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主流秩序、DV,加害者プログラム、スピシン主義、フェミ、あれこれ

別れ方の体制整備と教育が必要---横浜女子大生刺殺事件 冨永紗菜さんの遺族コメントを読んで

別れ方の体制整備と教育が必要

 

以下の遺族のコメントを読んだ。

 

全文】「全てのことに疑問悲しみ憤り…娘をこれ以上傷つけないで」横浜女子大生刺殺事件 冨永紗菜さん(18)の遺族がコメント発表

(FNN プライムオンライン 2023年6/30)

https://news.yahoo.co.jp/articles/6366f9266b41ecd8d61b4121f8d54993622f0fa8

 

こうした悲劇を繰り返さないために、シングル単位のデートDV予防教育や大学での講義や加害者加害者プログラムを行っている。以下、簡単に、基礎情報。

 

「冨永紗菜さんが元交際相手に殺害された事件――このようなケースで、悲劇を避ける方法」

 

 

遺族のかたは「まぬけ」ではない。社会全体が以下のような「DV対策」を確立していないからこうなったのである。家族の責任ではない。

 

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DV関連の法律の整備、有効な対策の整備がなされていないことが問題

実践的なDV予防教育(そのなかには別れ方論も入っている)がなされていない

こうしたシングル単位の別れ対策の相談体制も確立されていない。

家族も含め皆が「DVと別れ方」について学んでおく必要がある。

警察に「緊急対処登録」をしておく。危険性を伝えて、対処を相談・依頼する。相手に「接近するな」と警告をしてもらう。

専門な知識ある人に相談したうえ、大人・第3者を入れて別れ話。「嫉妬・執着」は愛情ではなくDVであると伝える。今後一切連絡・接触しないように伝える。現れたらすぐに警察を呼ぶと伝える。「別れについて、相手の同意がいらない」というシングル単位の別れの考えを伝える。

加害者には、DV加害者更生プログラムに行くように伝える。(加害者を変えるのは、被害者やその家族の責任ではない)

別れた直後が一番危険と知って警戒体制を確立する。一人にならない

接近したら関係者は無条件にすぐに警察に連絡するようにしておく。そしてすぐに警察にきてもらう。

脅迫メールなどが来たらすぐに警察に相談し、相手に警告してもらう。

警察にパトロールしてもらう。

 

(こうしたことは伊田広行の各著作や講演・講義で示されてきた内容)

 

  • 伊田広行デートDV・ストーカー対策のネクストステージ』(解放出版社、2015年)、4章に、別れ方や警察の使い方など
  • 伊田広行『超リアルなストーカー対処策を考える――ストーカーに対処するために知っておいたほうがいい、恋愛・別れの考え方と制度と法律の使い方』(電子書籍、2015年6月)

伊田広行「脱暴力プログラムの受講命令を制度化すべき時代」 吹田市男女共同参画センターデュオ編集発行『男性問題から見る男女共同参画――ジェンダー平等の実現と暴力・DV根絶に向けて(令和元年度 吹田市男女共同参画センター調査研究報告書)』(2020年10月発行)所収 

  • 「別れの教育の必要性」 ストーカー事案再発防止研究会編(京都府警) ストーカー事案再発防止研究会報告書」2017年11月所収
  •  
  • 『シングル単位思考法でわかる デートDV予防学』(かもがわ出版、2018年12月)」

 

 

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山本太郎議員に対する懲罰に関して

山本太郎議員に対する懲罰に関して

 

れいわ・山本代表に懲罰動議の問題。

2023年6月8日の法務委で、入管難民法改正案の採決に反対する野党議員が抗議し、委員会室は一時騒然となるなか、山本銀は強行採決に抗議して止めようと、委員長席後方の机の上から数度にわたり飛びかかろうとした。

これに対し自民党が、議長を守っていた議員2人にけがを負わせたとし、この行為が「院の秩序を著しく乱す」として懲罰動議を出し、立憲も同調。

 山本氏は9日、記者団に「命に関わる法案に関しては体を張ってでも止めなきゃいけない」と主張。「手が当たったということがあればおわび申し上げる」と述べた。

れいわ新選組・山本代表「一言で言うならば、不当だと思います。この入管法の改正(強制送還で)打撲どころでは済まない。命を失う危険性がある立法なんです。自民党で作られた人柱と言いますか、あの壁を越えないことには、その先には行けないわけで、採決を止めるという行動を体を張ってやるしかない」とのべ、採決を止めるには、やむを得ない行動だったと主張。

山本氏は5月の櫛淵議員処分に対しても、「紙を掲げて『闘う野党』を再興しようと、もう一度みんなでちゃんと戦おうと提案した。それで登院停止というのは…。言葉を選ばずに言うと、狂ってますね。不当以外の何物でもない」、「悪いのは自民党だと言いながら、結果的にアシストし続けているのが野党側なんじゃないのって話なんですよ。品の無い自民党と、あきらめる野党がこの国を壊してきた。そこに対して戦おうじゃないかということを提案した者に対して、このような懲罰というのは本当に、不当でしかない。野党は今後戦いません、と懲罰で示した。まぬけもいいところ」と述べていた。

 

上記の山本太郎議員の言動はまったくまともであると私は思う。

山本太郎議員が入管法改悪のひどい法案に対してがんばって反対しようとしたことこそ、まだ民主主義的な動きがあることの希望であり、「ケガさせた」などという、何とでも使える理由で、その山本議員への懲罰を許したら、完全に、民主主義国家でなくロシアや中国と同じ全体主義国家になる。

 2001年9月11日に起きた同時多発テロの直後に、ナショナリズムの機運が高ぶりアラブへの「対テロ戦争」に突入していこうとした時、米議会でただ1人、武力行使を認める決議に反対したバーバラ・リー下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)がいたこと[1]を忘れている。異論の大事さを全く認めない日本の政治状況になっているのだ。

この自民党のやり方は、「転び公妨」(公務執行妨害)など、今までの反体制派弾圧に使われたことと同じことを国会の反対の活動にも使うもので、絶対に許されないこと。

しかも自民党だけでなく、立憲民主党懲罰動議に加担。世も末である。過去、自民党議員でも内部対立もあったし、バリケードを作ったりもあったし、殴り合ったり、おしあったり、いくらでもあった。そういう事が亡くなって、体が触れただけでダメだなどとなっては、まさに多数派による強行採決のし放題になるだけ。国会の意味などなくなる。

これを黙って見過ごすメディアも、国会議員も、人権無視の主流秩序への積極的加担に他ならない。これに抗議して野党の国会議員全員辞職するくらいのことをしてもいいくらのことなのに、そんなこと全くできない状況。ましてや与党側(公明、維新や国民新党)も含めて、平気でこれに加担する。異論を許さない戦争体制と同じ。

1941年真珠湾攻撃の際、その反撃から戦争になることを一人批判した議員がいた。下院議員ジャネット・ランキンである。ランキンは「女性の私は戦争には行けません。私は他の誰であれ、戦場へ送ることを拒否します」と戦争に反対したが、非愛国的であると猛烈に批判され、その後再選さえrなかった。だがそうした、自分の頭で考える議員個々人の活動こそが国会には求められる。

二帆にはそうした議員が少なすぎる。そしてメディアの報道も危機感梨の思考停止の塊。記者クラブの体制べったり、記者会見での望月記者の質問を援護しない他の記者と同じような、果敢に切り込む人を孤立させないために、二人目三人目になる人が出ない社会はおかしい。

慰安婦」問題と同じく、99%の日本人がおかしくなっていることの証左。

後でつける「小西議員の意見」こそがまとも。

参議院懲罰委員会が開かれれば、ガーシー元参院議員の騒動以来となり(2023年2月)、がーしー議員い安易に発動したことで、このように、気に食わない奴を国会から議員資格をはく奪して追い出ことtが簡単にできるような雰囲気になっている。非常におかしい。実際、5月には、れいわの櫛渕万里衆院議員に対して、衆院本会議での鈴木俊一財務相不信任決議案採決の際、壇上で「与党も野党も茶番」と書かれた紙を掲げてアピールしたことに対して、議事進行を妨害したなどとして懲罰動議が提出され、6月1日に「10日間の登院停止」となった。

。戦争への大政翼賛会化が進んでいる。

 

 

◆「れいわ新選組代表山本太郎議員に対して懲罰しないことを求める声明」大阪弁護士会(有志の会)https://twitter.com/obv_nyukan/status/1666982642485719041?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Etweet

 

《この懲罰動議はおかしい。法律には文字どおり人の命が懸かったものがある。入管難民法案はまさにそれだ。そうした法案の強行採決に直面したときの行動は個々の議員の政治信条そのものでそれを懲罰事犯にするべきではない。もちろん、暴行そのものを目的とする行為は許されないが、議会制民主主義の懐(ふところ)で処理すべきものだ》

立憲の石垣のり子参院議員も同日、自身のTwitterに小西氏のツイートを貼り付けたうえで、《至極賛同します》と書き込んだ。

小西氏も、2015年の参院平和安全法制特別委員会における安全保障案連法案採決時に、与党議員へ2度「ダイブ」をして「ダイブ小西」とあだ名がついたことがある。

 

小西ひろゆき議員の見解

  • 「議員が犯したと言われる、過ちついて」

「同じことを多数政党所属の議員が行ったら、罪に問われず、少数政党の議員が行ったら、罪に問われる」としたら、明らかに法の平等に反しており、撤回すべきです。

このことを無視し、強行したとしたならば、議会での民主主義は既に失われている、と考えます。過去のれいわ新選組櫛渕万理議員の「登院停止の懲罰」は撤回すべきです。

自民党違憲の安保法制(集団的自衛権の行使)を閣議決定で合憲にとして、合憲性を立証できないまま、参議院において2015年9月19日に強行採決し、日本は米軍と一緒に戦争へと向かっています。これこそ権力による暴挙であり、国会は平和憲法に則り、安保法制を無効とすべきです。 石垣敏夫(安保法制違憲訴訟埼玉の会原告)

 

  • 小西議員「山本議員に対する懲罰動議反対」: 改正入管法強行採決抗議続く小西ひろゆき参議院議員)ツィート「憲法・国会法による懲罰(戒告、陳謝、登院停止、除名)は与党など多数派の議決だけで成立します。 その要件は、「院内の秩序をみだした議員」(憲法58条)、「懲罰事犯」(国会法121条)、「議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者」(参議院規則245条)等しかなく、いかようにも多数派に都合の良い解釈が可能なものなのです。 そして、その手続きも、①懲罰の発議、②それに対する弁明、③懲罰内容の討論・採決しかなく、裁判のような証拠調べや尋問も何もない非常に簡素なものであり、いかようにも形式的な対応が可能なものです。 つまり、懲罰制度とはいざ多数派が濫用する気になれば、あっという間に邪魔な国会議員の身分を奪い取り、恐怖政治で国会を支配することを可能にするものなのです。 そうすると、野党議員は常に「こういう発言や行為をすれば懲罰にならないか」と怯えながら、委員会での質疑や討論などを行うことになります(議場でのヤジも懲罰事犯として狙われるでしょう)。 特に、最初の懲罰の濫用が「戒告」などで止まっても、「今度、懲罰事犯を起こしたら即除名だ」となりますから、一度でも懲罰を受けたら終わりという緊張感でずっと縛られることになります。 つまり、懲罰制度とは議会制民主主義を殺す力のある恐ろしい制度なのです。 現に、戦前には、日中戦争に対する「反軍演説(はんぐんえんぜつ)」によって、斎藤隆夫議員が衆議院議員を除名されたという弾圧の歴史があります。 それが故に、これまでの乱闘国会や強行採決では殆ど懲罰動議は実施されていなかったのです。 自民党もこうした良識のもとに懲罰の運用は極めて抑制的でありました。 仮に山本議員を何らか罰するのであれば、懲罰制度ではない議長注意などのやり方があります。(それもやはり濫用を避けるために極力抑制的に運用されなければなりませんが) 山本議員の行為による二名の自民党議員の負傷の状態を私は知り得ていませんが、映像で見る限りそれよりも重傷と思われる例でも懲罰動議の提出は控えられてきました。  特に、今回の山本議員の事例は以下の観点などからもなおさら慎重であるべきと考えます。

 

  • ①人の生死が懸かった法案、しかも立法事実が崩壊するなどの異常な法案(=違憲立法)の強行採決であったこと ②暴力そのものが行為の目的ではないと思われ本人もそのように述べていること ③これまでの強行採決の例と明らかにバランスを欠くこと ④立法事実が無い法案を採決した委員長やそれに賛成した議員、その採決を助力した委員外議員(怪我をした二名の議員も委員外議員です)は不問であること(やろうと思えば制度上は懲罰可能です) 仮に、これで懲罰発動となれば、実力を伴う行為への萎縮効果から、今後は強行採決の際には、野党は自席で抗議の発言をするだけにもなりかねません。 その発言も内容次第では懲罰となる危険もあります。 そのような強行採決は政府や与党にとっては痛くもかゆくもないもので、もっと強行採決が横行するようになるでしょう。 そして、もっといい加減な法案提出や答弁拒否などが横行するようになるでしょう。 「この法案は野党が体を張ってでも止めに来て、国民世論が更に喚起されるかもしれない。だからある程度大臣にしっかり答弁をさせ、野党が要求する審議回数や資料提出に応じた方がいいのではないか」などの政府与党における緊張感は、議会制民主主義を健全なものとするために必要不可欠なものであるのが日本の国会の現状であり、議会の歴史なのです。 (おそらく世界の議会も同様だと思います)

 それどころか、与党や一部野党により憲法や法律が次々と蹂躙され、答弁拒否や資料提出拒否などが横行し、強行採決などが繰り返される国会において、懲罰制度が濫用されないことは日本の民主主義の唯一の救い、最後の砦ともいうべきものでした。

逆に、懲罰制度の運用が恣意的なものになると、それはあっという間に「議会の死」となります。 国民代表である国会議員が構成する「国会の秩序」を保つことは国会議員にしかできません。 しかし、国会議員に国会の秩序維持の権限を委ねることは、同時に多数派による濫用の危険を生み出すことになります。 つまり、懲罰制度を適正に運用していくことは「議会政治永遠の課題」なのです。 私たち国会議員は党派の立場を超えて、国民の皆さんのために向こう5年、10年、100年、200年先の議会制民主主義を守らなければならないのです。 動議提出も含めて懲罰制度は極力発動せずに、国会の秩序を確保していくことに、与野党の良識と度量と見識が求められているのです。

 

なお、私は2015年の安保法制の強行採決の際に、その憲法違反を自らの質疑で論証した国会議員の使命感から、自衛官や一般国民の命が懸かった違憲立法を信念で阻止するために「人間かまくら」に守られた委員長の採決読み上げ原稿を奪おうとしました。 (なお、その際にはあのような状況であっても「院内の秩序」を最低限守り抜くために他者に怪我をさせることのないようにと可能な限りの注意を払いました)

そして、その時に自民党の佐藤議員に殴打されましたが、今日まで佐藤議員を懲罰にするべきと思ったことはありません。 違憲立法、しかも戦争を可能にする法案の強行採決やそのための行為こそまさに懲罰事犯とも考えられますが、しかし、それはこれまで述べたように議会制民主主義を殺してしまう危険があるものなのです。

