実後」であるならば、少なくとも一度、私たちは真実の世界に身を置いたことになる。近現代日本の歴史を虚偽と隠蔽の歴史と一面的に決めつけることは適切ではないかもしれないが、移行期の正義と植民地支配犯罪論を踏まえて検討するならば、私たちは一貫して「真実なき政治」の世界に身を浸してきたと見るべきではないだろうか。「戦争では真実が最初の犠牲者となる」という警句があるが、150年に及ぶ日本の戦争と植民地支配の歴史(未清算の歴史)を通じて、真実はおぼろげにでも姿を現したことがあっただろうか。>


Posted by 前田朗at 10:12 PM

 

右翼幼稚園経営者が今度は右翼小学校 その用地買収問題

 

森友学園(右翼で有名な塚本幼稚園を運営している、籠池園長の団体、この男は日本会議の幹部)が、大阪府豊中市に私立小学校「瑞穂の國記念小學院」の建設を進めてきていた。2017年4月に開校するという。今、その用地買収に絡んで様々な問題が出て来ている。

 

大阪府豊中市内の国有地が近隣国有地の約1割の価格で―――隣地の取引実績から推測して約14億円とみられる国有地(約8770平方メートル)が、森友学園にたった1億3400万円で―――学校法人「森友学園」に小学校用地として売却された。

森友学園側に契約違反があった場合、国が「1億3400万円」で買い戻す特約がついていた。

 

この異常な安さ、値引きについて、財務省は「地下の廃材や生ごみの撤去費用約8億円を控除した」と説明しているのだが、撤去費用が8億円というのはむちゃくちゃな数字だといわれている。

8億円もの撤去費用がかかるほど莫大なゴミが出る土地に学校を建てるのもおかしい。「地下埋設物」が実在するなら、そのことを隠蔽して小学校を開校することもおかしい。周辺土地価格の10分の1にまで地下を下げてしまう「地下埋設物」というのはほんとうに(そんなにたくさん)あるのかも怪しい。でっち上げの可能性がかなりある。少し「地下埋設物」があるだけで撤去費用はとても安いのに8億円に大幅水増ししたのだろうと推察される。

 

超安すぎるのがおかしいが、そもそもこの経営主体森友学園は、極右的な「教育」を行ってきたところで、そういうところが学校を運営していいはずがないというレベルのところである。認可されたこと自体が怪しい。


しかもスピード認可だった。近畿地方審議会で、森友学園の新設小学校の認可申請書が、14年12月18日に継続審議となっていたが、わずか1カ月後の2015年1月27日の臨時審議会で認可適当の答申が出されている少子化の中で生徒確保が可能なのかや、計画通りに寄付が集まるのかなど建設計画そのものに疑問符が付いていたのに。

 

認可するのは誰かというと、大阪府が学校設置認可を出した時のトップは、右翼で維新の松井一郎知事で、当時の文科大臣は下村博文日本会議国会議員懇談会副会長だ。なるほど、右翼の学校設置を右翼の知事と大臣が認可したわけだ。


2017年4月開校に向けて右翼が連携して進めたわけだ。


しかも安倍首相の妻昭恵氏が問題の「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長についている。
怪しすぎる右翼学校の動きだ。

 

何らかの政治的な圧力があって、この右翼団体に不当に安く土地が販売された、学校運営が許可されたとみるべきだろう。


政治的に怪しいから当初、この国有地販売価格も非公表とされた。何が問題かというと、同校の土地は財務省近畿財務局が売却した国有地なので通常は価格を公開するのが原則。にもかかわらず、その売却額が公開されなかったのだ。官僚による犯罪の隠ぺいだ。


こうした疑惑の解明のきっかけをつくったのは、豊中市議の木村真氏。
この小学校設置の動きがおかしいと気付いて、売買契約書類の公開を請求したが、売却額が黒塗りにされていた。公開しない理由は『当該法人の正当な利益を害する恐れがある』という曖昧なものなので、“法人から公開しないでとの希望があった”という。
金額の公開を求めて提訴した結果(朝日新聞が続いた結果)、いまのように隠ぺいされていた犯罪的なことが明るみに出始めている。

 

こうした怪しい右翼のうごきに、安倍首相とその妻の名前が出てきており、少なくとも利用されていた。これまで塚本幼稚園経営者、籠池園長は安倍首相とその妻と懇意にしてきていた。
妻は先ほどのブログ( 塚本幼稚園「韓国人と中国人嫌い」副園長が保護者に手紙渡①②
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2017/02/18/102614
http://hiroponkun.hatenablog.com/entry/2017/02/20/013627

)にも書いたように同園を視察し、そこで講演会までしている。


これまた右翼の宣伝紙に成り下がっている産経新聞(2015年1月の産経ニュース)に、昭恵夫人が塚本幼稚園を訪問した様子が誇らしげに報じられている。

 

全体は、首相と官僚を巻き込んだ大きな事件と言える。

 

2014年時点での募金において「安倍晋三記念小学校」の文言で寄付金を集めていた。振込用紙には「安倍晋三記念小学校」と明確に書かれていた。

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これに対して安倍側が裁判もしないということは知っていて容認したのだろう。そもそも妻が名誉校長についている。安倍晋三記念小学校にする予定だったことは 安倍側も知っていてさすがにそれは断ったのだから、この動きを知らなかったとは言えない。

 

 首相は衆院予算委員会で学校法人との関係をめぐり、「私や妻が(小学校の設置)認可や国有地払い下げについて、(自身の)事務所も含めて一切関わっていないことは明確にしたい」と述べたが、これはいつもながらのヒトラー張りの平気で嘘をつく行為である。


