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小山田圭吾氏問題

小山田圭吾氏問題において、差別・いじめ・ヘイトに甘く鈍感な日本政府・政治家たちの姿勢は、オリンピックがいう「平和の祭典、多様性・人権」がいかに建前だけのイベントかをまた示してしまった!

 

 

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会が7月14日に発表した五輪開閉会式(国立競技場)の制作メンバーに、作曲家として名を連ねた小山田圭吾氏(52)の過去発言が問題となったが、オリンピック開催側は問題としないままとしており、オリンピック・パラリンピックの理念と矛盾していることが明らかになった。

 

障がい者をいじめていた学生時代を、邦楽誌「ロッキング・オン・ジャパン」(ロッキング・オン)の1994年1月号やサブカル誌「クイック・ジャパン」(太田出版)1995年8月号の「いじめ紀行」で「話して」いた。障がい者などにひどいいじめ・虐待をしたことや朝鮮人差別発言していたことなどを本当に反省している様子はなく、悪びれることなく笑って話しており、その後も自分の恥ずべき人権侵害言動を反省した態度をとらないまま現在(7月19日)に至っている。

27年間、反省の行動や活動をまったくしないままであったが、今回問題となって初めて、小山田氏はコーネリアス名義のツイッターで過去のいじめ告白について型通りの「謝罪」を出したが、オリンピックの仕事を辞退することなく居座り続けている。〈注:後掲の「追記」参照〉

 

東京2020大会のコンセプトの1つは「多様性と調和」であるが、こうした人物をオリ・パラに起用し続けるすることは、理念の「平和、多様性、人権尊重」と矛盾する。

問題が分かっても、組織委(東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会高谷正哲スポークスパーソン)は、「貢献は大きなもの」だとして小山田圭吾氏を留任させるとした。組織委員会武藤敏郎事務総長は17日の会見で「小山田さんが謝罪されたのを、わたくしどもも理解しました。彼は現時点で十分に謝罪し、反省をしている。我々は当初、そういうことを知らなかったのは事実だが、小山田さんに引き続き、貢献していただきたいと考えています」とした。

 

事前に調べもせず、分かった後も辞任もさせない点で日本政府・オリンピック開催関係者の人権感覚は国際的に認められない低レベルであることが露呈してしまった。パラリンピックもある中で、障がい者などへのいじめの問題を重大な問題と考えていく姿勢をみせるべき時に、真逆の対応をとってしまうという愚かさ。

米国内で五輪放送権を持つNBCは「このような差別的で暴力的な行為をした人物が五輪やパラリンピックに関わる資格はあるのか」と批判するツイッターの投稿を紹介。小山田さんは謝罪したが、ネット上では「許されているとは言いがたい状況だ」と報道している。

 

小山田の差別言動 (1995年8月号の「クイック・ジャパン」、邦楽誌「ロッキング・オン・ジャパン」(ロッキング・オン)1994年1月号より)

掲載当時、小山田氏は26歳。分別のつく成人が、ダウン症の生徒が通う特別支援学校を笑い話にしたり、本人いわく「朝鮮人」という男子へのいじめを悪びれず「告白」している。

◆(障がい者のAさんに対して)「みんなで脱がしてさ。(局部を)出すことなんて(Aさんにとって)別に何でもないことだからさ」「障害がある人とかって図書室にたまる」「きっと逃げ場所なんだけど」と認識しながら「みんなで見に行こう」と行動していたこと、体育倉庫で「マットレス巻きにして殺しちゃった事件とかあったじゃないですか、そんなことやってたし、跳び箱の中に入れたり」

◆「ちゃんとビニールのひもを(ティッシュの)箱に付けて、『首に掛けとけよ』とAの名を箱に書いておきましたよ(笑)」

◆「マットの上からジャンピング・ニーパットやったりとかさー。あれはヤバいよね、きっとね(笑)」

◆「掃除ロッカーの中に入れて、ふたを下にして倒すと出られないんですよ。すぐ泣いてうるさいから、みんなでロッカーをガンガン蹴飛ばした」

◆ガムをたくさん持って来たBさんに「羽振りがいい時期があって。そんで付いて行って、いろんなもん買わせたりして」

◆修学旅行で同じ班だったBさんに「みんなでプロレス技かけちゃって。それは別にいじめてる感じじゃなかったけど。ま、いじめてるんだけど(笑)」

◆「僕っていじめてる方なのかなあ?自分じゃ分かんないっていうか。全然こう悪びれずに話しちゃったりするもんね」

◆学生時代に近くの特別支援学校の生徒がマラソンをしていたことを回想し「ダウン症の人が来るんだけど、ダウン症の人ってみんな同じ顔じゃないですか?「あれ?さっきあの人通ったけ?」なんて言ってさ(笑)」