 佐藤議員とは現在、外交防衛委員会の筆頭幹事どうしであり、時には「佐藤先生とは因縁がありますね」などと冗談も言い合いながら緊張感を持って好敵手としてのお付き合いを頂いていますが、それはさておき、山本議員の今回の行為をどう評価するか、や山本議員の政治活動の好き嫌いなどを超えて、懲罰制度の運用に当たっては与野党が死に物狂いで考えなければならない、濫用の危険という「議会政治永遠の課題」があるのです。 実は、国会法で懲罰動議の提出は事案のあった日から3日以内とされています。

 従って、本日中に出されたものと思われますが、今後、議長に提出された山本議員の懲罰動議は、議院運営委員会において議長が懲罰委員会に付託すべきかどうかが議論されます。 そこで懲罰は行うべきでないとなれば動議だけで終わりますが、懲罰相当となると懲罰委員会に付託され恐らく確実に懲罰発動となると思われます。 従って、私としては議院運営委員会で懲罰相当とならないようにするべく努めて参る所存です。 (追記)  私は現時点で動議提出の理由とされた事実関係の認定やその評価などを知り得てはおりません。特に、懲罰動議の理由とされている二名の自民党議員の負傷の状態や山本議員の故意や過失等の事実認定は重要な要素だと考えています。従って、上記はそうした前提のもとの見解であるとのご理解をお願いいたします。

 

 私が所属する立憲会派の執行部も深い熟慮の上に今回の判断に至ったものと信じておりますが、この文章は、国民の皆さんのためにいつ如何なる時でも日本の議会制民主主義を守り抜かなければならないという国会議員としての信条から記したものです。」

小西ひろゆき参議院議員)@konishihiroyuki 

6月8日この懲罰動議はおかしい。法律には文字どおり人の命が懸かったものがある。入管難民法案はまさにそれだ。そうした法案の強行採決に直面したときの行動は個々の議員の政治信条そのものでそれを懲罰事犯にするべきではない。もちろん、暴行そのものを目的とする行為は許されないが、議会制民主主義の懐(… twitter.com/YahooNewsTopic…

さらに表示 「れいわ新選組代表山本太郎議員に対して懲罰しないことを求める声明」大阪弁護士会(有志の会)https://twitter.com/obv_nyukan/status/1666982642485719041?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Etweet

 

 

[1]  バーバラ・リー議員は、議場で「軍事行動によってさらなるテロを防ぐことはできない」「どんなに困難な採決でも、だれかが抑制を訴えなければならない」「少しだけでも立ち止まり、今日の我々の行動がどのような意味を持つのか、考えよう。これが制御できなくならないように」と訴え、反対に回った。採決の結果は上院で98対0、下院では420対1だった。詳しくは「大統領への白紙委任だ」 1人だけ反対した議員の矜持」(朝日新聞、2021年8月12日 )記事参照。

2023年入管法改悪問題――「日本人中心主義」という主流秩序の現れ

  • 2023年入管法改悪問題――「日本人中心主義」という主流秩序の現れ

大学の講義のレジメの一部、にゅかん問題に触れたので、ここにアップしておきます

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2023年、入管法改悪が自民党政権によって強行されている。改正案の根拠が怪しく、日本の難民認定率はゼロに近く、審査する側(難民認定制度)に大きな問題があることも明らかになった[1]

 難民認定されなかった外国人の不服申し立てを審理する「難民審査参与員」の審査件数を巡り、斎藤健法相は、参与員1人が「1年6カ月で500件の対面審査は可能」と言ったが、直ぐに言い間違いだったというお粗末な状況。難民審査参与員は、入管庁が難民ではないと認定した外国人が不服を申し立てた際、3人1組で審査する役割。法務省から委託された識者らが務め、NPO出身の柳瀬氏は05年の制度発足時から務めている。

問題なのは、ひとりに異常に集中しており(参与員の柳瀬房子氏が1年半で500人の対面審査をし、2022年1年間で1231件の審査に当たったとされている)、正しく公平に審査がされていないことが明るみになったのである。対面審査について「一般論で考えれば、月に最大10件、年間で100件程度だ」とされており、具体的にちゃんとやった人では年間30-40人程度であった。

つまり実態は、柳瀬氏は大量の審査でいい加減に対応して難民申請(異議申し立て)を全部却下しているという事であり、ちゃんと調べず、難民かどうかを正しく認定できていないのが日本の状況なのである。柳瀬氏の21年の勤務日数は34日で、一日あたり平均40件を審査した計算になる。22年は32日で、1日に同38件を審査したことになる。異常な数字で、審査のいい加減さを表している。

そういうなか、難民申請3回で本国に強制送還などおかしい。入管庁は柳瀬房子・難民審査参与員の「難民を認定したいと思っているのにほとんどみつけることができない」と発言を難民申請が乱用されていることの根拠として法改正の必要性を説明している。その柳瀬参与員の状況が全くいい加減で、その発言には信ぴょう性がなかったのである。難民を見つける気などなく、異議申し立ての制度が機能していないのである。

法改正の前提認識である「難民でもないのに、制度を悪用して日本に長く滞在している」などというのは、実態を反映していないのである。日本の難民認定率は1%未満(21年)で、10〜60%台のG7の他国と比べて格段に低い。3回以上の難民申請者は送還停止の対象から外し、強制退去に応じない人への厳罰化を盛り込むのは、一層難民を排除する人権意識の低い独善的な国になっていくことになる。

 

政府が法改正が必要な根拠として引用する「難民を探して認定したいと思っているのにほとんどみつけることができない」という難民審査参与員の発言について、参考人阿部浩明治学院大教授は「ほとんどいないということは全くない」と疑念を呈した。阿部氏は自らも参与員だった経験から「10年間で約500件を審査し、40件弱について難民と認めるべきだと意見した。(参与員の間で)国際基準を踏まえた難民認定の手法が共有されていないため、難民を難民として認定できない」と述べた。

 参考人質疑後に記者会見した阿部氏は、難民認定申請時に弁護士など代理人の立ち会いが認められていないことについて「出入国在留管理庁は真に庇護(ひご)されるべき人を庇護していない。難民認定制度の根本的な見直しが必要だ」と語った。 

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入管法については、連人権理事会の移民の人権に関する特別報告者、宗教と信条の自由に関する特別報告者、恣意(しい)的拘禁作業部会が「国際人権基準を満たしていない」として、抜本的な見直しを求める共同書簡を日本政府に送った。だが日本政府は「法的拘束力はない」と無視している。だが、書簡は法的拘束力を持った国際人権条約に基づいて、国連が示した解釈なので、日本政府の姿勢は異常である。勧告や書簡を無視する対応は、人権を侵害し続ける国と同じである。

改正法案の国際人権法違反について、前回の国会提出時と変わっていないと指摘した。収容期限の上限がなく、子どもの収容も禁止されず、収容を巡って裁判所などの司法審査が欠如したままである点も問題視。3回以上、難民申請した人らの強制送還を可能とする規定についても、「迫害を受ける危険のある国へ送還してはならない」とする難民保護の基本「ノン・ルフールマン原則」を損なうとの見解を示した。

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入管法改正がおかしいので、「再考しろ」と研究者400人超が声明を発表した。声明は、在留資格がなければ、難民申請者でも入管施設に収容する日本の「全件収容主義」を批判。入管庁の判断のみで、無期限に収容できる仕組みはG7では異例で、収容を「最後の手段」とみなす国際人権法に照らして問題だとした。

西欧では難民の保護は義務であり、誇りであり、国際貢献だと認識されている。だが日本は、外国人を労働者なら受け入れるが、移民・難民は受け入れないスタンスで、短期で帰国させる政策を取ってきており、苦しむ人を助けず、利用だけして日本には暮らさせないという身勝手なスタンスをとっているのである。G7が自由、民主主義、人権などの基本的価値を共有するメンバーだというのは、デタラメである。

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反対運動の様子を知ろう・・・・中国で白紙運動をした人が捕まるのがおかしいように、日本でも外国人を人間扱いしない状況がある。全国で反対運動、国会でも盛り上がっている。第改悪法案を許さないという動き。G7では「法の支配」「人権・民主主義の側が団結してロシアと戦う」といいながら、日本国内では国際法も無視し、外国人の人権を蹂躙している。難民条約を守れ!入管法改悪を阻止しようという声で、7000人のデモおこなわれた。渋谷ハチ公前集会の様子。動画配信ぜひ見てください。野党も、チャンとまともな対案を出しています。

https://www.youtube.com/watch?v=DLeg3Gw6SJc 

 

外国人排除の問題と家父長制・ジェンダー差別がつながっているという指摘もあります。矛盾のしわ寄せがマイノリティ女性にいきやすいということです。DVされたり性産業に利用されたりしながら、身分が不安定に置かれている。移民・難民がジェンダー平等と対立するかのように極右が持っていこうとするときに、どういう立場をとるのかという問題。国に強制送還されたら逮捕されたり殺されかねないという中に、LGBTQ当事者で弾圧されるということもある。裁判も通さず長期無期限に入管の主観で収容できる異常な人権蹂躙状況。

この動画等反対運動の動画を見て、こういう社会活動をしている人がいるということを知ってください。それをしらずに大人になって社会人になって、何も知らないままの40歳、50歳にならないでほしいです。出来ればこういう運動の現場に行き、学習し、社会を良くしていく活動に参加してほしいです。

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6月6日の強行採決を絶対に許さないということで、そのために前日の5日(月)午後6時半から国会正門前で大集会

 

 

[1] 「審査役111人いるのに1人に集中、全体の25%を担当 難民審査で入管庁公表 柳瀬房子参与員が昨年1231件」(東京新聞、2023年5月25日)、「国連特別報告者の指摘をまた無視するの? 「入管難民法改正案は国際人権基準を満たさず」に日本政府が反発」(東京新聞、2023年4月25日)などを参考にしている。

「マイ・ディア・ミスター 私のおじさん」

『マイ・ディア・ミスター 私のおじさん』

 

『マイ・ディア・ミスター 私のおじさん』

マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』は、韓国で2018年に放送されたTVドラマで、私(伊田)が最もお勧めするもののひとつである。

ままならない人生の不条理に耐えながら生きるおじさん三兄弟(パク・サンフン、パク・ドンフン、パク・ギフン)と、若くして人生の苦しみを一人で背負って生きているイ・ジアンが、お互いの人生を癒していく物語である。

人間なんて信じられなくなっていた主人公イ・ジアンの心が徐々に溶けていき、ついに涙が出るようになっていく、永久凍土に閉じ込められて長らく固く凝っていような「心臓」(こころ)が、優しい人(パク・サンフン)と出会い、かかわる中で、解凍されて生き生きとした血液が流れて赤みを回復して“どっくんどっくん”と動き出すようなドラマだ。

主流秩序との関係を少し話しておこう。この話は、日本でいえば「尼崎」のような庶民の下町で、うまく生きられない人々へ優しいまなざしを向けている。それは主流秩序の「上」に行けない負け組、生きるのが下手な人の嘆きに寄り添いつつ、酒を飲み、仲間と助け合い、なんとか生きている人々の“すばらしさ”を描いている。

逆に、主流秩序に乗って、上昇競争や上昇に血眼になっている人たちの“貧しさ”を描いて、主流秩序から離れることの魅力を描いた。

元女優で、今つぶれて自信なくなって、パニック障害的になって、動けなくなっていて寝込んでふさぎ込んでいた人が、落ちぶれた元監督(パク・ギフン)など、負け組(それを受け入れる下町)と出会い、成功しなくていいんだ、不幸に見えない、それでも幸せに生きていけるんだとわかって、息ができるようになっていくというような話もあった。

 

何と言っても一番のこのドラマの肝は、本当に本当に苦しくて人など信じられず、借金取りに殴られ搾取される地獄にいた21歳の女性(イ・ジアン)が、いいひとだが自分の思いを出せずにため込む系のエリ―トおじさん(パク・ドンフン)によって、そして彼の苦悩を知ることによって、「閉じ込められていた世界」から徐々に脱していき、人間らしい気持ちを取り戻していく過程だ。一見幸福そうなドンフンを盗聴することで、彼の隠された苦悩・絶望を知っていくイ・ジアン。そして今まで誰からも大切にされなかった彼女を大事にしてくれるドンフンのやさしさ、彼女を傷つけるものと戦ってくれるドンフンのやさしさに彼女は『解凍』され。永久凍土に閉じ込められていた状況から離脱できていくのだ。

が、同時に、この物語全体は、意外なことに、ドンフンも、イ・ジアンに負けないほどの苦悩を抱えているという点だ。それは表面的には分かりにくい。良い企業に勤め、給料も高く、美しく優秀な妻と子供を持っている男。だが彼はすべてを抑え込んでいた。大きなものに押しつぶされて生きていた。それが、イ・ジアンにかかわる中でようやくほどかれていくのだ。最後彼はようやく、ひとりになって泣ける。慟哭。イ・ジアンほどの地獄だからこそ、彼は自分の地獄に向き合えたのだ。そんな物語。

 

 

いい子だ

何でこんないい子を殴るんだ

家族を苦しめられたなら、俺でも殺す

 

また盗聴している先でのドンフンが、妻の浮気がらみでぼろぼろになっているとき、イ・ジアンが「どうってことない」とメールを送る。それに対してドンフンは、彼女には聞こえないが「ありがとう」とつぶやく。

それをきいて、そういうことを言ってtもらえて泣く イ・ジアン。

 自分が役に立ってるって思えて、はじめて人からちゃんと感謝され、受け入れられ、尊重されたイ・ジアン。自分がひどいことをしているにもかかわらず。

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以下のシーンの会話も、イ・ジアンを見捨てないドンフンの言葉に体中にじわーと熱いものが流れていく。

ドンフンにプレゼントしたサンダルを捨てたイ・ジアン。

「どうせつかわないでしょ。皆の前で明日 解雇してほしい。気まずい雰囲気の関係になったし」という イ・ジアンに対してドンフンが言う。

「首にはしない! そんな理由で解雇なんて幼稚だし、偶然会った時、気まずくなるのも嫌だ 心苦しい。ただでさえ 気まずい人間が多いのに、そんな相手を増やしたくない。それに耐えて生きてる俺が哀れだからな。学校で話したことのないやつの親に偶然挨拶すると、そいつとも友達になる。だから俺は 君のおばあさんの葬式にも行く。君も母の葬式に出てくれ。全て忘れろ。何も考えるな 俺も他の部下と同じように君に接する。君も態度を改めて、周りの人に親切にしろ。何を偉そうにみんなに気を使わせてるんだ。社員たちが君に冷たいのは確かだ。だが今後は俺が改めさせる。君には契約終了まで働いてもらうつもりだ。10年後でも20年後でも偶然会ったら笑顔で挨拶する。気まずくて避けるのではなく喜んで声をかける仲に。・・・そうしよう。・・・頼むから そうさせてくれ。・・そして サンダルを元に戻せ」

 