妻が名誉校長についていること、今までこの右翼と安倍夫婦が懇意にしていたこと、安倍晋三幼稚園にしたいと言われていたこと、講演会にも呼ばれていたこと、妻は講演をしてこの右翼の幼稚園を支持して夫にもいいように伝えていたといった諸事実は否定しようがないし、逃げようもない。

 妻が名誉校長についていることについては、首相は「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と説明したが、そうだとしたら、もうこんなとんでもない極右の学校に肩入れしていたことを自ら認めていることになる。妻が名誉校長になる時点でアウトだ。

 

また、同学園が「安倍晋三記念小学校」とい名前でやっていこうとしていたこと、そして「安倍晋三記念小学校」の文言で寄付金を集めていた事実には安倍首相の責任がある。

 

国会答弁で、
私の考え方に非常に共鳴している方から、(2007年に内閣総辞職して)首相を辞めた時に『安倍晋三小学校にしたい』という話があったがお断りした。まだ現役の政治家である以上、私の名前を冠にするのはふさわしくないという話をした」
と言ったことからわかるように、

2007年ごろからこの動きがあり、関係があったのだ。そこがこの10年行ってきたことに無関係だとは言えないし、妻が名誉校長になっている点でもむしろ加担してきたのだ。「私の考え方に非常に共鳴している方」とか言っているし。笑

 

***


森友学園では、籠池泰典氏が総裁という地位らしい。籠池泰典氏は、「日本会議」の大阪代表・運営委員


そしてこの「瑞穂の國記念小學院」自体がおかしい思想で進められている。
「瑞穂の国小学校」のホームページによると、同校は「日本初で唯一の神道の小学校」とし、教育理念に「日本人としての礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる」と掲げている。


なぜ小学校運営なのかという問いに、籠池氏は以下のように答えていた。
 「集合時にだらだらとしていたり、子供が先生と友だちのようにしゃべったりというのが『普通』になっている小学校に、当園を出た子供たちが入っていくと、自分の根っ子に不安を持ち始めるんです。せっかく、当園で身につけたことが潰される…。それで小学校をつくることにしたんです」

 

つまり生徒が先生と友達のように喋ってはいけないらしい。さすが、コーラを飲んではいけないと堂々と言う右翼夫婦の方である。幼稚園運営と同じく、日の丸を掲げ、君が代を斉唱し、皇族が関西に来られると生徒を連れて旗を振らせて奉迎に出向く小学校にするということだ。

 

 

ロイター通信によって〈同園のカリキュラムは戦前の日本を思い起こさせる〉〈3~5歳の幼児に愛国心を育むことを目的としている〉と報じられているほどだ。


塚本幼稚園では昭恵夫人のほか田母神俊雄櫻井よしこ百田尚樹といった右派文化人の講演会を開催してきた。

 

 

どうしてこんなところが認可されるのか。しかも前のブログであったように「中国人韓国人が嫌い」「韓国人はコーラを飲むダメな人」「中国韓国の親は不良保護者」という趣旨のことをいう差別思想の実践者だ。そこに10分の1で土地を売る。首相の妻が名誉校長で、簡単に認可された。


怪しい怪しい怪しい。

 

 

でも事実なんてどうでもいい、「もう一つの事実」で考えれば、何も問題はなあい、ということなのだろう。まさに時流にのってます。

 

木村真議員は、小学校の新設の狙いとして、「体育館を何百人も入れるホールとして使うなど、大阪における日本会議の拠点にしようという狙いもあるのではないか」といっているが、今までの幼稚園の使い方をみれば、さもありなんと思う。

 


さて、日本で、この問題はまたまた隠蔽されるのか、ちゃんとスキャンダル全体・違法行為が暴かれ関係者が処罰されるのか。この学校が開校されないのか。

 

なお、この問題では、日刊ゲンダイ朝日新聞のほかに、植草一秀の『知られざる真実』
「瑞穂の國記念小學院」用地払い下げ問題解明急務
2017年2月13日 (月)
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-b4c9.html
がまとめて記していた。
参照されたい。
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塚本幼稚園「韓国人と中国人嫌い」副園長が保護者に手紙渡すーーその2

 

右翼幼稚園、塚本幼稚園の副園長より元保護者に渡された手紙が差別文書であることについて先にブログで書きましたが、
http://hiroponkun.hatenablog.com/

 

詳しいことがさらにわかってきたのでまとめておきます。国有地払い下げ問題もこの後にすぐまとめます。


赤澤竜也「友学園ヘイト文書配布」2017年 2/18記事を参考に、この問題の追記を書いておきます。


以下の写真が、「韓国人と中国人は嫌いです」という、副園長が、園児の親に渡した毛筆の手紙です。

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元園児の保護者Aさん(元在日韓国人で、現在は日本人の夫と結婚して帰化)が副園長から受けとった手紙は実は2通あった。まず最初の手紙には、

「〇〇ちゃんら(園児の名前)にましてや1歳の子にコーラやファンタを飲ませているとききましたが、それでも親ですか。韓国人とかは、整形したり、そんなものをのんだりしますが、日本人はさせません。根っこが腐ることを幼稚園では教えてません」

 

と書いてあった。もうムチャクチャである。


コーラを飲んでもいいし、整形してもいいし、韓国だけでもないが、それとあわせて、炭酸飲料を飲む=韓国人=だめ、という決めつけをする。日本人ならそういうことをしないという。これだけでも差別文書である。日本人でもコーラ飲むし。

 

余りにひどいので、Aさんは手紙を書いたが、其れに対して副園長から2通目の文書が来た。

 

まずAさんの手紙の一部。
「ここからが本題です。副園長先生のお手紙に『韓国人とかは整形したり、そんなものをのんだりしますが』と書かれていましたが、はい、私自身、韓国人です。両親共に韓国人の元育ってまいりました。この手紙を読んで、私は言葉をうしないました。数分かたまってしまいました。私が中学生の時、韓国人だといじめにあった事を思い出しました。副園長先生、どういうつもりで、このようなことを書いたのか分かりませんが、私もショックをかくしきれず、数名の身内の方、そして主人に手紙の内容を伝えました。みなさん、そろって『差別だ!』と言っています。差別するつもりでかいてないのなら、『韓国の方なら』とかまた違った言い方があるんじゃないですか? 