◆「(転校生が)初日の授業で発表の時に『はい』って手を挙げたんだけど、(挙げ方で)教室中が大爆笑になって、それでからかわれ始めた。でもそれは朝鮮学校の手の挙げ方だったのね」

Aさんとの高校卒業式での会話。進路を聞き「ボランティアをやりたい」と答えたAさんに対し、小山田氏は「おまえ、ボランティアされる側だろ」といった。

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学生時代に、いじめに加担していたことを認めた上で「全裸にしてグルグルにひもを巻いてオナニーさしてさ。ウンコを喰わしたりさ。喰わした上にバックドロップしたりさ」「だけど僕が直接やるわけじゃないんだよ、僕はアイデアを提供するだけ(笑)」

 

 

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東京オリンピック開閉会式の音楽制作を手掛ける小山田圭吾氏が、94年に「いじめ告白」をした音楽誌「ロッキング・オン・ジャパン」の山崎洋一郎編集長は、2021年7月18日、同誌の公式サイト内のブログで謝罪した。

山崎氏は「その時のインタビュアーは私であり、編集長も担当しておりました」と告白。「インタビュアーとしての姿勢、それを掲載した編集長としての判断、そのすべては、いじめという問題に対しての倫理観や真摯さに欠ける間違った行為であると思います」と反省した。

さらに「27年前の記事ですが、それはいつまでも読み続けられるものであり、掲載責任者としての責任は、これからも問われ続け、それを引き受け続けなければならないものと考えています」とした上で「傷つけてしまった被害者の方及びご家族の皆様、記事を目にされて不快な思いをされた方々に深くおわび申し上げます」と謝罪した。

 

なお、27年前だから仕方なかったというニュアンスが上記の言い訳には見られるが、50年ほど前の1970年代には日本でも「青い芝」などによる障がい者運動の大きな質的転換が起こっており、1994年段階にこんな発言をすることは全く時代のせいにはできないことを付記しておこう。

 

追記《7月19日23時》

上記のように7月19日の昼の段階でまとめていたところ、7月19日の夜(毎日新聞、19:11、最終更新 7/19 22:45)、以下のように小山田氏が辞任したという報道がなされた。

東京オリンピックパラリンピック組織委員会は19日、4日後に迫る五輪の開会式で楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾氏(52)の辞任を発表した。同級生をいじめていたとする過去のインタビューなど一連の騒動を受けて小山田氏から辞任の申し出があった。組織委は小山田氏に続投を求めていたが、批判の高まりを受けて一転、「誤った判断」として受け入れた。 小山田氏はツイッターで「私がご依頼をお受けしたことは、様々な方への配慮に欠けていたと痛感しております。組織委員会の皆様へ辞任の申し出をさせて頂きました」とつづった。」

 

つまり小山田氏から申し出があって事態が動いたということであって、組織委員会側から解任や辞退させたわけではないということである。

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2020年に延期になる前に、NHK番組でリオ・オリンピックを振り返って示していた「オリンピック開催の5つのメリット」

1:国威発揚、2:国際的存在感、3:経済的効果、4:都市開発、5:スポーツ文化の定着

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「国際社会における地位向上」、「経済効果」、「市民へのスポーツ振興と普及」「東北大震災からの復興を世界に示す」「コロナに打ち勝った象徴として祝福する」などリターンがなくなり、逆にコロナ蔓延の中でも人命を軽視し、金もうけにしがみつき、医療関係者や国民の声も無視し、商業主義に全く抵抗できず、IOCなどに従属し、女性蔑視発言が相次ぎ、財政的なマイナス(無駄な建築含む)を後の世代に押し付け、ナショナリズム的目論見で選挙に有利に使おうとして、開催自体を軌道修正する能力もなく、招致の時の「きれいごと」が嘘だらけであることがばれて、日本社会が人権感覚でオリパラの理念に反するレベルであることを示す「恥ずかしいイベント」「失敗のイベント」「国際的に日本がダメであることを示すイベント」に成り下がってしまった。

無駄な施設を浪費的に作ったことは、SDGsにも反する。警備・監視体制の強化など人権侵害の面だけを進める契機となった。

日本政府の唯一の「社会への貢献」は、オリンピック自体の欺瞞と日本の政治の低レベルさ・人権感覚の古さを世界に示したことといえよう。

 

 

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