***

通常ドラマには恋愛要素が入っているが、基本、この話は主人公二人の恋愛そのものの話ではない。

恋愛の話ではないが、恋愛でもいい。恋愛でなくてもいい。恋愛とそうでないものとの差が大事ではないといことだ。もっと素敵な、別の名前にしても良い、名前のない、豊かな、性別や年齢を超えて成り立つ《暖かく優しい関係性》なのだ。“好き”ということと恋愛っていうことの区別が必要なのだろうか。友情、仲間、家族、酒飲み仲間、サッカー仲間、近所、同僚、先輩後輩、先生と教え子、上司と部下、尊敬する人、ネットでの付き合い・・様々な関係性の中の底を流れる、微細で温かい胸中の気持ち。

***

「殺人」の過去があると知られて 離れようとするイ・ジアンとドンフンの電話での会話。ようやくつながり、そしてもうつながらないという別れの挨拶のような、最後の会話のような。

イ・ジアンは前に、もう、何回も生まれ変わってきていて3万年にもなる、もう生まれ変わりたくないというようなことを言っていた。親切な人でも殺人の件を知って徐々に離れていくという話もあった。また上記した、「再度どこかで偶然出会ったら気まずくなるか、あいさつできて、お互いの親族の葬式に行く関係になるか」という会話もあった中での、最後の方の会話。

イ・ジアン「うんざりなんです 興味本位で騒ぐ奴らが。」

ドンフン「すまない」

イ・ジアン「どうして謝るんですか。・・・初めてだったのに・・4回以上助けてくれた人が・・・・私と似ている人・・ 私が好きになった人。

・・・私は来世でも生きていける 生まれ変わってもいい。もう平気です。・・・偶然会ったら笑顔で挨拶を?」 

ドンフン「ああ・・ おばあさんが亡くなったら必ず電話しろ」

イ・ジアン「もう切ります」

***

逃げ続けてようやくドンフンがイ・ジアンを見つける。そこでの会話。それは、ほっとできることの確認の場。イ・ジアンは“おじさん”が自分と対等であり、自分に感謝していることを、全面的に信頼し、受け入れていることを、味方であり身内であり仲間であるということを、そしてお互いが幸せに生きていこうと言いあえる関係であることを、最終的に再確認する。そして、人間的なものとは何かを初めて味わい、彼女が人間的な扱いをされ、閉じ込められていた牢獄からそろそろと出てきた状態であることを告白する。

イ・ジアン「誰にでも優しくするからひどい目に遭うのよ」 

ドンフン「ありがとう。・・感謝してる。・・情けない俺の人生のことを聞いても味方してくれてありがとう。・・・ 幸せになるよ。 君は俺のせいで胸を痛めるな。俺も胸が痛くて見てられない。まだ子供なのに。・・・・・・君は大人の俺を憐れんでる 。それが辛くてたまらない。俺が幸せにならないと君は胸を痛め続ける。そんな君を思うと、俺も耐えられない 。だから俺が幸せになる姿を見届けてくれ。・・・どうってことない。・・・恥をかくことも後ろ指をさされることも、なんてことない。・・・幸せになれる。俺は大丈夫だ。幸せになる、絶対に。」

(泣くイ・ジアン)「・・・おじさんに幸せになって欲しかった」

(泣き続ける)

ドンフン「幸せになる」

(泣き続けるイ・ジアン)

********

ドンフン「(浮気のことや盗聴のことなど)全部話して大丈夫だ。妻も俺も話すことにした。・・ 聞いてないのか。妻が携帯に向かって話したのに」 

イ・ジアン「聴けるわけない・・・・盗聴がバレたのに・・・・・私を恨んでないんですか」

ドンフン(ため息をついて、座って、ゆっくり話し出す)「その人のことを知ってしまえば・・・何をされても関係ない。 俺は君を知ってる」 

・・・

イ・ジアン「おじさんの声、・・・ 好きでした。・・・おじさんの言葉(ドンフン「いい子だな」)・・・考え方(ドンフン「知らないフリを・・」)・・・、足音、全部・・すきでした。・・・人とは何か、・・・初めて見た気分でした・・」 

 

 

 

 

 

 

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●主流秩序とのからみ

また主流秩序的な生き方のむなしさに関する以下のような会話もあった。センター試験で満点をとったが出家した男とドンフンとの会話。

 

ドンフン「今世は完全に失敗した。どう生きるべきなのか。」

出家した友人「(ここにくるのが)思ったより早いな。60歳ぐらいで弱音を吐くかと。俺が出家を決めた理由はお前だった。俺が世俗にいればお前みたいに真面目に生きて、模範的な人だと言われるだろう。でも死に際に恨めしがる気がしてな。」

ドンフン「自分を犠牲にすれば無難に生きていけるかと」

友人「何が犠牲だよ。戦場に出た勇士のつもりか。頑張ったつもりなのに報われず、幸せでもない。・・・犠牲になったと思いたいよな。お前のために犠牲になったとジソクに言ってみろ。きっと怒るぞ。親も子供も犠牲なんて頼んでいないさ。自分への言い訳に過ぎない。あきれるよ。人生はそんなもんだ。(お前の子供の)ジソクにもそう生きろと言えるか。それは嫌だろう。息子にさせたくない生き方をなぜ自分には強要する?まずおまえが幸せになれ。犠牲なんて言葉は出すな。・・・(お前の兄と弟である)サンフン先輩とギフンが何かやらかしてもおばさんは悩んでない。いつも二人の愚痴は言うけど胸を痛めてはいない。問題を起こさないお前を心配している。サンフン先輩とギフンは人に迷惑をかけても生きていけるからだ。・・・自分のことだけ考えろ。そうしていいんだ。」

 

先に人生の中で主流秩序に沿って生きることのむなしさを感じてしまった友人ギョムドクは今や僧侶になっている。それは「模範的に生きたとして、死ぬときには満足できず自分の人生を後悔するだろうとおもった」というのだ。

そして自分を出さずに我慢して犠牲的に生きていくしかない、それがうまくいく道だと思っている、それしかないと思って行き詰まっているドンフンにギョムドクが言う。だれも、犠牲なんて望んでいないし、子どもや親に犠牲を求めるか?と。だから自分を大事にしたらいいんだ、まずは自分が幸せになれと。

それも主流秩序に合わせるばかりでいいのかという問いかけだろう。

***

もう一つ、主流秩序との絡みの話のシーン。

ドンフン「お前が出家した時、俺はほっとした・・ ライバルが減ったとおもった。俺は 万年2位だっただろ。でもおまえが頭を丸めるのを見て、思った。「こいつには負ける、 100% 撒ける」と。お前の覚悟が怖くなりソウルに戻って必死に頑張ってきた。だけど結局は完敗さ。

 ギョムドク「勝ち負けなど存在しない 。それぞれの人生だ」

ドンフン「世界一かわいそうな子が、俺を世界一かわいそうだとさ。生き方を間違えた。 負けたよ」 

ギョムドク「じやあこれから勝てばいい」

 

***

以下の部分は、ドンフンがなぜ、イ・ジアンの「特技はかけっこ」としか書いていない、エリート的ではない「低学歴」の履歴書で彼女を採用したかの話。それはドンフンが、人生の途中から気づき始めた、生き方の話にかかわることだった。

人が主流秩序に囚われているときに追い求めていた「何か」--つまり自分を誇示できて幸福になると思うような、学歴やいい会社への就職や金持ちなど、主流秩序の上位に行くもの――が、いったん手に入ったとして、それが何であったのかわからないんじゃないか、それが本当の自分の内部からの力、自己肯定の力、自分が壊れないで幸せに生きていける力になるか、ならないんじゃないか、と問うている。

(建築物を建てるとき、構造として「内力」を「外力」より強くしないとだめ、そうしないとヒビが入ってそのうち倒壊するという話の後に)

「人生にも、外力と内力の戦いがある。内力が強ければ何事にも耐えられる。俺の友達に賢いやつがいて、将来有望だと言われていた。大学を卒業して間もなく突然、出家したんだ。彼の両親は ショックで倒れ 町中が大騒ぎになった。彼はこう言った。『何も持たない人になる』と。・・人は何かを手に入れようと散々苦労し、自分を誇示するためもがく。けど何を得たか気づかない。欲しいものを手に入れ万全だと思ってたのに、ヒビが入り始めると耐えられず、崩れ落ちる。

今まで俺を支えていた、基礎と思っていたものが本当の内力じゃなかった。全て偽物な気がする。・・はぁ・・・ だから無意識のうちに「自慢を並べ立てた履歴書」より、履歴書の特技に「かけっこ」とだけ書いた、そんな履歴書を書いた人が強く見えたのかもな。」

 

 

その他、素晴らしいシーンはいくつもある。人によっては、だるいドラマと思って興味を持てなず観るのをやめてしまう人もいると思う。でも丁寧に味わえば、大きなものを伝えてくれる名作と思う。

それはこの講義で一番伝えたい「人権」とか「差別/平等」とかにかかわる“感性”の問題だ。

このドラマの良さを感じない人に、何が伝わるのだろうかと思うし、逆に、こうしたドラマなどで大事なことへの感性を育ててほしいなと思う。

***

身近な人を大事にするからこそ、つらいことがあっても、ドンフンはそれを知られたくないと思って寡黙/自己抑制的に生きている。それはイ・ジアンのつらい過去のことを知らない時点でも、次のようにいう言葉として、ジアンには伝わる。そしてそれは、相手が知らないところでも、ちゃんとしたことをする人、その人のためにその人を傷つけるような人に全力で怒ったり抗議したり戦うこととして表出する。承認欲求でなく、ただ、陰で、やるべきことをする優しい人。そんな人がいると知って、イ・ジアンの心は“弾力性=優しさ”を取り戻していくのだ。

知らないふりをするやさしさ

知らないふりをしてやる。

だから君も知らないふりをしてくれ。

知られなければ耐えられる。(自分しか知らなければ)なかったことにできる。

 

それでもどうしようもなくつらいことがある。自分が生きている価値はないと突きつけられるようなことがある。そんなとき、

「大丈夫 どうってことない」

そう言ってくれる人がいることのすばらしさ。

***

人生の目標は何だろうか。個人としては、心が穏やかに、幸せになるということがそのひとつであることは、考えれば否定できないだろう。貴方は、「満たされ課感覚」を味わったことはあるだろうか。あなたには「よい縁」「尊い縁」があるだろうか。主流秩序に囚われることによって、それを見落としていないだろうか。

最後、イ・ジアンのおばあさんが言う言葉に、この物語の優しい精神が凝縮されて示されている。すべての人は実はつながっている。それがスピリチュアルな感覚だ。そして与えられたら、また与えるのだ。それがその人の人生の課題、使命なのである。

ばあさんとイ・ジアンの会話

おばあさん「(ドンフンの方を見て)良い縁よ。とても尊い縁よ。・・・・よく見てみると、どんな縁も全て、不思議で尊いものよ。・・・お返ししなきゃ。 幸せに生きることが恩返しになるのよ」

 

***

イ・ジアンがおばあちゃんに「出会ってくれてありがとう。私のおばあちゃんになってくれてありがとう。(天国で、あるいはまた生まれ変わって)また会おうね。絶対会おうね」

という。

また会おうとと言える人がいる幸せ。

私のも、またあの世でも生まれ変わってもまた会いたいと思う人がいる それは幸せなことだろう。

***

みんながお葬式でイ・ジアンに挨拶する。頭を下げる。そういう心を込めるということの素敵さ。寂しい葬式を人がいっぱいのものにしようとする兄(パク・サンフン)。「そういうことができて幸せだ、初めて意義あることができた」というサンフン。

お葬式で立派に花がいっぱい並ぶ。それはみんなの思い。イ・ジアン案がみんなに愛されてるという現れ。そういうお葬式は素敵だ。

今、「小さなお葬式」とかがある。 形式的なお葬式ではなく、心を込めるなら、本当に思う人が集まる小規模なものでいいだろう。でも大事なことは、「軽く、金をかけずに ちゃちゃとやってしまう」ということではなく、本当に心からその亡くなった人を悼む、その思いがあふれる葬式であるか、ということだ。規模ではなく、思い。 

***

人生で本当の味方になってくれる人は何人いるだろう。 イ・ジアンはどん底だったからこそ、本当に味方になってくれる人を見つけることができた。それは幸せなこと。

 

やさしい。

ジョンヒ「正月はどこに?」 

イ・ジアン「・・・」

ジョンヒ「私も行く場所がない。1年に2回会いましょう、正月とお盆に」

イ・ジアン「はい」

ジョンヒ「よかった・・・その日に会える人がいれば 宿題は終了なの」 

 

 

イ・ジアン「おばあちゃんが死んだら連絡しろと言われ 心強かったです」

 それを言われたこと、そういわれていて覚えていること、そして実際に連絡できる人は強い。

 

ソウルを離れる前の、最後の食事

イ・ジアン「よくしてくれて感謝しています」

ドンフン「君は俺を救うために この町に来たんだな。 死にかけてる俺を君が生き返らせた。」

 イ・ジアン「私はおじさんに会い・・始めて生きた気がします」 

ドンフン「俺たち、本当に幸せになろう」

グラスを合わせる 2人

 

深い深いつながりを、狭い意味での恋愛と呼ぶ必要はない。 もっと深く、 人と人が信頼しあい、 心が近づいたということ、そのようなことはある。

このドラマが“恋愛ドラマではない”という意味はそこにある。

***

最後、イ・ジアンがソウルを離れるということで別れのシーン。みなが歩きながら見送り、徐々に人が減り、最後3人だけになる。

イ・ジアン「抱きしめても ?」

ドンフンは、以前は断わったが、今回は受け入れて抱きしめる。

恋愛ではないが、好きな気持ちや感謝や愛おしさが詰まった、恋愛であるような、魂の近づきであるというハグ。

そして最後、少し慣れて、イ・ジアンが言う。「ファイチン」

ドンフン「ファイチン」

とこんな愛の言葉がある。

主流秩序、競争、勝利 、物質的豊かさなど全く寄せ付けない 「ファイイチン」を見ることができた。

***

ドンフンは、色々あった妻との電話で「 何かいるか」と聞く。妻は以前は、そういう言動にいら立っていて「そういうことをいちいち聞くな」 と言ってた。だが、今回、彼女がいう「ビールを」。

それでももちろん2人の間が元に戻ることはない。 彼女は米国にいる子供のそばにいって、また勉強するという。でもそれは夫婦の距離の取り方であった。

そうして1人になって ドンフンは初めて泣く。 心から泣く。 感情の扉を開く。 彼の「永久凍土」が解けたのだ。それは彼が次に行く必要なステップだった。おじさんの再生の物語。

***

「誰も知らない」の映画について、辛い映画だが子供達に意外と力があるとおもったというギフン。人には自分を癒し再生する力がある。人間はみんな自然治癒力がある。そこに希望があるという話をしていた。

***

そして1年後、部下と一緒に退社して新しい会社を立ち上げたドンフンたちが、イ・ジアンとソウルで再会する。ジアンは「普通の若い女子社員」のように、普通にちゃんと生きていた。偶然に会えば、避けるのではなくちゃんと挨拶ができるような関係になろうという言葉通り、彼女は声をかけることができた。彼女が同僚の女性社員と普通に昼食に来るような感じで、元気そうであることを喜ぶドンフン。「活躍しているそうだな」「今度ソウルの本社に転勤になったんです」

昼休みなので短い立ち話ですぐに別れるのだが、別れ際、「握手しようか」とドンフンがいって、握手する2人。「ありがとう」と言うドンフン。「今度おごります 一度 そうしたかったんです」というイ・ジアン。