ましてや『整形』なんて書いてる事じたい差別です。園長先生が差別はしてはいけないとおっしゃってた事を思い出しました。ご夫人の副園長先生が差別しているではないですか。昨夜は色々と考えさせられることがあり眠れない夜になりました。精神的にまいっています。朝、子ども達の顔を見て幼稚園に行く姿を見て涙が出ました。子どもはこんなにも純粋な目をキラキラさせているのに、私たち大人は何をしているのかと……。
今や日本には大勢の私と同じ様な韓国人がたくさんいらっしゃいます。塚本幼稚園にもきっといらっしゃるでしょう。副園長先生たる者が『私にそれでも親ですか?』と言う前にあなたはそれでも大切な園児たちをお預かりする幼稚園の先生ですか。真の指導、真の先生を育てられる前に、今一度ご自身を見つめ直すことが必要なのではないでしょうか?」

 

 

これに対する、副園長からの返事が以下である。

 

「私は差別していません。公平に子どもさんを預かっています。しかしながら心中、韓国人と中国人は嫌いです。お母さんも日本に嫁がれたのなら、日本精神を継承なさるべきです」

 

これが前回ブログで書いた「韓国人と中国人は嫌い」発言である。

 

あきれるほかない。
で、この副園長というのは、園長・籠池泰典の妻である。夫婦そろって極右かつ馬鹿である。バカとはひどい言い方だが、これはまともな保守や右翼の人もあきれるほどの「馬鹿な差別文書」だろうと思う。

 

 

コーラはダメで、ご飯と味噌汁でないとダメといい、教育勅語や五箇条の御誓文を暗唱させるというこの馬鹿さ加減には笑うしかない。

 

 

園長・籠池泰典氏は、「よこしまな考えを持った在日韓国人支那人」と書かれた文章を保護者に配布したために、大阪府から事情を聞かれ、行政処分が行われるかもしれないという状況なのだが、
籠池泰典氏は、 「あれは民族差別なんてもんではありません。ウチの学園を攪乱するために、わざわざ支那の人と韓国の人が侵入してきたんです。4年も前から謀略があったんですよ。その保護者たちと(今回の問題を追及してきた)木村さん(木村真豊中市議)が結託していたんです。ですから、それらの人たちとは現在、裁判所で争っています」 と反論を言ったという。


籠池氏は、インターネット上で同園に対する誹謗・中傷があったとして一時期、声明文を掲載。「投稿者は、巧妙に潜り込んだ韓国・中華人民共和国人等の元不良保護者であることがわかりました」などと書き、後に「K国・C国人」としていた。(後で削除)

 

「韓国・中華人民共和国人等の元不良保護者」という、こういう文章を書く人に、まともな人権感覚や知性を感じるだろうか。

 

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塚本幼稚園「韓国人と中国人嫌い」副園長が保護者に手紙渡す

 

 

右翼で有名な塚本幼稚園が、こんどは副園長が「韓国人と中国人は嫌いです。日本精神を継承するべきです」とかいた手紙を保護者に渡すという差別行動をとった。

共同・日刊スポーツ[2017年2月16日]などによると、30代の女性の子どもが塚本幼稚園に通っていた2016年2月、「韓国人と中国人は嫌いです。日本精神を継承するべきです」と手書きされた副園長からの手紙を母親が受け取った。


この女性は、元々在日コリアンで、今は日本国籍という。ショックを受け、数日後に子どもを退園させた。

 


籠池泰典園長は、共同通信の取材に「園はどの国の人にも門戸を開いているが、日本人になったのなら、日本の文化に沿ってもらわないと困る」と話した。テレビではこの親がおかしな人物といっていた。

 

 

塚本幼稚園は、ホームページで「日本人としての礼節を尊び、愛国心を育てる」とうたい、籠池泰典園長は保護者向け文書などで「日本民族の統一性」を強調。2015年の運動会を撮影した映像では、園児に「日本を悪者にする中国や韓国は心を改めて。安倍(晋三)首相頑張れ」と選手宣誓させていた。年中行事として「海軍慰霊祭」などもしている。制服も水兵チック。

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HPの「園長の部屋」には以下のようなことも書かれていた。

「子供社会と同じ事が国際社会にも言える。中華人民共和国支那)にはまさにドンピシャである。異形の国と言われるが変な国なのだ。この国がなければ世界はまさにルールに基づいて動く。全てが民主的にルールに乗っ取って動く世界に駄々をこねて世界平和を乱す元凶は中華人民共和国支那)なのだ。・・・中華人民共和国は建国以来国家育成基礎的段階で大きな間違いをしでかした(共産主義を基盤とした国家…個人のことはどうでもよい集団最優先)だが、そのような揺籃期の権力闘争を経験し、素直な育ち方ができなかったがゆえに暴力装置(軍隊)を強大化し、近隣諸国に圧力と迷惑をかけ、領海領土まで侵犯し、実力行使をする。そして諸外国から外交的に抗議警告を受けるとサッと引き、また再び侵犯。お人よしで放っておくとフィリピンの南沙諸島のように実行支配される。…とすると、こちらが心に勇気をもって対応することだ。かの国がない方が世界平和につながるので、4つ位の国に分裂させるか、なくしてしまうことだ。」