そして別れていくが、心の中で、ドンフンは思う。「普通に女の子の同僚と働き、昼食を食べるようになっているんだな。名前の字「至安」の通り、安らぎに至ったのか?」と。

それに対してジアンが心の中で答える。

「はい」

そしてもう一度。

「はい!」

 ***

番組の最後に、製作者から視聴者への言葉

「皆さんはいい人です やすらぎに至るまで ファイチン!」

∞∞∞∞∞∞

主流秩序に囚われず、他者の痛みに敏感な人になる、ということが描かれた傑作を、ぜひ見てほしい。

 

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カッセル大学「平和の少女像」が撤去された問題

 

 

みなさま

 

3月9日、カッセル大学「平和の少女像」が撤去されたことを受け、独コリア協議会の呼びかけで始まった緊急署名について、あらためてのお願いです。

署名は1万人を目標にスタートしましたが、現在4500人ということで、コリア協議会より再度のお願いが届いています。

 

みなさまの周りでも広げていただくよう、よろしくお願いします。

 

(方清子)

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ドイツ・カッセル大学の平和の少女像を取り戻す署名にご協力をお願いします。

拡散希望

 

3月9日、ドイツのカッセル大学学生の主導で設置された平和の少女像「ヌジン」が大学当局によって事前通報もなく突然撤去されました。

昨年7月、カッセル大学総学生会は大学側の同意を得て学生会本館前公園に平和の少女像を設置し、総学生会は少女像の永久設置決議案を通過させました。

先週少女像が奇襲的に撤去されると、トビアス・シュノア前ドイツ・カッセル大学総学生会会長は「強い衝撃を受けた」とし、カッセル大学総学生会とともに設置を主導したドイツ・コリア協議会は「日本側の撤去圧力は明白だ」としています。

昨年12月、尹美香議員の主催で開催された「日本軍性奴隷制問題解決運動 継承と連帯そして未来 国際シンポジウム」に発題者として参加したトビアス・シュノア・カッセル大学総学生会長は「日本領事館がカッセル大学に少女像撤去圧力をかけており、大学総長が平和の碑に対する持続的な保護に憂慮を示した」と明らかにしたことがあります。

日本政府は日本軍性奴隷制、強制動員など戦争犯罪を否定し、歴史を歪曲するために最大の外交的努力を尽くしています。日本政府が自分たちの加害を認めないのには、日本政府に限りなく卑屈な交渉を進める韓国政府の態度も一役買っています。

日本政府の戦争犯罪隠蔽のたくらみが強まるほど、平和の連帯もより強力にしなければなりません。ドイツ・コリア協議会より緊急署名運動の要請が届いています。署名はカッセル大学に伝達される予定です。

署名連帯とともに、すべての外交的努力を動員して歴史的真実と正義を実現できるよう最善を尽くします。

 

<署名リンク>

 

https://www.openpetition.de/petition/online/kaseldaehag-pyeonghwaui-sonyeosang-nujin-doechajgiseomyeong-undong

 

<署名方法>

1、        上記リンクに入って「英語」を選択、名前とEメールアドレスを入力後、サインをクリック

2、        郵便番号と都市名、住所と国名を入力後、クリック

3、        署名に参加する理由などを入力してクリック(任意)

4、        本人のEメールで受信した「署名確認」を押せば完了

 

 

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

https://www.restoringhonor1000.info/

----------<wam事務局より>----------

ジャニーズ事務所 性暴力問題

PENLIGHT:ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会を立ち上げ、ジャニーズ事務所に性加害の検証と謝罪を求める署名を開始しました!

 

先日、元ジャニーズJr.の男性(カウアン・オカモトさん)が顔と名前を出して性暴力被害を告発したにもかかわらず、ジャニーズ事務所は当たり障りのないコメントを出したに留まっています。

一企業の大規模な性加害が検証されないままメディアに出続けるこの現状、なによりも被害者が声をあげても変わらない社会に強く憤りを感じます。

 

ぜひ署名のご協力と拡散をお願いします!

 

【署名リンク】 https://chng.it/MWCzsWMBNK

 

Twitterhttps://twitter.com/penlight0412/status/1648479980245106689?s=21

 

Instagramhttps://www.instagram.com/p/CrMmEziBIsM/?igshid=MDJmNzVkMjY=

 

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ジャニーズ事務所は性暴力被害者の声を無視しないで! 性加害の検証と謝罪を求めます!

 

 

発信者:PENLIGHT ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会 宛先:株式会社ジャニーズ事務所

わたしたちは、PENLIGHT (ペンライト)ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会と申します。株式会社ジャニーズ事務所(以下、ジャニーズ事務所)の所属タレントをこれまでこよなく愛し、応援してきた者たちです。 会の名称であるPENLIGHT(ペンライト)には、性暴力被害を訴えられず暗やみの中にある人たちに光があるように、との願いが込められています。

2023年4月12日に元ジャニーズJr.の男性(カウアン・オカモトさん)が、日本外国特派員協会で記者会見を行いました。その会見によると、ジャニー喜多川氏(以下、喜多川氏)から数年間にわたって性暴力被害を受け、また他にも性暴力被害を受けていた少年らがいたということです。

同日、共同通信の取材に対し、ジャニーズ事務所はコメントを出しましたが、自身の実名と顔を明らかにして訴えた元ジャニーズJr.の男性(カウアン・オカモトさん)に対するコメントは一切ありませんでした。またジャニーズ事務所の運営する複数のウェブサイトを確認しても、現時点で先の記者会見に対する応答はみあたりません。

これを受け、性加害の事実に正面から向き合おうとしないジャニーズ事務所の姿勢に、大きな疑問を抱きました。と同時に、これまでジャニーズ事務所に所属しながら、性暴力被害を受け、沈黙せざるをえなかったであろうタレントが多くいたものと推察します。

かつて週刊誌とジャニーズ事務所との間で行われた裁判では、喜多川氏による未成年の少年らに対する性加害について「真実であることの証明があった」と東京高裁が認定。2004年には最高裁で確定しています。

これらの被害実態は、グルーミング(性的な行為を目的に被害者を手懐ける行為)とも評され、性暴力被害の典型的な類型のひとつともされています。さらに契約関係にあっては、タレントは所属事務所に対し従属的にならざるを得ず、力関係の不均衡は明らかです。

なお、喜多川氏はすでに亡くなっていますが、ジャニーズ事務所が性加害を黙認し続け、このような事実があったのにもかかわらず再発防止措置を講じなかったために、その後も被害者を生み出してきたことから、ジャニーズ事務所にも責任があると考えます。

わたしたちはジャニーズ事務所に所属するタレントを応援するものとして、このままでは心から応援するのは難しいと感じています。また、純粋な気持ちでジャニーズ事務所に入所してきた少年たちの気持ちを思うと強い憤りを覚えます。

つきましては、PENLIGHT (ペンライト)ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会より、ジャニーズ事務所に対し、次の対応を求めます。

  1. 性暴力被害者の声に誠実に耳を傾けてください。
  2. ジャニーズ事務所として、第三者委員会等を設置し性加害の検証・実態調査を行ってください。
  3. 性暴力被害を訴えた方々に対し、事実を認め謝罪してください。
  4. 性暴力被害者がトラウマの影響から回復するために適切な支援を行ってください。
  5. 今後、性暴力被害を生まないための再発防止措置を具体的に定め、実行してください。

以上

みなさんの賛同の声をジャニーズ事務所に届けます。多くの方にご賛同いただきますよう、お願い申し上げます。

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賛同人

北原みのり(作家)

仁藤夢乃(一般社団法人Colabo代表)

太田啓子(弁護士)

辛淑玉

李信恵(フリーライター

安積遊歩

三井マリコ

小川たまか(ライター)

石田郁子

塚原久美

青木正美(医師)

坂井恵理(漫画家)

長田杏奈(ライター)

賛同団体

フラワーデモ東京

 

3,223 人が賛同しました。もう少しで 5,000 人に到達します!

 

 

 

女性支援団体Colaboの会計に不正はなかった 妨害行為をする輩を許すべきでない

 

以下、とてもまともな記事です。

メディアの多くがこうした妨害行為を正しく糾弾せずに、無視、傍観、放任している。

それにしても、ネトウヨ含め、こうした妨害行為をするのは、人権擁護に反対する、まさに暴力的攻撃であり、チンピラである。こんなことに生きがいを見出す哀れな人がいる、この日本社会の腐敗。それに同調したり、おかしさがわからない感性の人が一部いるという異常さ(一部は金をもらっての妨害活動で、闇バイトレベルだが)。

韓国社会で「グローリー」が作られるような、人の痛みへの感性が一定、共感・共有されることと対比して、積み重なった日本社会の、集団的退行。

 

https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2023/03/colabo.php

 

女性支援団体Colaboの会計に不正はなし

Newsweek  2023年03月20日(月)15時57分

無防備に街に出てきてしまった少女を救う活動がバッシング対象に(写真はイメージです) MADSOLAR-shutterstock

 

<女性支援団体Colaboに対するバッシングやハラスメントは社会が止めなくてはならない>

昨年末から、女性支援団体Colaboへの悪意ある攻撃が続いている。Colaboは主に性暴力やDV等で悩みを抱えているティーンエイジャーの女性たちに対して、「相談、食事提供、シェルターでの宿泊支援、シェアハウスの運営、10代の女性たちによる活動、講演・啓発活動」などを行っているが、そのColaboが「公金」を不正に着服している「貧困ビジネス」であるなどといった根拠のないデマを公然と流され、アウトリーチ活動も妨害されているのだ。

東京都の監査結果によれば、Colaboが公金を着服しているという主張は退けられた。しかし、Colaboの会計に不正があると考えている人は未だに多く、マスコミはしっかりと事実を報道すべきだ。

 

行き場のない少女たちの居場所づくり

Colaboは、虐待などで家にいることができず、街に出て、売買春業者等の被害に遭ってしまうような少女たちに対する支援活動を、代表を務める仁藤夢乃氏自らの体験もふまえながら行っている。

たとえば定期的に行っている「バスカフェ」では、食料品や日用品、生理用品などを提供しながら、支援を必要とする少女たちとつながり、ケースに応じてシェルターでの保護や生活保護の受給手続き、就労支援なども行う。

Colaboに対する攻撃が激しくなり始めたのは、昨年の秋頃だ。「暇空茜」というハンドルネームのTwitterアカウントが、このColaboという団体は「タコ部屋」に女性たちを集めて生活保護を不正受給させている「貧困ビジネス」であると主張し、SNSで話題を集めたのだ。それは、Colaboが公開している断片的な写真や資料などを基にした推論にすぎなかったのだが、暇空氏はColabo が東京都若年被害女性等支援事業を委託されていることに目を付け、この団体は車両費や通信費など東京都の委託費を不正に受給しているという「根拠」を次々と披露し、都の監査委員に対して住民監査請求を行った。

一方Colaboは弁護団を結成し、記者会見およびホームページで、数々の「疑惑」なるものに回答した。

住民監査請求が通り監査が行われたが、昨年12月に出た監査結果では、監査委員の見解はColabo 側の説明をほぼ認めるもので、公金を不当に横領しているという暇空氏の主張は一蹴されている。

ただ監査の過程でいくつかの経理上の問題が指摘され、委託費の再調査が行われることになった。2月末に終わった再調査では、会計ミスや見解の違いによりColaboの経費は192万円が認められなかったものの、そもそもColaboは約300万円を自主財源から持ち出しでこの事業に充てているので、返金などの措置は必要がないと判断された。

 

一方、監査委員によって新たに指摘された幾つかの問題は、書類のミスや見解の違いを問うものであった。たとえば人件費の按分の問題や、年数回の高額の食費、名前や住所をマスキングされた領収書などがある。このうち高額の食費については、一部報道での一人8000円という金額がクローズアップされているが、それは一年間で一度あっただけであり、保護された少女に対する誕生会のために使われたものであった。

Colaboで保護している少女たちは、DVやネグレクトで誕生日など全く祝われたことがない場合もある。せめて誕生日にはこうした盛大な祝い事をすることで、極めて危険な水準まで低下してしまっている本人の自己肯定感を高めることも事業には必要だ──Colaboの主張は認められ、経費として認められた。一方、領収書のマスキングについては、DVなどで逃げた少女を保護している性質上、個人情報を保護しなければならないというColabo側の主張は監査委員によって理解を示されたものの、経費としては認められなかった。

 

不正があったと誤認させる報道

この監査結果を受けてマスコミ各社でもこの話題が取り上げられたが、記事の見出しや本文で、Colaboに何か大きな問題があったと誤認させるような内容のものがあったのは問題だ。たとえば再調査の結果を受けた記事では、東京新聞の見出しは「「Colabo」192万円分の経費認めず 都の再調査結果 委託料の返還請求はなし」であり、朝日新聞は「女性支援事業の経費、192万円認めず 東京都、返還請求はなし」であった。

だが重要なのは、Colaboの会計に不正がなかった、ということだ。Colaboは「貧困ビジネス」だ、というレッテルが事実誤認だったことをこそ報じるべきだった。経費として認められなかった192万円についても、そもそもColaboは委託費2600万円を使い切り、なお持ち出しで300万円を支出している事実が確認されたのだから、委託費を不正に着服せしめたような印象を与える見出しは不適切だろう。

さらにこれらの記事の本文ではColabo が一部の領収書の提出を拒んだことが強調され、Colaboが192万円、あるいは全ての支出の領収書の提出を拒んだと誤解した人もいる。これは先述の通り個人情報保護のためそれに関連する一部の領収書にマスキングをしたのであり、個人情報の保護については、経費として認めるかはともかく、監査委員も理解を示していたことを説明するべきだった。

 

異常な状況に終止符を

Colaboの会計に不正はなかったことが監査によって明らかになったのちも、Colabo は激しい攻撃に晒されており、特にアウトリーチ活動である「バスカフェ」は迷惑系YouTuberらによって物理的な妨害を受けており、最も悪質な男性について接近・妨害を禁止する仮処分が出るほどになった。にもかかわらず、東京都・新宿区は混乱の収拾を目的としてColabo側にバスカフェの一時中断を要請している。しかし本来であれば、行政の委託事業が悪質な妨害を受けているのだから、行政が責任をもって遂行可能な環境をつくるべきだろう。この異常な状況を終息させるためにも、マスメディアはしっかりと経緯や事実を報道してほしい。

 

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小倉利丸さんの考察――「戦争放棄のラディカリズムへ」

 

 

この戦争状況に関する、小倉利丸さんの考察――「戦争放棄のラディカリズムへ――ウクライナでの戦争1年目に考える戦争を拒否する権利と「人類前史」の終らせ方について」――はよくまとまっている。

私は、この小倉さんの考えに全面的に賛成である。

この文章の背景にはいろいろなことへの「学び考えてきた結果としての“認識”」がある。

 

 

  • 戦争放棄のラディカリズムへ――ウクライナでの戦争1年目に考える戦争を拒否する権利と「人類前史」の終らせ方について

https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2023/02/27/sensouhouki_radicalism/

 

目次

  1. ウクライナ戦争の影響
  2. 防衛予算は「ゼロ回答」以外に選択の余地はない
  3. 国家と民衆の利害は一致しない
  4. 難民について
  5. 暴力についての原則的理解
  6. 9条の限界と戦争放棄の新たなパラダイム
  7. 二人のファノン――締め括りのためのひとつの重要な宿題として
  8. 参照文献

 

尹美香さんに事実上の無罪判決

共有しておきます。日本のマスメディアはほとんど報じないでしょうし、過去の一面的報道を訂正もしないでしょう。

 

FRIDAY, FEBRUARY 10, 2023

 

尹美香さんに事実上の無罪判決! 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

事実上の無罪判決!!

控訴審でより公正な判断がなされることを願う

 

 本日、ソウル西部地裁は尹美香国会議員(前「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」理事長)に1500万ウォン(約150万円)の罰金刑を、共犯とされていた金東姫「戦争と女性の人権博物館」館長には無罪を言い渡した。

 

 尹美香議員も、検察が賑やかに並べ立てた補助金管理法及び地方財政法違反、詐欺、寄付金品法違反、準詐欺、業務上背任、公衆衛生管理法違反などの容疑について全て無罪を勝ち取ったが、検察が主張した業務上横領額約1億ウォン(約1千万円)のうち1700万ウォン(約170万円)ほどが認められ、この部分について裁判所は罰金の支払いを命じた。尹議員は「充分に証明できなかった一部の金額についても横領した事実はない、控訴審で誠実に立証する」としている。

 

 本日の判決によって、検察の起訴がいかに無理なものだったかが改めて浮き彫りになった。それは、公判の過程で充分に明らかにされていたが、それでもなお検察は尹議員に対し5年の懲役刑を求刑した。起訴も、求刑も、あまりにも無理筋だった。

 

 また、裁判所が一部認めた業務上横領も、不当だ。検察は尹議員が2011年から2020年の10年間に、217回にわたり計1億ウォン相当を流用したと主張した。そのうちの68回、約1700万ウォンが今回、裁判所によって認められたのである。

 

 しかし、尹議員の通帳にメモされた「摘要」によると、それらは「○○ハルモニの昼食」「○○ハルモニへのプレゼント」「海外ローミング」などの経費で、「先に支出、後で補填」という、ほとんどの市民団体や一般企業などでも普通に使われている経費精算の累積である。尹議員は10年分の古い領収証や写真などの証拠を見つけ出さねばならなかった。また、挺対協では経費支出の必要が生まれるたびに支出決議書を作成して領収証を添付していたこと、代表が独断で後援金の使用について決定することはできないシステムであったことについても、裁判の過程で明らかにした。それでもなお、裁判所が十分に証明できていないと見なしたものが1700万ウォンほどあったということだ。

 

 一方、裁判所は「尹美香が初めから計画的に挺対協の資金を横領する目的で個人口座を使って後援金を募集したと見ることは難しい」と指摘した。さらに「何よりも、尹美香は去る30年間、人的・物的基盤が劣悪な状況でも、挺対協の活動家として勤務しながら日本軍慰安婦問題の解決、慰安婦ハルモニたちの被害回復等のため寄与してきた」とし、その過程で「有罪と認められた横領額よりも多額の金額を挺対協、正義記憶財団、正義連などに寄付した」と述べた。

 

 これは、検察が横領の対象期間として見なしたのと同じ10年間に、検察の言う「横領額」を凌ぐ1億ウォン以上の金額を尹議員が挺対協・正義連に寄付していた事実を指している。また、それらの寄付行為や献身的な活動が、理事会が提案した昇給を自ら辞退する中でおこなわれていたことも踏まえての発言と見られる。

 

 私たちは、今回の判決は事実上の無罪判決に等しいと考える。地裁で証明しきれなかった部分については、尹議員が述べたように、控訴審でより明確に証明する努力がなされていくだろう。

 

 私たちは、尹議員が日本軍「慰安婦」問題解決のために、いかに私心なく、献身的に、潔癖に活動してきた運動家であるかを、自らの目で見てきた証人として、控訴審でより公正な判決が出されることを心から願う。

 

2023年2月10日

 

日本軍「慰安婦」問題解決全国行動

プロパガンダについて学んでほしい

当たり前の確認

 

講義で伝えたことの一部

 

小泉政権以降、そしてとくに安倍政権以降、平和憲法をないがしろにして「戦争をする国」に日本が急速に変化してきている。自衛隊の派兵、集団的自衛権、安保政策の大転換、軍事費増強、ミサイル対策、オスプレイ配備、先制攻撃可能化(敵基地攻撃)・などが進んでいる。特にロシアのウクライナ侵攻以降、大衆的な不安感い付け込んでの戦争準備化が進んでいる。またどこの国も、「情報戦」が進んでおり、プロパガンダフェイクニュース、一般大衆も含む7SNSの動きを含んで、メディアによる大衆への洗脳合戦が世界的に巻き起こっている。トランプ大統領プーチン大統領などの勢力が、平気で「従来のメディアを疑え」「悪の帝国など裏で闇の勢力が動いている」等と言って陰謀論的なことを言い、荒唐無稽なことを信じる人々が一定増えている状況である。知れはコロナ禍でのワクチン問題などでも起こった。

ジェンダーの問題、ダイバーシティ社会になっていく問題において、この講義では、社会の主流(多数派)の宣伝・洗脳・情報コントロール、昔からの社会意識染められないよう/あやつられないよう、新しい時代に向けて自分の頭で考えて、おかしいと思う点を変えていく主体的な個人になろうということで、「主流秩序、ジェンダー秩序」という観点で考えることを提起してきた。主流秩序・ジェンダー秩序に巻き込まれないよう、メディアや教育などを通じた「主流、多数派、支配者、権力者」などによるコントロールを見抜けるようになろうという話と、上記の戦争に近づく時代の社会の雰囲気づくりの問題、フェイクニュースプロパガンダに操られるなという問題とははつながっている。

したがってここでは、戦争へのプロパガンダのやり方を知って見抜けるようになるという問題を扱いたい。いいかえればこの「戦争へのプロパガンダ」の学びはジェンダーなど人権問題についても歪んだ情報に洗脳されない力をつけることにつながる。

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日本政府(国家安全保障戦略)は「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境悪になっている」として、軍事力拡大を進めている。中国、ロシア、北朝鮮という核保有専制国家に囲まれ、台湾有事がありうる、ロシアや北朝鮮からの攻撃もありうるようなことがまことしやかにいわれ、メディアはそれらをうのみにして、そうした意見を言う人物ばかりを登場させ、ほとんど無批判に報道し、多くの国民はそれに影響されて、右傾化した意識になっている。「有事と平時の境界があいまいになっている」という話から宇宙軍創設やサイバー情報戦対応の軍事力強化の話になっている。中国の軍事力が強化されたために対話への武力的統一行動があるかもしれない、その際には日本も米国と戦わねばならないという話になっている。結果として軍事関係が大儲け/拡大する構造、軍事予算の拡大が進んでいる。

しかし冷静に考えて、中国が武力で米国、台湾、日本、韓国軍などと戦争を本格的にする可能性は低い。ロシアや北朝鮮から日本への軍事攻撃・軍事侵攻の確率はほとんどありえない。米国のシミュレーションでも、中国の軍事的勝利はないとしている。

そして「戦争にならないための努力が大事」という、それ自体正しい命題を、現在の日本の政治家やメディアは「日本が軍事力を強化して、戦争抑止能力を高めねばならない」という話にすり替えている。

これがおかしいのは、「男性からのDVがおきないようにするには、女性(妻)も武器を持ったり格闘技を習ったりして、男性からの暴力を抑制させる必要がある」「いじめを起こさせないためには、被害者になりうる人が武器を持ったり格闘技を習ったりして、いじめ加害者からの暴力を抑制させる必要がある」というのがおかしいことからわかるはずである。

戦争を抑止するには、武装したり軍事演習を見せつけて威嚇・挑発することではなく、日ごろから相手となかよく交流し、文化的経済的政治的に深い関係を作り、話し合い、過剰な対立にならないようにすることが必要である。

だが政府が言う「抑止力」とは「相手が耐え難い代償を払うことを理解させ、侵略を思いとどまらせる力」と言うように、単純に軍事的な脅しの力に限定してしまっている。「軍事大国化を目指す政治勢力自衛隊防衛省軍需産業などの勢力」の意向の人物が描いた文章に過ぎない。

だが無能なメディアはそれをうのみにして報道する。国会でも多くはこの土俵に乗って話をする。

プーチンウクライナ侵攻はもちろん不当なことであるが、それがおこったのは、ウクライナを含む国際社会が、「侵攻すればロシアに大きな代償が払わされる、と思わせられなかったからだ」「だからもっとまえから徹底的にNOTOを拡大させ、ウクライナを武力的に強大化させていればよかったのだ」という総括はまちがっている。それは上記の「武力拡大しか抑止の道はない」という考えである。

だが少し考えればわかるように、教室内や家庭内で皆がナイフや銃やスタンガンなどの武器をたくさん持てば持つほど、暴力衝突が抑止されるというのはおかしな話である。

むしろ、米国より日本社会が「まし」なのは、普通にはだれもが銃をもてないからである。日本社会も、憲法に則って軍事力を持たない社会になってこそ平和が維持されるという考えは十分現実的であるが、今では深い検討も、非暴力主義も、歴史も学ばずに、平気で「お花畑の理想論」として議論の枠にいれないようにされるだけである。誠実に耳を傾けるのでなく、DV的に、嘲笑し論破したらいいと思っている。顔を上気させて、どうだと言わんばかりに。

そんな社会情勢において、皆さんは、もう一度自分で、考えてほしい。軍事力強化、先制攻撃肯定、核武装肯定で、本当にそれが戦争の抑止になるのかということを。そしていったん戦争が始まれば勝つことが大事となって、ナショナリズム一色で戦争体制になって、反対論を封殺する社会になることに加担するのかということを。

広い意味で、フェイク情報、プロパガンダを見抜けないと、主流秩序→ジェンダー秩序にとりこあmれてしまう。だからこそ、「ル・ボンの群衆論」やその他社会学で示されている様々な支配の仕組み・方法(今回示したもの)を見抜くような力をつけてほしいし、この戦争問題でまずプロパガンダの基本を学んでほしい。

広い意味で、フェイク情報、プロパガンダを見抜けないと、主流秩序やジェンダー秩序にとりこまれてしまう。だからこそ、「ル・ボンの群衆論」やその他社会学で示されている様々な支配の仕組み・方法(今回示したもの)を見抜くような力をつけてほしいし、この戦争問題でまずプロパガンダの基本を学んでほしい。

 

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加害者プログラムと被害者支援の関係――DV対策の新展開を目指して

大阪弁護士会の人権活動を広く市民にアピールする「人権フェスタ」で、伊田

「加害者プログラムと被害者支援の関係――DV対策の新展開を目指して」というテーマでZOOMで話をします。

 

2月4日に伊田がはなす講演の聴方法

 

の以下QRコード記載の大阪弁護士会のホームページに行くと、当日特設ページがアップされます。

https://www.osakaben.or.jp/festa/

 

そこからzoomで視聴できるそうです。

当日にならないとそのページが出てこない、となっています。

ということで当日13時直前にZOOMに入ってもらうことになるということです。

 

トピック

◆トピック

  • 「エルピス」・・・ テレビ局に働く人にも生活がある。君は金持ちの坊ちゃんだけど、普通の人は家族がいて食べていかないといけない。みんな妥協して生きていくしかない、という浅川の言い訳。

孤立していても、怖くなかった。浅川を信じる気持ちがあったから。その信頼がなくなってから、それが分かった。

 

  • 最高裁2022年7月、伊藤詩織さんの性被害、元TBS記者への賠償命令が確定

 山口氏が同意なく性行為に及んだと認定して約332万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した。

 

  • 防衛予算倍増 世界第3位の軍事大国へ 
  • 建設国債発行(その他、復興所得税利用など)へ 安保法制の時には敵基地攻撃(先制攻撃的行為)は米軍任せであり日本はしないと言っていたことを変更。つまり嘘(前言撤回)を平気でいう政治。その時任せの政治家の言葉。安全保障(国民の命を守る)という美名で、裏で予算増えて大喜び大儲けの人々がいることを見抜かない大衆。今、軍拡右派や防衛相・自衛隊や兵器産業はウハウハ。軍拡・軍事費急拡大急ぐ必要まったくないが、いまウクライナ北朝鮮ミサイル利用して「防衛費増やせる」空気なのでこの機を逃がさずイケイケどんどんのプロパガンダ政治。子供子育てなど全く後回し。財源全く足りず借金雪だるま状態の中で、軍拡などもってのほかなのに。

ジェンダーというのは共同の意識(幻想)の一種  皆の意識が変わると変わっていく 周りがそれを教えるとそれを信じていく おなじことが日々色々起っている 防衛費でのこの洗脳状態を見ると「社会意識(群衆)のコントロール」「プロパガンダの容易性」が簡単であることが思い出される。

 

防衛増税自民党安倍派は、増税でなく国債発行で防衛費をまかなえという(安倍氏の考え追随)。国債累計が世界最悪、過去最高の中(第6回資料)、しかもコロナで国債発行が激増の中、もっとも無責任な政治。(過去の借金の利子払いが家計の3割で、さらに贅沢するために借金しまくるバカおやじがいる家庭で、とりあえず毎日家族全体で贅沢する生活と同じ。みな、馬鹿か?)