塚本幼稚園は、「教育勅語」や「五箇条の御誓文」の朗唱をさせるとか、伊勢神宮への参拝・宿泊とか、兎に角、極右的なことを平気でやっているところ。 籠池泰典園長は「子供に学んでほしいことは何か、とつきつめたとき、その答えが明治天皇が国民に語りかけられた教育勅語にあったからです」と答えている。こういうところを放置している日本の政府がおかしい。八木秀次櫻井よしこ竹田恒泰といった右翼有名人を呼んで講演会もしている。

 

 

その塚本幼稚園の籠池泰典園長が、小学校運営に乗り出して不当な土地買収をしたためいま問題になっているが、それは次のブログでまとめる。

 

 

なお、こんなあやしい幼稚園に首相の妻昭恵氏がいったために宣伝に利用されている。首相夫婦にも責任がある。
 昭恵夫人は、同園の視察と教職員研修のため訪れたとき、鼓笛隊の規律正しいふるまいに感動の声を上げ、籠池園長が「安倍首相ってどんな人ですか?」いうと園児らが「日本を守ってくれる人」と答えた。それをみて昭恵氏は 「ありがとう。(安倍首相に)ちゃんと伝えます」といったという。愚かにもほどがある。2014年12月6日には 安倍昭恵首相夫人講演会「ファーストレディとして思うこと」という講演もしている。異常である。

 


で、産経新聞(産経WEST2015/01/08)はこうしたことを喜々として記事にしてこの幼稚園の宣伝に加担している。その表題が「【関西の議論】安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える“愛国”幼稚園 「卒園後、子供たちが潰される」と小学校も運営へ」
いやー、安倍夫婦も今や困っているでしょうに。

 

 

安倍首相も2012年に(安倍が自民党総裁選に立候補したあと)、こんなあやしい幼稚園に行く予定をしていた。
「9月16日 安倍晋三先生 来る 尖閣諸島竹島北方領土(樺太の半分・千島列島・歯舞・色丹・択捉・国後)は日本固有の領土です。日本人および日本国は矜持を持って堂々と対峙せねばなりません。しっかりとした歴史観・国家感を持ち、それに裏打ちされた方向性と実行力を持ったリーダーに委ねたい。その最も有力な人物こそ、第90代内閣総理大臣 安倍晋三先生です。」といて安倍が来ることを宣伝していた。これは実際には自由民主党総裁選出馬による地方遊説などで忙しくなって中止になったが。

AVも労働問題。 モデル勧誘 性的行為の要求被害 4人に1人


 AV関係の情報。危険に対処する力、被害に遭った時に対処する力、相談する力を養成することが大事です。宮本さんのインタビューも、下で紹介しておきます。


その中でインタビュアーの中村さんが最後に書いている、これは労働問題として対処しないといけないというのは大事な視点です。


ワタミ電通などが代表する様々な企業が労働環境の改善を迫られたことと同じく、AV業界も末端で働くAV女優たちの環境改善を強く迫られている。黙っていても絶対に終わらない。AV産業を継続するならば、一刻も早い改善、対応は必須である。

 

****
モデルやアイドルの勧誘を受けるなどして契約した女性の4人に1人、27%が契約時に聞いていない性的な行為の写真や動画の撮影を求められた経験があることが、内閣府の調査(15歳から39歳の女性2万人を対象に実施)で出た。
去年12月、モデルやアイドルの勧誘を受けたり、募集広告をみて応募したりした経験のある15歳から39歳までの女性2575人を対象に行ったもので、実際に契約したのは197人で、このうち53人が契約時に聞いていない、または同意していない性的な行為の写真や動画の撮影を求められた経験があると回答。


 内容としては最も多かったのは「水着や下着姿での撮影やチャットの出演」で、次いで「衣服を一部または全て脱いだ状態での撮影、チャット」だった。3割あまりの17人の性が「求められた行為を行った」という。年齢は10代が最多。


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AV問題でみやもと せつこさんが、AVルポライターの中村淳彦氏のインタビューを受けました。
http://www.gentosha.jp/articles/-/7203
http://www.gentosha.jp/articles/-/7205


その一部を抜粋して紹介しておきます。全部は上記HPで。


次々と逮捕されるAV関係者
 2016年6月、アダルトビデオ撮影に派遣したとして、AVプロダクション・マークスジャパンの元社長ら3人が逮捕、労働者派遣法違反で起訴された。
 2016年7月、神奈川県内にあるキャンプ場でアダルトビデオの撮影を行ったとして女優、カメラマン、プロダクション関係者など52人が公然わいせつの疑いで書類送検。キャンプ場は貸し切り、公然わいせつには該当しないという声もある中での摘発で、結局全員が不起訴となる。


 2017年1月、カリビアンコムに無修正動画を提供したわいせつ電磁的記録等送信頒布の疑いで、AV制作会社ピエロの社長ら6人が逮捕。社長のみが起訴され、他5人は処分保留で釈放される。
 これらはすべて2016年3月、「国際人権NGOヒューマンライツナウ(HRN)」の「ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、女性・少女に対する人権侵害調査報告書」と題された報告書が発表され、“AV強要問題”が社会問題化してから起きたことだ。
 HRNがアダルトビデオの問題を大々的に訴えた大きなキッカケは、あるプロダクションが2015年に、当時20歳だった現役女子大生に対して出演を強要した事件だ。プロダクションはAV出演を拒絶する女子大生に対し、2460万円の損害賠償を求め提訴した。裁判所はプロダクション側の要求を退けて事件は収束したが、これが、AV出演の契約書が無効である判例となり、“AV強要問題”が社会問題化したのだ。