  そもそも防衛費を上げる必要ないという意見がかき消されている。増税国債もどちらもダメという意見もないかのよう。テレビでもネットでもほとんど見ないでしょ。軍事日本の太平洋戦争第二次大戦の反省は、国債で防衛費を無尽蔵に増やしたこと(戦後1966年に福田大蔵大臣も「防衛費は消耗的な性格を持つ。国債発行対象にすることは適当でない」と言明)。だからそれは禁じ手だったのに今回歴史無視して簡単に戦前と同じ轍を踏んだ。軍部暴走の歴史と同じ道。

 

1億円以上の収入の人の税率が低すぎたので、そこを上げる案が出ているが、金持ち優遇を見直すのは当然だが、30億円以上の人だけ少し増税と言いうのは、金持ち優遇維持なのに、だまされている。

 

この報道状況・政治状況のおかしさを見抜き、だまされずに、支配者に洗脳されないために、もう一度自分の頭で考えてほしい。ジェンダーという共同の思い込みを見直すことと構造は同じ。 こういう意見は少ない時代になりましたが、大学で学ぶというのは冷静に考えるということなので、考えてみてほしいです。私は皆さんに「殺しあい、戦争したいのですか」と言いたいです。「死ぬな、殺すな」と言いたいです。ウクライナを見ても分かるように、戦争になると殺し合いが続き、民間人の生活も苦しいことが続きます。家の中にナイフや金づちが1本あるのは分かるが、ナイフ100本、拳銃100丁、手りゅう弾100個準備し、要塞化する必要があるのかということ。

この状況は、まさに第9回で示した「国会は形式的承認機関」「ディスインフォメーションによる大衆操作」「ストコーマによる大衆操作」「パタフィジックによる大衆操作」「アストロターフィングというヤラセの手法(偽の草の根運動)」「B層の利用」、「衆愚政治」「ジンゴイズム」(人種差別)「テロやミサイル発射で本当は喜ぶ人」「危機を煽る目的」「戦争の目的と結果」「先軍政治的議員」「ショックドクトリン」「惨事便乗型資本主義」「偽装右翼」というものが展開されている状況です。

 

  戦争という主流秩序へ加担した責任、をなきものにしない、という姿勢 それは後の世界をよきものにするためである

 

  • 『作りたい女と食べたい女』(つくたべ) ・・レズビアン的関係の話

ワールドカップと人権: スポーツ選手と政治的な意見表明の責任の問題

2022年11月26日

カタールW杯とFIFA―― スポーツと政治

 ドイツなど選手の高い意識に対して、日本の政治への無関心が浮き彫り

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ワールドカップと人権: スポーツ選手と政治的な意見表明の責任の問題

 

W杯開催前のコメント

以下のCNN記者記事、CNNですから、日本社会のメディアとかなり論調が違いますよね。

日本のメディアに慣れていると、こうした主体的な個人的意見がほとんど目に入りません。

大坂なおみさんのBLM行動にも、日本では「スポーツに政治を持ちこむな」という批判が多くあり、大坂選手のサポート企業も腰が引けていました。

でも東京オリンピックでもワールドカップでも、もはや、選手たちは、差別(主流秩序)に黙っていて「加担する」のか、声を上げて「抵抗する」のか、問われているのです。

以下の記事にあるような、オーストラリアのチームやその他、各国でカタール問題の告発や抵抗が始まっています。

さて、日本政府や日本のサッカー協会、日本の代表チーム、選手たちは、カタールの問題に発言するでしょうか。

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◆以上のように、W杯開催前に書いていたが、その後、各国の選手などが政治的な意見表明をする中、日本はまったくそういう動きなし。国内のメディアも政治的に鈍感で、日本政府や日本サッカー協会や選手への批判は全くなく、主流秩序に従属する感覚のまま(政治にかかわらないという無関心・傍観者的態度)。ドイツに勝った後、「日本賞賛ばかり」という報道。

 

カタールでは、イスラム法(シャリア)で不道徳だとされる同性愛関係を違法と定めており、刑罰も罰金から死罪まである。カタールのW杯アンバサダーが、ドイツのテレビに出演した際、同性愛は「精神の傷」だと発言。同国元代表のハリド・サルマンはドイツ民放ZDFのドキュメンタリーで、LGBTQ+の人々は「我々のルールを受け入れるべきだ」と語った。

ヒューマン・ライツ・ウオッチは先に、カタールの治安部隊が同性愛者やトランスジェンダーの人々を拘束し、強制的に転向治療を受けさせているケースもあるという報告書を発表。

カタールについては、これまでの人権侵害や出稼ぎ労働者の取り扱いについても批判の声が上がっている。

  • 物議を醸した招致

カタールは、大規模なスポーツの国際大会を招致するのには不適切な場所であるのに、招致を勝ち取ったのはは買収など不正な方法ゆえであった。金まみれでの、カタールFIFAの癒着という構造。

 

  • FIFAの問題、FIFAによる規制、政治表現批判

カタールの招致に同意した国際サッカー連盟FIFAカタールと癒着したことが暴かれるのを嫌がり開催批判を嫌って、政治的活動を抑圧・批判する動きを行っている。FIFAは先に、出場国に対して、「今はサッカーに集中する」よう求めて、事実上、開催までのカタールの問題に言及するなと主張。

カタールでのW杯開催は、FIFAが2010年に発表して以来、大きな批判を招いてきた。

ドイツなど欧州の7チームの主将が、LGBTQ差別反対などを訴えるため、多様性の尊重を象徴するカラフルなハートマークと「One Love(ワンラブ)」との文字をあしらった腕章の着用を予定したことに対し、FIFAは「着用すれば、警告など競技上の制裁対象とする」方針(イエローカード)をFIFAが示した(事実上の禁止)。そのため、欧州の7チームの主将らは着用を見送らざるをえなくなった。FIFAは理由を明らかにしていないが、開催国カタールに配慮したと受け止められている。

少し絵には批判を受けて、当時、国際サッカー連盟(FIFA)の会長だったゼップ・ブラッター氏は「(カタールでの開催決定は)間違いだった」と発言した。安直な判断だったと認めたわけだが、それだけだった。

責任を問われるべきは開催国のカタールであり、開催にお墨付きを与えたFIFAといえる。

 

前回W杯を開催したロシアが、自らが起こした戦争によって今回のW杯欧州予選から除外されたことは、サッカーと国際政治のダイレクトな結びつきであり、FIFA自体が矛盾している。 

FIFAも、2006年のドイツ大会で、競技会場に大会を主催するFIFAのメッセージとして「SAY NO TO RACISM(人種差別に“ノー”)」が掲げられ、選手たちも人種差別反対の宣誓をしたこともあった。矛盾だらけ。

 

 

そんな中、大会が始まってFIFA会長ジャンニ・インファンティーノが、カタール批判は西側諸国の「偽善」と批判し、カタールとW杯を擁護して物議をかもしている。「私たちは欧米人や西側諸国から多くの教訓を学んできた。私は欧州人だ。我々は道徳について説教をする前に、世界中で3000年間やってきたことに対し、今後3000年間、謝罪し続けるべきだ」という論理を言ったが、西欧の植民地化などを反省するからこそ、現代の人権問題にも積極的になるべきであるのに、FIFAは歴史を逆戻りさせる居直りの姿勢を見せた。

背景には、招致における買収、癒着や不正のほかに、FIFAが中東のオイルマネー依存を高めていることがある。中東湾岸諸国は近年、ヨーロッパのクラブチームに巨額投資をくり返している。豊富な資金力で世界中からスター選手を集め、ヨーロッパのサッカーは活気づいている。またカタールは、W杯をおこなうことで、ホスピタリティ、次世代型の洗練された都市の設備で湾岸諸国の国際的評価を押し上げている。サウジアラビア2034年アジア競技大会の招致に成功させており、スポーツ部門が経済的政治的長期的戦略の一部となっている。

FIFA憲章には「国際的に認知されている全ての人権を尊重することを約束し、これら人権の保護を促進することに努める」とある。FIFAが制裁をちらつかせて、イングランドなど欧州7チームの主将に多様性や差別撤廃を訴える「One Love」の腕章の着用を断念させたことは、FIFA憲章に反しているといえる。

  • ドイツ:

ドイツ代表が日本との試合前に手で口を覆って集合写真を撮影。性的少数者らへの差別撲滅を訴える腕章を着用することを禁じた国際サッカー連盟FIFA)の「口封じ」に抗議の意思を示した。インスタに「腕章を禁止することは、私たちの発言を禁じることと同じだ」とのコメント。ドイツのフェーザー内相はこうしたFIFAの判断を「大きな過ちだ」と批判し、腕章を身につけて観戦。フェーザー氏が腕章を着用したままFIFAのインファンティノ会長の隣に座った。

11月23日に日独戦でドイツが敗れた原因について、ドイツの公共放送ZDFは、FIFAにアームバンド着用を禁じられて選手が落ち込んでいたことが原因と指摘しつつ、スタジアムで観戦していたドイツの内相がアームバンドを付けていたのが唯一の慰めだったと評価。

  • イラン:

イラン代表、公然と政府に反旗:国歌の演奏が始まっても口を真一文字に結んで歌わず。ヒジャーブ規則に違反したとしてマフサ・アミニさんが道徳警察に殺害されたことへの抗議運動への連帯。個人としても、イラン代表のエジサン・ハジサフィがイランの反ヒジャーブデモを支持すると表明、元バイエルン・ミュンヘンアリ・カリミSNS上で抗議の声を上げ、伝説のストライカー、アリ・ダエイも賛同。サッカー界では、国内リーグではゴール後の喜びやパフォーマンスを封印。サッカーだけでなく、バスケットボール、バレーボール、水球などは、最近の試合で国歌を歌わないなど、反ヒジャーブ運動でスポーツ界も協力。

  • オーストラリア

キャプテンのマット・ライアン選手らオーストラリア代表16選手がカタールを批判する共同声明を出した

彼らはカタールで苦しめられている労働者に向けた状況の改善と、あらゆる同性関係の非犯罪化を呼び掛けた。

オーストラリアでは、ジョシュア・カヴァロ選手が男子トップリーグの現役選手として唯一、同性愛者であることを公表している。同選手は、オーストラリアU-20代表に選ばれている。

 

 

  • 抗議の諸活動・発現

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチHRW)やアムネスティ・インターナショナル、 LGBTQ+(性的マイノリティー)活動家はカタール批判。ヒューマン・ライツ・ウオッチは先に、カタールの治安部隊が同性愛者やトランスジェンダーの人々を拘束し、強制的に転向治療を受けさせているケースもあるという報告書を発表。

、ヒューマン・ライツ・ウオッチによる「#PayUpFIFA」キャンペーン

 

イングランドウェールズを含む欧州の10のサッカー協会も「人権は普遍的で、どこでも適用される」ものだと述べた。イングランドウェールズ、ベルギー、デンマーク、ドイツ、オランダ、スイスのサッカー連盟は共同声明で、「FIFAは、われわれのチームの主将がフィールドでこの腕章を着用した場合、スポーツ制裁を科す意向を明示している」と説明し批判。

デンマーク代表によるモノクロの「抗議のユニホーム」

オランダ代表のルイス・ファンハール監督は、国際サッカー連盟(FIFA)が説明したカタール開催の理論的根拠を「でたらめ」と一蹴

W杯欧州予選の初戦で、ドイツ代表とノルウェー代表は「HUMAN RIGHTS(人権)」の文字が書かれたシャツを着用

デンマークは、カタールにおける人権侵害に抗議するため、「トーンダウン」したユニホームを着用すると発表(のロゴやメーカーのロゴが見えにくいデザイン)

イングランドを含むヨーロッパの出場10カ国の選手たちは、カタールの同性愛に関する法律への抗議として、「One Love」と記された腕章を着用する予定を示した。

 

  • 国によって濃淡

積極派 

オランダサッカー協会は声明で「多くの人の心をつなぐというスポーツの精神に反する」とFIFAの腕章禁止に不満表明。ドイツサッカー連盟はこうしたFIFAの動きに対して、「検閲だ」と強く批判。

オーストラリア・サッカー連盟は、労働者やその家族がW杯で感じる「苦しみ」は「無視できない」とし、カタールのLGBTQ+に関する法律も批判。

パブリックビューイング(PV)を実施しないと宣言する都市が欧州で相次いでいる。(バルセロナやフランス、ドイツ:ケルン)

バルセロナのコラウ市長は、「民主主義的価値や平和、人権を高める世界的スポーツイベントが独裁国家で実施されるのは間違いだ」と発言。今回のW杯のために税金や公共施設を使うことは「人権を侵害する国の共犯者になる」とカタールでの開催に強い異議を唱えた。

 

主要な都市(パリ、マルセイユストラスブール、リヨンなど)が次々と公共の場でフランス代表の試合を中継しないと宣言

 

少し消極的

米国や英国のサッカー協会は、少しのかかわり

イギリスのジェイムズ・クレヴァリー外相は、カタールでW杯を観戦するイギリスの同性愛者のファンについて、「柔軟性と妥協」を示すべきだと発言し、批判を浴びた。

 

全く無関心派

日本サッカー協会JFA)も選手も政治的動き皆無: 

日本サッカー協会は、静観の構えで何も動いていない。PayUpFIFAキャンペーンへの支持を出してない。声明も出していないし、ユニホームや腕章も何もしようとしていない。PVも無批判に設置。無邪気に応援のみ。

日本協会の田嶋幸三会長が、W杯開幕後、人権問題に対する抗議活動の高まりについて報道陣に問われ、田嶋氏は「差別や人権の問題は当然、協会として良い方向に持っていきたい」と言及。その上で「サッカー以外のことで、いろいろ話題にするのは好ましくない」と述べた。

つまり「サッカーに政治を持ち込むな、カタール批判するな」というFIFAに従属してしまっているのが日本の現状。選手個人からも声は上がっていない。

JFA日本サッカー協会)が出した『Japan’s Way』では、「イングランドにジョンブル魂があり、ドイツにゲルマン魂があるとしたら、我われ日本サッカーにはその根底には『サムライ魂』・『撫子魂』が宿り、そのアイデンティティの上にすべてのものは重なっている、と述べるような、ダイバーシティがわかっていない表現をしている状況。(民族的にエクスクルーシブな白人観点だから)

 

ただしアメリカでの黒人差別をきっかけに、人種差別に対する抗議を意味する行動として広まった「片ひざをつく」ポーズが広がったことに共感し、日本の女子サッカーも、2021年東京オリンピックで、片膝をつくことはした。

 

 

  • 消極的動き・静観はスポーツウォッシング二加担

それに対して、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」アジア局プログラムオフィサーの笠井哲平さんは「声を上げなければ、スポーツウォッシングに加担する恐れがある」と警鐘を鳴らした。

 「きれいごとで塗りつぶす」という意味のホワイトウォッシングという言葉をもじり、上辺だけの環境保護をグリーンウォッシングと表現するが、そのスポーツ版が「スポーツウォッシング」である。

 具体的には、オリンピックやW杯など大規模なスポーツイベントを開催することで、国内の不都合な問題を覆い隠そうとする行為を指摘する際に使われる。新型コロナウイルス禍での開催を巡り賛否が割れた東京五輪や、新疆ウイグル自治区での人権問題が批判された今年の北京冬季五輪を巡る報道などでも登場した。「スポーツは楽しめばいい、人権問題などで水を差すのはやめよう」、という状況になったら、それはスポーツウォッシングの効果といえる。

 

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考え方――「スポーツに人権・政治を持ち込むな」の時代限界性

政治に関係のない、客観的で中立な個人は存在しない。自分自身を語る時、特定の意味が必ず個人に背負わされてしまう。その個人が複数集まる時、政治は必ず起こっている。政治と人権は別物というのも、論理的には無理な主張。

誰が何を持ち込ませたくないのかに注目すべき。

 アメリカでは黒人男性が警官から暴行を受けて死亡した事件をきっかけに人種差別への抗議活動の意識がスポーツ界にも広がり、オリンピック憲章の緩和にもつながった。オリンピックは世界最大のスポーツ大会であり、かつ世界への情報発信の場でもあることから、一流のアスリートが競技会場で抗議表明することで、より多くの人に差別への抗議を届けることにつながると考えられるようになった。ヨーロッパではEUがスポーツ界での人種差別の撤廃を強く呼びかけていて、各スポーツ大会などで選手が意見を述べることの後ろ支えになっている。

米国では2016年、アメリカンフットボールのコリン・キャパニック選手が人種差別に抗議して国歌斉唱中に片膝をつくパフォーマンスを始めたのをきっかけに、競技を問わず、人種差別に抗議の意思表示をするプロスポーツ選手が増えている。テニスの大坂なおみ選手が昨年の全米オープンで、警察による暴力の犠牲となった黒人の名前をプリントしたマスクを着用して試合にのぞんだパフォーマンスを行い、賞賛を日た。

むかしは抗議パフォーマンスをする選手に世論も厳しかったが、世界的に広がった「BLM」(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命も大切だ)抗議デモなどを機に、世論が急速に変化。今は、選手の抗議パフォーマンスを容認するだけでなく、むしろ、著名アスリートは人権問題の解決のため、その影響力を積極的に行使すべきだとの意見も多くなっている。

 

背景――企業の戦略と人権の絡み合い。

BLACK LIVES MATTERに呼応する膝つきのパフォーマンスが許されているのは、これを最初に行った(NFL選手の)コリン・キャパニック以降、(キャパニックをサポートする)ナイキが取ってきたポリティカリーコレクト(政治的に寛容)な路線が、グローバル資本主義における1つのエモーショナルな商品になるからという面もある。のブランドイメージが上がり、政治的に正しい方向に進むという時の資源になる。

 

 

オリンピック憲章で禁止されている表彰式などでの抗議表明

国際オリンピック委員会IOC)がこのほどルールを変更し、選手が競技場内で政治的な抗議パフォーマンスをすることを認めた。

そのためサッカーなどでの片膝をつくパフォーマンスの人が理があった。
陸上女子砲丸投げに出場し銀メダルを獲得したアメリカのレーベン・サウンダース選手は、表彰台での写真撮影で、両手を頭の上に挙げて交差させ「X」の形を表すポーズをとったりした。「抑圧されたすべての人々が出会う交差点」として“連帯”を示したということで、サウンダース選手は自身のSNSにこの写真と共に「黒人や性的マイノリティーは美しく価値がある。あなたが精神的に苦しんでいれば私はあなたのために戦う。『X』で会いましょう」などと投稿した。

 

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こうした政治的な動きに批判的なメディアの報道もある

以下のような、政治的表明をしたドイツを揶揄するような報道もある。政治にかかわらないスタンスからの報道。FIFAのごまかしの主張に無批判なナイーブな(政治的に幼稚な)報道もある。

 

  • 「政治問題で「競技は二の次」?  集合写真でパフォーマンス W杯サッカー敗戦の独で反省(時事通信)」

。「サッカーという競技は二の次だった」(独誌シュピーゲル)のかもしれないと反省が噴き出している。

 

・・・インファンティーノ会長が想定外の長時間の演説の中で、ヨーロッパのイスラム世界に対する独善的態度と、過去の植民地での人と物の略奪行為を謝罪しようとしない姿勢について「偽善」と言及したのは一理あるといえそうだ。

 

  • アザールFIFA批判→日本に足をすくわれたドイツをチクリ「我々は政治的なメッセージを送るためにいるのではない」【W杯】」

11/25(金) 14:35配信

 ベルギー代表の主将エデン・アザールが、ドイツ選手の写真撮影での行為に対して感想を求められて、「彼らはそんな行為をせず、(試合に)勝ったほうが良かっただろう。我々はサッカーをするためにここにいるのであって、政治的なメッセージを送るためにここにいるのではない」と語った。 ・・・アザールは欧州のライバルが日本に足をすくわれたのは、目の前の試合に100%集中できていなかったのが一因だと考えているようだ。 

 

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◆そういう状況を批判した記事(稀有)

「不都合を覆い隠すな 「スポーツウォッシング」に警鐘 サッカーW杯」

田原和宏    毎日新聞 2022/11/26 11:30

 

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●のんきなルッキズムの記事

*「国際映像に映った日本人女性サポ、フォロワー増加 国内外から絶賛の声「とっても美人!」」2022 11/25(金) 14:35配信 

・・この映像には国内外のファンが反応。「美しい」「ショーノちゃんまじ美人だろ」「流石メイド界のボランチ」「かわいいなあ」「とっても美人!」「可愛いって全てを凌駕するね」「幸せ」などのリプライであふれていた。

 

*【PHOTO】カタールW杯のスタンドを華麗に彩る“美しきサポーターたち”を厳選!

2022年11月24日 サッカーダイジェスト

https://www.soccerdigestweb.com/topics_detail9/id=120793&repeatCnt=1

 

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以下、参考記事

  • FIFAが禁止した腕章 ドイツ内相が着用し観戦、選手も口覆い抗議

2022 11/24(木) 11:14配信(毎日新聞

  • W杯】全員手で口隠し…ドイツ、キックオフ直前写真撮影で差別撲滅訴える行為禁止に無言の抗議

[2022年11月23日23時28分]

  • カタールW杯、その実態に非難の声を上げよう

2022年11/4(金) 20:03配信

サッカー豪代表チーム、W杯開催国カタールを批判 人権侵害と

2022年10月27日

W杯出場チーム、「ワンラブ」腕章の着用断念も別の手段で抗議の意(ロイター映像ニュース)

 

カタール元代表が同性愛差別発言、W杯開催を前に批判相次ぐ

2022年11/9(水) 12:28配信 (c) BBC News  

 

カタールW杯に抗議 欧州「PVボイコット」相次ぐ 劣悪な労働環境「人権侵害」 サッカー

朝日 2022年11月9日 16時30分

 

「サッカーに政治を持ち込むな」の根源的矛盾。人種差別、ロシア除外、Japan’s Wayに潜む複雑性

邨田 直人2022.11.21

 

【W杯】イラン代表が公然と政府に反旗、国歌演奏始まっても歌わず 反ヒジャーブ運動の一環

[2022年11月21日22時3分] (ロイター)

 

治問題で「競技は二の次」?  集合写真でパフォーマンス W杯サッカー敗戦の独で反省

11/24(木) 13:40配信

 

LGBTQ連帯の「差別撲滅」腕章、FIFAが禁止…カタールに配慮か

11/24(木) 5:00配信

 

サッカー=FIFA会長、W杯中のウクライナ侵攻停戦を希望

By Reuters Staff

 

FIFA、ロシアでの国際大会禁止 W杯に言及なく対戦国から批判も

有料記事ウクライナ情勢

遠田寛生2022年2月28日 8時01分

 

オリンピック 選手が人種差別などに抗議表明 背景は?

2021年8月10日 NHK 

 

東京五輪、選手の抗議パフォーマンス解禁 政治的メッセージ、発しやすく

猪瀬聖ジャーナリスト/翻訳家2021/7/12(月) 17:30

 

W杯開催のカタール、移民労働者らへの人権侵害 欧州議会が非難決議

2022 11/25(金) 0:48配信

 

(社説)W杯開幕 問われる公共性と責任

朝日新聞2022年11月21日 5時00分

 

FIFA会長、カタール批判は西側諸国の「偽善」 W杯開催国の人権問題めぐり

2022 11/20(日) 18:44配信

 

偽善とFIFA会長は喝破、欧州「カタール批判」の矛盾中東のオイルマネーへの依存度は高まるばかり

安部 雅延 : 国際ジャーナリスト(フランス在住) 

2022/11/25 5:00

 

国際映像に映った日本人女性サポ、フォロワー増加 国内外から絶賛の声「とっても美人!」

2022 11/25(金) 14:35配信 

【PHOTO】カタールW杯のスタンドを華麗に彩る“美しきサポーターたち”を厳選!

2022年11月24日 サッカーダイジェスト

 

 

アザールFIFA批判→日本に足をすくわれたドイツをチクリ「我々は政治的なメッセージを送るためにいるのではない」【W杯】(SOCCER DIGEST Web)11/25(金) 14:35配信

 

不都合を覆い隠すな 「スポーツウォッシング」に警鐘 サッカーW杯

田原和宏 

毎日新聞 2022/11/26 11:30(最終更新 11/26 11:30

「ひろゆき」問題と神戸金史さん、そして主流秩序

ひろゆき氏の暴言もんで芋、主流秩序のひとつでうs。

沖縄を47都道府県の一番下に置き基地を押し付ける序列です。

強い者の側にいることは、特権であり、楽であるmというのも、 黙っていると賛成したことにされるから、というのも、まさに主流秩序へのスタンスの話です。

 

ひろゆき」氏の沖縄の反基地運動・揶揄で、ネットでは色々な意見が飛び交いました。

沖縄を47都道府県の一番下に置き基地を押し付ける序列。そして一生懸命生きている人の気持ちを大事にできずに、表面的な理屈で「言い勝った=論破」とかにこだわる、この社会の底の浅い人間関係。其れは主流秩序そのものです。

そのあたり、以下の紹介記事は適切に指摘しています。日本社会を理解する重要問題です。そして自分が「沖縄を差別しているということにさえ気づかない鈍感さ」の問題です。ひとゆき氏の言い分に賛同している人は考えてみてください。

強い者の側にいることは、特権であり、楽である。

 黙っていると賛成したことにされるからこえをあげる。

 

ひろゆき氏には、「自分に見えていない何かサムシング」があるという謙虚さがなく、またたとえ自分がわからないとしても、相手をばかにせず、共存すればいいのに、全くダイバーシティではなく、時々は良いことをいったり、常識批判みたいなことも言いますが、基本、金もうけに走りつつの、ネット・メディアでの主流秩序の勝ち組志向の人で、主流秩序の維持に加担していると思います。

 

社会を良いものに変えようとか、自分たちの主張を社会にひろめようと思っても、実は簡単ではありません。「ひろゆき」氏は、少しツイッターに書けば多くの人に影響を与えられる特権を持っています。しかし多くの人や社会運動はそうではない。野党がいいことを言っても、なかなか注目されない。その現実を知れば、うまくいかない社会運動を上から目線で冷笑するとか批判するなどできるはずがないのです。

沖縄の反基地運動を、「こうすれば、共感してもらえるよ」「本土の人はこう理解すべきだよ」と提案するならともかく、その運動のやり方を冷笑するだけで、自分は、むしろ、結果的に、右翼や政府・自民党公明党・維新等の「沖縄攻撃」「沖縄への基地押し付け」「沖縄差別」に加担することになっています。そしてもちろん本土人多数、46都道府県の人による「沖縄差別」をさらに強めてしまいました。

それさえわからないのは、全く自分の言動の位置、社会への影響が見えていない。

愚かとしか言いようがないですが、そういう「底の浅い人」が多くいるのが今の主流秩序の社会です。でも、そうではなく、自分で考えて、少しは人の痛みを分かる人になるチャンスがわたしたちにはあるのです。

 

前回紹介した北原みのりさんや、今回紹介したRKB毎日放送の神戸金史さんのような、魂のこもった言葉が出てきているのが希望です。

 

ひろゆき氏ツイートに思う「#沖縄の皆さんに本土からごめんなさい」 |

 TBS NEWS DIG

 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/176666?display=1 

RKB毎日放送  2022年10月12日(水) 14:17

 

沖縄の基地反対行動に関するひろゆき氏のツイートが議論となっている。RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』のコメンテーターを務めるRKB報道局の神戸金史解説委員は「同じ“本土生まれ”として、申し訳ない気になった」という。11日放送の番組で運動論と、歴史の面から思うところを語り、「ごめんなさい」と繰り返した。

#沖縄の皆さんに本土からごめんなさい

◆座り込み抗議 誰もいない?

沖縄・辺野古の座り込みが長く続いています。現地には「新基地断念まで座り込み抗議 3011日」という看板があります。数字だけ毎日張り替えていくんですけど「2ちゃんねる」の創設者で多くのメディアに出演しているひろゆき西村博之)氏がそこに行って、ピースサインをしながら笑っている写真を投稿しました。そこに書いてあった文章は――。


座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?
(10月3日午後6時)

「いないんだから、続いてないじゃないか」ということなんでしょうけども、28万5099件の「いいね」がついていました。これに対して、すぐにこんなツイートが寄せられています。

沖大学生自治会(@okidaijichikai) 辺野古の座り込み行動は、工事のための車両が来る9時、12時、15時に合わせて行われます。なので、次の日も座り込みをするために、夕暮れごろには誰もいないということはよくあります。辺野古のことを真面目に考え、報道する姿勢がある人なら、こんな無責任な発言はできません。
(3日午後7時4分)

さすがのひろゆき氏、すぐにこれを引用リツイートしました。

埋め立て前の辺野古海岸に掲げられた反対幕(2014年)


「9時、12時、15時しか居ません」と書いてくれないと、わからないですよ。誤解する人が増えないように、書き足しておいて貰ってもいいですか?
(4日午前0時50分)

続いてのツイートには――。

『座り込み』
その場に座り込んで動かないこと。目的をとげるために座って動かない。知らない間に辞書の意味変わりました?
(4日午前11時2分)

なかなか不毛な話になってきている、と思って見ていました。

 

◆「痛みを伴わず平和だけを享受する人」

これに怒ってメッセージを発信している沖縄の方もいます。Facebookで見かけた文章を、プリントしてスタジオに持ってきました。


地上戦で県民の4分の1が犠牲になり(うちの祖父は家族8人亡くし、生き残ったのは3人だけ)、
数年前にうるま市で女性が米軍属に惨殺され、スーツケースにつめられて遺棄される(うちの子だって犠牲になるかもしれない)。
母校の大学にはバス並みの大きさのヘリが墜落する。

そんな恐怖が何十年も続いていて、何十年に渡り声を上げ続けてきて、それでも一向に声を聴こうとしない「痛みを伴わず平和だけを享受する人」が、「痛いって言ってもそんなんじゃ通じないよ。もっと痛いことが多くの人に伝わるようにしなきゃ」って。まるで「痛い」と言ってる人が悪いかの言説。

いつまで、どのくらいの声で、誰に「痛い」といえばこの痛みはきいてもらえるのか、どうしたら聞く耳持って、基地持ってってくれるんでしょうか…。(中略)ここ何日か本当に気持ちが重く辛いです。

 

2004年に米軍ヘリが落ちた沖縄国際大の現場跡に、残る黒く焦げた幹(2014年)


私は群馬県の生まれで、福岡に住んでいる、本土の人間です。私は「沖縄の皆さんに本土からごめんなさい」と伝えたいと思いました。いろいろな感情が沖縄にはあって、基地に「反対」「賛成」はきれいに切れるわけではないし、経済情勢がなかなか厳しくなってきた時には、基地反対を言うよりも経済を大事にしなきゃ、と思う場合だってあるわけです。

でもそれで「基地に賛成か」と言われたら、賛成でない人もかなりもちろんいらっしゃる。「基地よりも経済」と言う候補に投票したとしても、その人が基地に反対していないわけではないでしょう。全国の基地面積の7割以上が沖縄に集中しているわけですから、反基地の感覚は非常に強いですよね。そういう中で、難しい選挙を迫られたり、投票を迫られたりしてきた人たちのことを考えると、「申し訳ないな」という感じがしています。

 

◆「少数派」でも反対の声を上げる論理

「これをすれば勝てる」とか、「もうかる」とか、「新しい市場が作れるんだ」とか、そういう価値観とは正反対にある気がするので、議論をしたところで成り立ってないなという感じもします。


1995年に起きた「沖縄米兵少女暴行事件」の被害者は、当時12歳の小学生でした。集団強姦をされて、大変基地に対する反発が強まった事件ですが、時代は冷酷に進んでいきます。「そんなこと知らねえよ」という若い世代がどんどん多数派になってきているから響かない面もあると思うんです。それでも、「大事な言葉」はやはりあると思います。こういった人たちの気持ちを大事にしていきたいと思います。
今回は、本土の人間が「無神経」な発言をしたんだろうと思っています。言った人の気持ちも分からなくはないし、若い人たちも賛同して、28万人が「いいね」を押してしまうことも分からなくはない。でもその「いいね」がどれほど沖縄の人たちの心に傷を負わせているか。そういった配慮は何もないんだな、というのが私の印象です。

若い世代に過去の沖縄戦のことはなかなか通じないな、と思うこともあるし、少女暴行事件の記憶がない人たちに言っても、昔話にしか聞こえないかもしれませんね。語り継いでいくのは難しい。活動しているのも、年配の方が多くなっています。
10月8日に、大分県中津市の梶原徳三郎さん(84歳)とお会いしてきました。大分にある米軍基地の反対運動とか反原発運動とかに参加している方で「若い人に引き継ぐのは無理かな」とおっしゃっていました。しかし「なぜ、それでも座り込みをするのですか?」という質問に対して、こう答えました。

 

梶原:権力を持つ者がいろいろなことをやる。それに対して「それは間違っている」「そんなことはしてはいけない」と思えることには、ちゃんと「反対だ」という声をあげましょう。反対の声をあげない人は、おのずから賛成したことにされてしまう。「反対だ」と声を出し態度で示した人だけが、反対の人だとカウントされる。それ以外の人は全部賛成したんだ、と数えられる。
神戸:誰かが言わなければ、反対した人がいたことにならないわけですね?