 2016年12月、HRNと協力してAV強要問題に取り組む「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」のフリー・ソーシャルワーカー・宮本節子氏が『AV出演を強要された彼女たち』(ちくま新書)を上梓する。
 著書には様々なケースがルポされているが、騙された形でスカウトされて契約してAV出演を余儀なくされたり、契約不履行で違約金を要求されたり、AV出演して後の人生が狂う女性たちの痛々しく、生々しい現実が描かれていた。

 

 ***
この歴史的背景を考えるとき、売防法の理念が制定後一度も見直されていないのは驚くべきことです。邪推ですけど、女の問題はどうでもいいし、特に女が性を売る問題はどうでもいいってことかなと思ってしまいます。ご覧になればわかる通り、女性差別のとんでもない時代遅れの法律。戦前の性を売る女を卑しめる風潮がそのまま法律に反映されていて、それが今でも続いているのです。


――AV業界では、婦人保護施設職員を中心とした団体を総じて“女性団体”“フェミニスト団体”などと呼んでいます。AVやポルノに対する反対や抗議は、これまでもたまに起こっていましたが、婦人保護施設の職員たちが中心になっていることはあまり知られていません。


宮本 この20年ほどの間に、職員たちに「売春防止法を内部から変えていかないと」という考えが生まれました。職員たちの話し合いが始まり、私は、その中に外部委員みたいな立場で招かれました。利用者さんたちの状況をみると、1956年に法律ができたとき以上に、女性の性の商品化は進んでいます。その現状を職員たちは目の当たりにしているわけです。そこには売春だけではなく、ポルノグラフィなどに関連した問題がついてきます。それに巻き込まれた女性たちが、ボロボロになって婦人保護施設にたどり着く現状があるわけです。


――性の商品化に巻き込まれた女性たちの悲惨な人生が、婦人保護施設に集積されているわけですね。それが長年続く、性の商品化と女性団体の対立の背景にあると。
宮本 たどり着いてくる女性たちの状況を改善していくためには、売春防止法の理念とか制度の枠組みを根本的に変えなくてはなりません。そうしないと自分たちの目の前にいるボロボロの女性たちは、社会的に生活再建をすることができないのではないかという、そういう発想です。



宮本 先ほども申しましたように、職員たちは国に無視されて取り残された売春防止法に疑問を抱いていました。売春防止法がどういう理念で、どういう骨格になっているか勉強を始めたわけです。その過程で、たまたまバクシーシ山下氏が出版した『ひとはみな、ハダカになる。(よりみちパン!セ)』(理論社、2007)を見てしまった。


山下氏は青少年向けにアダルトビデオの啓発書みたいなものをお書きになって、その存在を知った職員たちが、まあ猛烈に怒ったわけです。ポルノをあたかも女性の職業として、良いものであるかの如く、知らしめるような青少年向けの啓発書はいかがなものかと。そして、理論社に対して実際に抗議活動を始めました。
――理論社は児童書の老舗出版社です。アダルトビデオ関連の本を子供に向けて販売したことが問題となったわけですね。


宮本 抗議に関しては婦人保護施設や女性団体だけではなく、性暴力被害を受ける人たちが集積する場所、つまり、児童養護施設とか、軽度の知的障がい者施設、母子生活支援施設などに狙いを定めて、全国的にビラを撒きました。すると、各団体からは当然抗議するべきという声があがりましたし、児童養護施設、知的障がい者施設の職員からの反響もすごかった。自分のところにはこういう被害を受けた人がいるという手紙も届きました。アダルトビデオが女性を性商品化することでいかに女の子たちが巻き込まれているか、とか。

 


 ――バクシーシ山下氏の著書の内容ではなく、バクシーシ山下氏の著書を児童書の出版社が子供に向けたことを問題視したわけですね。
宮本 もちろん山下氏には、表現の自由がありますから。その抗議活動をキッカケにせっかくこうやって動いたのだから、もう少し形あるものにしていこうというのがPAPSの始まりになります。PAPSができたのは2009年で、そういう経緯です。映像作品を見ないまま抗議はできないので、山下氏の代表作は見ましたよ。

 


――おそらく有名な「女犯」でしょうか。90年代前半に話題になった18禁の映像作品です。90年代前半にも「女犯」に対して女性団体による抗議活動がありました。
宮本 女性を徹底的に侮蔑し、侮辱して痛めつける。そして、さらし者にする。そういう文脈自体にウンザリしました。他の映像作品の中に女性を侮蔑したり、侮辱したりする場面はあるけれども、コンテクストそのものはそれが目的ではない。ですが山下氏の映像作品は、女性を侮蔑し、さらし者にすることがコンテクスト。女の性的身体をおもちゃにここまでできる、ここまでできる、という内容に怒りを覚えました。出演している女性が納得しているのか、納得していないのか知らないですけれども、本物とか演出とかに関係なく、作品の内容に引いてしまったわけです。

 


――施設職員たちは児童出版社の出版物からはじまって、バクシーシ山下氏の「女犯」を知り、アダルトビデオに注目して社会問題化しようという流れになっていったのですね。
宮本 仮に演出としても医療でいうインフォームドコンセント(詳しく説明を受けたうえでの同意)、事細かく、ワンシーンごとに、こういう風にあなたはする、とすべて説明されたら、ほとんどの女性は出演を受けないのではないでしょうか。

 

早急に求められる業界の改善
 宮本氏の『AV出演を強要された彼女たち』には、PAPSが相談援助したAV強要された女性たちの生の声が描かれる。タレントになれる、高収入が得られるなどの勧誘に乗って、内容を理解しないまま契約書にサインしてアダルトビデオ制作のプロセスに組み込まれる女性たち。その後は引き返すことができず、悩み混乱してPAPSに駆け込んでいる。
 相談件数は2012年1件、2013年1件、2014年29件、2015年83件、2016年8月末まで104件と、2015年を境に飛躍的に増える。2015年のプロダクションによる2460万円の損害賠償請求事件が社会に可視化されたことが大きい。AV業界は自らで地雷を踏んでしまったことになる。

 


 相談内容は一人の中で重複しているが、“AV回収・販売停止・削除”が77件と最も多く、“騙されて出演”70件、“意に反した販売”55件、“AVを辞めたい”35件、“違約金問題”33件、“出演強要”22件と続く。アダルトビデオは年間数万本が発売される。AV業界からは極めて少数の悪徳な一部にしか過ぎないという声もあるが、私個人は数の多さに驚いた。早急な労働環境の改善が必要な十分に大きな人数といえる。

 


(AV女優のセックス映像は永久に残り続けていいのか

 


 ネットが一般化する90年代以前のAV業界は、騙したり脅したりして出演させる「出演強要」は、間違いなく常態化していた。当時、AV女優は極めて不人気で供給が足りなかったことが理由だ。被害にあう女性があまりに多すぎ、騙されて出演することは半ば公然となっていた。
 2000年前後から自ら出演したいと応募してくる女性がポツリポツリと現れはじめ、アダルトメディアの需要減少と一般社会の雇用崩壊なども重なって、2004年あたりを境に需要と供給が逆転する。AV女優は誰でもなれる職業ではなくなり、スタート地点に立つまでに競争が起こるようになったのだ。その中で騙したり脅したりする出演強要は実際に劇的に減った。


 この10年間は、自分の意志に反して出演するAV女優は、AV業界で普通に仕事をしている限りほとんど見ない。自然現象的に起こったAV業界の健全化は10年以上かかわる関係者の間では共通認識になっており、ほぼ全員に似たような肌感覚はあるはずだ。
 しかし、宮本氏の著書『AV出演を強要された彼女たち』(ちくま新書)には強引なスカウトや契約書管理、脅しや違約金の請求の実態が面々と記される。2016年3月のHRNの報告書発表以降、出演強要は社会問題になり、AV女優当事者による告発も続いた。
かつてのような出演強要の悪習は、現在でも主に単体女優の世界で残っていたことになる。上位5パーセントのAV女優トップ層に対して、男性視聴者やAVメーカーの要求水準は高く、応募でその水準の女性を見つけるのは至難の業だ。そこで強引な人材獲得、契約書で拘束する契約書管理は継続されていたことになる。

 


宮本 今日に至るテクノロジーの進化に、人間としての哲学が追いついていないことが問題なのです。要するに十代や二十代のまだまだ未熟な女の子たちは、出演する前段階ではそういう状態になることを想像していない。現実を見て本当にパニックになって、私たちのところに飛び込んでくる。


――なるほど。相談内容は“AV回収・販売停止・削除”が最も多い。商品の回収は、当然AVメーカーは拒絶する。映像が残ることに混乱するケースでは、どういう支援をされるのでしょうか。


宮本 回収できるものは回収、停止できるものは停止を求める。未成年の場合、メーカーは応じることが多い。弁護士を通じて契約破棄、商品は回収、販売停止にしてくださいって申し入れをします。未成年でない場合はその出演に至ってプロセスを丁寧に聞き取り、申し入れできる、できないを判断します。


――前向きに出演して、契約に瑕疵がなければ申し入れはできないということでしょうか。
宮本 それぞれ。そもそも本当に納得して出演しているのであれば私たちのところには飛び込んではこないでしょう。出演するプロセス、納得できなくなったプロセスは異なります。粘り強く200人200通りの方法を考えます。回収に応じないメーカーさんは、もちろんいます。今でもずっとこじれている案件もある。現段階では裁判に持ち込んだケースはないけど、裁判に持ち込む女性が出てくるのは時間の問題でしょうね。

 

宮本 そう単純化していいのかわかりません。自分の最もプライベートな性的行為の映像の扱いについて、現時点では本人は嫌だと言っていることが重要なポイントです。作品というものは本来消えないものです。しかし、自分の性が丸出しにされた重要なプライバシーが、未来永劫、流されていいのかどうか。それについて社会の体制が追いついていない現状があります。さらに女の子たちは、そのリスクを全然わからないまま出演してしまっている。

 


――出演したことを後に後悔した女の子は、ひどいケースでどのような状態なのでしょうか。
宮本 気の毒ですよ。本当に気の毒。状況はそれぞれですが、たとえば外出できない。道を歩いて、あなた〇〇さんだよね、って出演名で声をかけられたことでパニックになって、何年間も家からこわくて外に出ることができないとか。自尊感情が破壊された、人と会話ができない、仕事ができないとか。精神科に通院している方たちもいます。通常の社会生活が送れない女性がいます。また好きな人ができても近づけなくなるという例もあります。

 


業界関係者は状況を把握できていない
 PAPSやHRNによってAV出演強要が社会問題化してからAV業界は混乱している。逮捕摘発も続き、戦々恐々としている。業界上層部は嵐が過ぎ去るのを待つか、防戦の一方で、業界大手のアダルトメーカーであるCAは、親会社のDMMに売却されてしまった。AV業界側から被害にあった女性たちへの対応がほとんど聞こえぬまま、現状維持で撮影や販売は継続されている。