嘉数高台公園から望む米軍普天間基地(2017年撮影)


梶原:そうなんですね。実際に、政府がやろうとしていることについて、反対の行動を取ったり声をあげたりする人は、常に全体の中ではやっぱり一部です。黙っている人と反対の声を上げてるのと、どっちが多いかと言えば、黙ってる人の方が多いわけですから。「声なき人の声を聴く」とすれば、どんな悪いことでも政治はやれる。とてもずるいやり方だと思いますけど、ずっとそれで来ていますよね。

梶原さんは「声を上げていないと、全員賛成だとカウントされてしまうんだ」と言っています。だから「こんな少人数で座り込みをして何の意味があるのか」と言われても、みんなの代わりに来て「反対している人がいる」ということは示しておく必要があるんです。梶原さんたちがいなくなった後、示せなくなったらどうするのか? ということは気になっているようでしたが。

沖縄に関しても、同じことが言えると思います。できる範囲で、トラックが来るところに合わせて座り込みをするというのも、年配の人が多いというのも、仕方のないことです。そこを揶揄するのは無神経だろう、と思うんですね。「本土そのもの」からの意見と言ってもいいかもしれません。本当に「沖縄の皆さんに本土からごめんなさい」と言いたいんです。

 

◆歴史の面からも「ごめんなさい」

沖縄に関しては、本土に生まれた者として、個人的に謝りたいことがいっぱいあるんです。

【現代】
・東村高江の牧草地に、アメリ海兵隊の大型輸送ヘリが不時着・炎上した事故(2017年10月11日)から、きょうでちょうどで5年。それに昨日気づいたんです。すっかり忘れていて、ごめんなさい。
・ヘリパッド建設現場に通じるゲートで、フェンスを挟んで工事に抗議していた反対派の人たちに向かって、警備の応援に来た機動隊員が「土人が」とか「黙れ、こら、シナ人」とか、ひどい言葉を言ってしまってごめんなさい。
・1995年に集団強姦されてしまった12歳の少女。今はどうしているのでしょうか。気になっています。本当にごめんなさい。
・日本各地の基地を撤去させたけど、実は米軍占領下の沖縄に移されただけでした。福岡からも、そう。自分たちの目の前から基地がなくなったことだけで喜んでいて、ごめんなさい。
・沖縄に基地を押し付けたくせに、本土に基地を引き取ることもせず、ごめんなさい。

沖縄の全自治体のトップらが上京してオスプレイ配備反対を訴えたデモを攻撃する垂れ幕(2013年)


沖縄戦
沖縄戦の不発弾が、まだいっぱい埋まったままになっていますね。糸満市の土木工事中にショベルの先端が不発弾に当たって爆発に巻き込まれた作業員の方、ごめんなさい。
・沖縄は、本土決戦の前に、時間稼ぎするための「捨て石」と位置付けられました。沖縄守備軍が住民ごと南部に避難したことで、多くの民間人を戦闘に巻き込んでしまって、本当にごめんなさい。
・北部の伊江島では100人を超す人が集団自決に追いやられました。降伏するくらいなら死ぬべきだという、軍の指導・命令があったからです。親に手をかけられた子供たち、悲しかったね。痛かったね。母親の命を奪った息子たち。つらかったね。本当にごめんなさい。

 

琉球王国
・もっとさかのぼって言えば、明治政府の廃藩置県は明治4年(1871年)でしたが、その4年後になって、明治政府は琉球王国琉球藩)を「沖縄県」としました(1875年)。本土では、これを長く「琉球処分」と呼んでいました。王の逮捕権まで織り込んでいた、武力による併合です。「琉球処分」という言い方自体が、無礼極まりない。本当にごめんなさい。
・にも関わらず1880年に、当時の中国(清国)に対して、明治政府は宮古八重山諸島を譲り渡す案を出しているんです。中国大陸で欧米並みの商売ができることと、引き換えでした(「分島・増約案」と言います)。本土の商売のために、沖縄県の西半分、宮古八重山諸島を中国に売ろうとしたのです。本当にごめんなさい。


・さらにさらにさかのぼれば、江戸時代初め(1609年)には、薩摩が琉球王国に攻め込んで、長い間支配下に置きました。搾取をずっと続けてしまって、本当に「沖縄のみなさん

に本土からごめんなさい」と言いたいです。

◆沖縄の高校生が学んだ『琉球・沖縄史』

長い歴史がずっとこうやって続いてきました。このことを、私は歴史学を学んできたので考えるんです。沖縄米兵少女暴行事件(1995年)の後に、こんな本を買いました。高校の副読本です。

 

沖縄歴史教育研究会 新城俊昭著『高等学校 琉球・沖縄史』
編集工房東洋企画・1997年刊

(神戸・註)放送では、新城(あらしろ)俊昭さんを「しんしろ」と言ってしまいました。大変すみません。

沖縄から見る、日本本土の歴史。豊臣秀吉島津斉彬……、沖縄に対してどういう態度でいたか、が出てきます。日本史を裏から見るとこんな風に見えるんだ、とよくわかります。琉球・沖縄について考えることは、日本本土を考えることにもつながるし、沖縄にかけられた負担とか、長い間の搾取とか、自分の身に置き換えて考えられるようになるのではないでしょうか。本当にいい本で、知らなかったことがいっぱい書いてありました。

1冊の歴史副読本で、明治以降だけで半分以上を占めているのは「琉球処分」(沖縄併合)以降の苦難の道があったと思うんです。もちろん、琉球王国時代には封建制度のマイナス点がいっぱいあったので、明治維新と同じように、どこかで崩れなければいけなかったかもしれません、しかし、やはり「沖縄の皆さんに本土からごめんなさい」という気持ちが強くあります。

 

◆諦めという名の鎖をよじってほどく

歴史上失礼なことを重ねてきてしまった私たち。この歌を聞いてもらおうと思います。私は、沖縄の運動に携わっている方のことを、こんな風に思っています。

 

ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ

あたし男だったらよかったわ
力ずくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ
あたし男に生まれればよかったわ


ああ 小魚たちの群れきらきらと
海の中の国境を越えていく
諦めという名の鎖を
身をよじってほどいていく

ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ


中島みゆき「ファイト!」より)

「男に生まれればよかったわ」は、「本土に生まれればよかったわ」と読み替えることもできそうです。強い者の側にいることは、特権であり、楽である。そういった立場にいる人は、いろいろなことを慮らなければいけません。

自民党の政治家にはかつて、沖縄の歴史を知り、沖縄の立場をわかって寄り添う方がたくさんいました。野中広務さんとか、小渕恵三元首相とか。悩みながらも、沖縄に寄り添っていました。こういった人たちが、いなくなってしまいました。やはり改めて「沖縄の皆さんに本土からごめんなさい」。私は本当にそう思っています。

#沖縄の皆さんに本土からごめんなさい

神戸金史(かんべかねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。

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「沖縄の皆さん本土からごめんなさい」 ひろゆき氏の言動をめぐり福岡のラジオ番組で 最後に流した歌は?

2022年 10/18(火) 7:48配信  

神戸金史さん(提供)

 

 沖縄の皆さん本土からごめんなさい-。名護市辺野古の新基地建設に対する抗議行動を嘲笑したひろゆき西村博之)氏の言動を受け、RKB毎日放送(福岡市)の解説委員を務める神戸(かんべ)金史さん(55)が11日、同局のラジオ番組で米軍基地の集中や沖縄戦琉球王国時代の武力による併合などに触れ「ごめんなさい」と発言し反響を呼んでいる。 【動画あり】ひろゆき氏に「汚い字」と言われた掲示板  番組内で神戸さんはネットでの議論が抗議の背景にある基地問題ではなく言葉の定義などに集中する状況を「不毛」と指摘。米軍基地の集中による事件、事故が繰り返される中、新たな負担となる新基地への抗議をあざ笑う言論を「反対をしている人がいることは示しておく必要があり、それを揶揄(やゆ)するのは無神経だ」と批判し、歴史を踏まえ「沖縄の皆さんに本土からごめんなさい」と20分間の放送で何度も発言した。  視聴者からは「自分がいかに沖縄のことを知らず生きてきたか恥ずかしくなった」「日本復帰前の沖縄で『お前ら大和の人間に沖縄の何が分かるか』と言われたことが今も胸に刺さっている」とのメールが届いた。  神戸さんは沖縄タイムスの取材に応じ、学生時代に歴史を学ぶ立場から沖縄を知り、毎日新聞の記者時代に沖縄で取材をした経験を踏まえ「見て見ぬふりはできなかった」と明かした。  番組の最後に放送した中島みゆきさんの楽曲に触れ「『ファイト! 闘う君の唄を闘わないやつらが笑うだろう』という歌詞と同じ気持ちです」と語った。放送の内容は記事化され、Yahoo! ニュースでも配信されている。(社会部・銘苅一哲)

 

 

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人の痛み・人権問題への感性   ひろゆき氏に対する北原さんの適切な指摘

人の痛み・人権問題への感性・・・ 主流秩序にどういうスタンスをとるかの一例・・・  大学で学ぶ「知」ということの姿勢にもかかわる

北原さんのたましいが伝わる一文。

 

沖縄の基地反対に暴言を吐き続けてきた 

座り込みの背景にある歴史を知り「わたしたち」の国を変えるべき〈dot.〉

2022年 10/12(水) 16:00配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a1f563a374fd962a31923599e962cfc90b42eff7

 

作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、沖縄の基地問題について。 【写真】北原みのりさんはこちら。

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「わたしたち」は、沖縄への暴言を吐き続けてきた。

 2011年11月、当時の田中聡・沖縄防衛局長が、「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」という趣旨の発言を、記者たちとの非公式懇談の場でした。普天間の代替基地建設に関する話題の中での言葉だった。

 2013年1月、沖縄県内の全41市町村の首長らがオスプレイに抗議するデモを東京・日比谷でした際には、「売国奴」「日本から出てけ」と、沿道から汚い声をあびせ続けた集団がいた。

 2014年1月、辺野古への基地建設が争点になった名護市長選挙について問われた自民党幹事長(当時)の石破茂氏は、「基地の場所は政府が決める」と言い切った。

キャンプ・シュワブ前に座り込む市民と、強制排除する県警機動隊(沖縄タイムス提供)

 

 2016年10月、抗議運動に加わる芥川賞作家の目取真俊さんによって、大阪府警の機動隊員が「どこつかんどんじゃ、ぼけ、土人が」と言った場面が撮影され、報じられたが、当時の松井一郎大阪府知事ツイッターに「命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」と記した。

また、当時の安倍政権は「土人」発言を「差別と断定できない」と述べた大臣の訂正や謝罪は不要とする答弁書閣議決定した。

 

 2017年1月には、TOKYO MXの番組「ニュース女子」が、「機動隊が暴力を振るわれている」「(基地反対派は)日当をもらっている」などとデマを流した。さらに沖縄の運動に深く関わる辛淑玉さんを名指しで攻撃した(今年6月、東京高裁は辛淑玉さんへの名誉毀損を認め、制作会社のDHCテレビジョンに550万円の支払いと謝罪文の掲載を命じた)。

 

 挙げればきりがない暴言を、「わたしたち」は繰り返し吐いてきた。沖縄の選挙結果が示した「辺野古新基地反対」の声をねじ伏せ、沖縄戦の遺骨が混じっているかもしれない土砂を、ジュゴンが泳ぐ珊瑚の海に投げ入れてきた。沖縄の選挙に一喜一憂するリベラルな「わたしたち」も、自分の暮らす地域では、非自民党議員を推す力はなかった。「わたしたち」は、沖縄の海を愛ではするが、「わたしたち」の国を変えることはできなかった。

 

『沖縄という窓』という本が今年、岩波書店から出版された。雑誌「世界」で2008年から、3人の書き手が沖縄から沖縄と日本を語り続けてきた、貴重な「定点観測」の一冊だ。

著者の一人、山城紀子さんは、1974年に沖縄タイムスに入社し、ジャーナリストとして女性たちに道を切り開いた。性暴力問題を発信し続けてきた。1981年生まれの親川志奈子さんは、琉球民族独立総合研究学会の共同代表であり、研究者として大学で教え、放課後児童クラブの運営もしている活動する思想家だ。松元剛さんは、琉球新報で記者として沖縄を見つめてきた。  世代も専門も違う3人が、月に1度、沖縄に立ちこの社会を記し続けた14年間の記録は、沖縄から見た日本の記録でもある。

沖縄の歴史を知ろうとせず、戦争を忘れた日本人が沖縄をどのように見つめ、どのように踏みにじってきたのか。加害の歴史は根深く、加害者は底抜けに鈍くいられることで、加害者であり続ける。それは、「沖縄に寄り添おう」と本土から訪れるヤマトンチュにも言えることだ。

親川志奈子さんはこう記す。

「『沖縄の運動に寄り添い』沖縄人を動かすのではなく、日本人という立場で踏ん張り、日本人としてやるべきことを実行していってほしい」

 

 200万人超もフォロワーがいて、毎日のようにネット上でその名が流れてくるひろゆきという人の基地反対をする人々に対する暴言が、波紋を広げている。何十年に及ぶ基地被害に抗議する人々が放つ「ヤンキーゴーホーム」という声を録音し、“得意げに”「平和活動家はヘイトスピーチをしている」という人々の姿が本書には記録されているが、ひろゆき氏がやったのは、まさにそのようなことだろう。

「座り込みの定義」にこだわり、座り込みの背景にある歴史を敢えて見ない。表層を切り取り、差別の構造を理解せずに、冷笑する。幼い理屈を恥じずひけらかし、無知を剥き出しにすることで日本は底抜けに壊れていくのだと危機を覚える。

  まずは知ることでしか、始まらない。すでにこの社会には、沖縄を生きる人々が積み重ねてきた言葉、その闘いの歴史が十分にある。座り込みをしてきた人々が見つめてきた景色を、「わたしたち」は真剣に想像すべきだ。それが本当の知というものなのだと思う。

親川志奈子さんの言葉をここに紹介したい。

「私たちは日本語を覚え、日本の方を向き続けてきました。でも、沖縄が日本を変えることはできない。日本を変えるのは日本人であるべきです」

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