――AV業界は改善以前に、なにが起こっているのか把握できていないと思います。メーカーはかなり気を使って撮影、プロダクションは詳細の説明をしてから女優たちを斡旋しているようですが、基本的には現状維持の状態です。
宮本 2016年6月にCAに家宅捜索が入り、AVプロダクション・マークスジャパンの幹部が逮捕された事件を受けて、業界団体の知的財産振興協会が今までの反省と、これから改善する声明を出しましたね。海賊版を潰している団体ですよね。クリーン化をどうはかられるのか、様子を見るしかありません。


――マークスジャパンは労働派遣法違反で起訴された。AV撮影は有害業務ということで、プロダクションによるアダルトビデオ撮影現場への人材斡旋はすべて違法ということになってしまいました。
宮本 労働者派遣法を持ちだされたのは驚いたと思います。そもそも一連の強要問題が可視化されたキッカケは、プロダクションが女性に2460万円の損害賠償を求めた事件です。契約はあるけれども、契約の内容は労働者派遣法に違反する。契約を締結しているかどうかが問題ではなく、根本的な契約内容が労働者派遣法に違反するという法論理です。原告のプロダクション側が訴えを棄却して上告しなかったので、これが判例になりました。簡単にいえば、有害業務のために締結された契約は無効ということ。性行為を行うことを知って女性を派遣することは、公序良俗に反する。そういう判断です。だから違約金で悩むことはないと女性たちにはもちろん伝えていますよ。

 


――AV業界側で声をあげているのは、元女優の川奈まり子さんが社会問題化以降に設立した一般社団法人表現者ネットワーク(AVAN)だけです。主要な方々は、沈黙を貫いている。今、AV業界が怖がっているのは、なにが起こっているのかわからないし、産業が潰されちゃうのではないかということです。
宮本 私もAV業界がどうなるかはわかりません。ただ被害にあった女性を徹底的に支援する、それだけしか言えない。そして、社会全体でアダルトビデオとはどういう存在なのかを考えていかなければならない。結論的には、そこに行くはずです。男性と女性の非対称性が極端に組み込まれているアダルトビデオは、その構造があって初めて成立するビジネス。その構造が変化すれば、また違う形になるでしょう。

 


――現状のアダルトビデオは、どうしても出演女性は使い捨てという構造になっている。AV女優は情報を遮断されているし、本人が希望しても長く続けることができない。技術やキャリアを需要が認めない部分もあります。
宮本 その使い捨てられた一部の女性たちが婦人保護施設に流れてくる。だから職員たちが怒る。本当に社会の男女の非対称性が象徴的にでている。本来はもっと早く社会問題化していかなければなららなかったと思います。なのに、それを知る人たちが誰も今まで発言しなかった。あなたも、そうですよね? だから私みたいななにも知らない人間が、怖いもの知らずで発言をしたわけです。

 

 

――AV業界には労働組合もないし、基本的に銀行との付き合いもありません。要するに必要悪として社会の片隅にいた存在です。労働問題として誠意ある対応は欲しかったけど、今のところ何もない。沈黙を貫いているばかりです。
宮本 買うほうに関しては、今までまったく対策がたてられていなかった。視野にも入っていなかった。売春防止法にも書かれていない。買うほうをどうするのかとは、これからキチンと論議しなくてはいけない。今の日本の社会制度は、買ってもいいけど売ってはいけないという考え方。少なくても買ってはいけないけど、売ってもいいという制度に転換しなければなりません。

 


――おー。女性たちは売ってもいい、ですか。買うほうを罰すれば、犯罪者だらけになるかも。
宮本 だって、売らなくては食べていけない人たちがたくさんいるのですよ。ものすごい論理矛盾だということは承知しています。私の口からそういうのは、舌から血が出るような話だけれども。でも、そういう現実はある。今まで買ってはいけないけど、売ってもいいよって話は歴史的にも出ていません。
――AV業界は深刻な需要減に悩んでいますが、売春という大きな枠では買う需要はとてつもなく大きい。女性たちへの再分配でもあるし、女性の貧困の大きなセーフティネットになっているのは紛れもない事実です。


宮本 セーフティネット”と言ってしまっていいのでしょうか?疫学的な調査がないから分かりませんが、10年後、20年後の女性の人生を考えるとき、この“セーフティネット”は、女性も社会も豊かに安定させているでしょうか?また、今はトランジットの時期。買っちゃいけないけど、売ってもいいというトランジットの時期がないと混乱するでしょう。いきなりということには、なりにくい。

 

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 AV強要問題は、一つのプロダクションが出演拒否した女性を追い詰めるために本当に提訴したことから可視化が始まった。それから末端で働くAV女優や元AV女優たちが、支援団体に頼る方法を知り、現在進行形で続々と問題が明るみになっている。女性団体にはそれぞれの理念や思惑があるかもしれないが、存在としては労働組合に近い。AV業界だけではなく、あらゆる産業で末端の労働者に対する違法や理不尽な労働は糾弾されている。AV強要問題は2012年あたりから噴出した一連のブラック企業問題の地続きにあるといえる。
ワタミ電通などが代表する様々な企業が労働環境の改善を迫られたことと同じく、AV業界も末端で働くAV女優たちの環境改善を強く迫られている。黙っていても絶対に終わらない。AV産業を継続するならば、一刻も早い改善、対応は必須である。


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「相棒」で、DV,日本会議の様な右翼組織 批判

 

教えてもらい、後半をみました。
相棒15-第13話、第14話「声なき者」
放送:2017年2月8日 

 

右京(水谷豊)と亘(反町隆史)が遭遇した謎の立てこもり事件。

立てこもっている司の父・誠(永野典勝)は法務省矯正局のホープだが、家族に暴力をふるって、妻や子供たちと別居中であることが判明。さらに、誠が女性蔑視の思想を持つ団体の会員であることも分かる。その団体には、省庁の重役も多く、警察庁長官官房総務課長の山崎(菅原大吉)も名を連ねていた。司は、誠から逃げるためにシェルターに身を寄せていた母と妹を通じて、同じくDVから逃れようとしていた聡美と知り合ったのではないか?
立てこもり事件を起こした高校生の本当の目的とは!?右京と亘は真実を解明し、巨悪の陰謀を阻止できるのか?

 

テロ等準備罪という名の共謀罪

 

自分独自の味付けをした豚骨ラーメンに対して、ラーメンではなく、チャイメンだといわれても、まあ名前はともかく、これ豚骨ラーメンの一種やん、というはなし。


人がコントロールされて心から政権を愛するようになっていく『1984』『動物農場』『真昼の暗黒』の世界にあこがれる人たち。

今でも不当逮捕がある中で、今後、目障りなものを排除する武器を準備するもの。法律の多くは主流秩序の一部であり、成立したから正しいもの、法は法、守らねばならないというものではない。選挙で選ばれたリーダーが正しいわけではないように。

 

 

大阪弁護士会  テロ等準備罪の国会提出に反対する会長声明


・テロ等準備罪の国会提出に反対する会長声明
 当会は、先に共謀罪新法案の国会提出に反対する会長声明を発しているが、現在の国会での議論状況を踏まえ、過去に3回も廃案になった共謀罪と何ら変わらないテロ等準備罪を国会に提出することに改めて反対する。
 安倍首相は、テロ等準備罪について、本年1月23日の国会答弁において、「共謀罪と呼ぶのは間違い」と述べ、その創設に強い意欲を示した。しかしながら、報道されている法案では、共謀段階で犯罪成立という基本的枠組みが全く変わっていない以上、このような首相説明はとうてい理解できないものである。

 


 また、現在議論されているテロ等準備罪については、以下のような問題点が指摘できる。
 第1に、政府はテロ対策の必要のためにテロ等準備罪が必要と説明している。しかしながら、既に日本国内においては、充分にテロ対策はなされている。

 


 すなわち、日本は、政府も認めるように、テロ防止関連諸条約13本を批准し、これに対応する立法が既になされている。また、国内法においては、爆発物取締罰則(陰謀罪)、化学兵器サリン、航空機の強取、銃砲刀剣類所持等取締法など、未遂以前の共謀や予備の段階からの処罰が可能となっており、しかも、これらについて講学上の共謀共同正犯も認められる以上、テロ対策のために新たにテロ等準備罪を設ける必要はない。

 


 この点、政府は、テロ組織によるハイジャック目的での航空券予約について、処罰の必要があるものの現行法では処罰できないと今国会で説明していた。しかし、航空機の強取等の処罰に関する法律に係る法律書では、ハイジャック目的での航空券購入を購入時点で予備罪として処罰できると解説されており、政府見解は破綻した。

 


 また、政府は、テロ組織による大量殺人目的での化学薬品原料の入手についても現行法では処罰できないとも説明しているが、国会では、サリン等にあたらないが殺傷能力の高い薬品名を具体的に明らかにすることができず、また、仮にそのような薬品があったとしても、サリン等による人身被害の防止に関する法律の改正等で対応できるのであるから、ここにおいてもテロ等準備罪を必要とする政府見解は破綻した。

 


 このように、テロ等準備罪については、そもそも、その創設の必要性(立法事実)すら明らかにし得ていないのである。
 第2に、政府は、テロ等準備罪は、「組織的犯罪集団」という要件を加えるので、処罰対象は限定されると説明している。

 


 しかしながら、政府は、「観念的には、もちろんこれから団体を作って,その活動として実行チームを編成して行っていくということの共謀もあり得るだろうとは思います。」と、「組織的犯罪集団」が既存の集団に限られないとしており、また、既存の集団の活動が一変した場合にも「組織的犯罪集団」となると説明している。そして、同旨の最高裁判例もある以上、「組織的犯罪集団」の概念、要件は全く不明確というよりほかない。そうすると、結局は、取り締まる側の恣意的な運用を禁じることができないのであって、「組織的犯罪集団」との要件は、何の限定にもなっていないのである。

 


 なお、政府は、テロ等準備罪の対象となる犯罪を絞り込むとの見解を明らかにしているが、従前、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を批准するために犯罪数を絞り込むことはできないと説明していたのであり、現在の見解は過去の説明と矛盾するもので、とうてい理解できないものである。
 第3に、政府は、テロ等準備罪は共謀罪と異なるもので、共謀段階ではなく、準備行為があってはじめて処罰されると説明している

 


 しかし、政府は、国会答弁において、準備行為が構成要件であるのか、あるいは処罰条件であるのか明言を避けた。
 このことからすれば、テロ等準備罪が共謀罪と全く異なるとの説明自体、とうてい信用できない。

 


 また、政府は、テロ等準備罪の具体的な内容を未だ明らかにしてない。法律の成立を目指すとしながら、肝心な法律の内容を全く示さない態度は極めて不誠実であるばかりか、テロ等準備罪が従前の共謀罪と何ら変わらないことが明らかになるのを避けるために、あえて内容を示さないとの疑念すら抱かざるを得ない。

 


 この間、政府は、テロ等準備罪について、「一般の方々がその対象になることはあり得ない」ことを強調している。しかし、かつての治安維持法も、「社会運動が法案のため抑圧されることはない」として成立したにもかかわらず、その後、結果的に多くの者が処罰されるに至ったのである。

 


 以上の次第で、当会は、創設の必要性すら十分に説明できない、また、拡大適用のおそれがあり、過去3回も廃案になった共謀罪と何ら変わらないテロ等準備罪の国会提出には、強く反対するものである。

 


2017年(平成29年)2月13日
  大阪弁護士会      
  会長 山 口 健 一

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